【浦安DRvs.江東BS】2連勝達成の浦安DR。熱く、それでいて冷静に

【(C)JRLO】

試合レポート&記者会見

浦安D-Rocksのホスト開幕戦となったNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23ディビジョン2第2節・清水建設江東ブルーシャークス戦。ホストエリアの千葉県浦安市から遠く離れた大阪での開催で、68対17の大差で勝利を飾り、開幕2連勝となった。

ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチは「皆さん良いクリスマスをお過ごしください」と試合の総括を締めくくり、ハーフタイムにはサンタやトナカイの姿に扮装した選手がプレゼントの引換券となるボールをバズーカでスタンドに打ち込む。場外にはポーズをとって撮影ができる等身大の選手パネルが設置されるなどブースも多数出され、試合結果とともに、浦安からはるばる訪れたサポーターにとっては最高のクリスマスプレゼントとなっただろう。

前半3分のリアム・ギルのトライを皮切りに次々と得点を重ね、前半だけで7度のトライを成功させて49得点。清水建設江東ブルーシャークスは前半5分のペナルティゴールで3点を返したのみで、勝負のすう勢は前半で決したとも言える。ただ後半は、様相が変わってしまった。

「『ベーシックなスキルを全員がやり切ろう』と話した」(松土治樹キャプテン)と、エンジンをかけなおした清水建設江東ブルーシャークスに押される時間帯もあり、後半だけのスコアは19対14の接戦に。終盤の二つのトライでもう一度突き放したものの、課題を残す内容となった。

飯沼蓮キャプテンは「全員が取り急ぐ気持ちが大きくなり過ぎてしまった」と反省を口にしたが、これは見方を変えればポジティブな面かもしれない。ペナルティーが増えて流れを相手に渡してしまったのは確かに問題だが、普通であれば、これだけの大差がつけばもっと流すようなプレーが増えても不思議ではない。

「(開幕戦から)メンバーも替わって、みんながアピールしたいというのもあった」と、安田卓平は後半の心理状態を振り返った。誰もが満足していない、飢えた状態であるのは好材料で、伸びしろでもある。ただやはり、それがペナルティーにつながってしまってはもったいない。

「自分たちは細かいところまで意識して練習することに誇りをもっているので、突き詰めていきたい」とは飯沼の弁。今季、浦安D-Rocksはスローガンとして『PRIDE』を掲げている。熱く、それでいて冷静に、細部をいかに突き詰められるか。勝利を重ねながら課題を突き付けられ、浦安D-Rocksは充実のスタートを切っている。

(沖永雄一郎)

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浦安D-Rocks(D2)

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「まずは、本日応援に来ていただいたサポーターの方々、ありがとうございました。選手たちも誇らしいパフォーマンスをしてくれて、特に前半は良いトライもたくさん生まれました。その中でまだチャンスを生かし切れていない部分はありましたが、全般的にはすごくいいアタックができたと思います。

後半は規律の乱れが(相手の)トライにつながることが多かったので、まだまだ課題は残ります。なので、この試合は自分たちが今季戦っていく上でのいい基盤を築くことができた内容でした。また、出場機会のなかった選手たちにゲームタイムを与えることができたのもポジティブだったと思います。こうして結果に恵まれたことに感謝しています。今日来ていただいた皆さん、メリークリスマス。良いクリスマスをお過ごしください」

──オフサイドを防ぐために、日々の練習をどのように行ってこうと考えていますか?
「結局は個人のところになってくると思いますが、それも含めてディフェンスコーチがコーチングしていく必要があります。(飯沼)蓮が『自分たちが取り急いでしまうところがあった』と言っていましたが、ディフェンスに行きたいという気持ちが高まり過ぎてしまっていて、システムの中で守るべきところを一人が行き過ぎてしまっていたと思います。例えば50センチ出過ぎてしまっている状態や、コンテストをしてはいけない、倒れ込んでいる部分でもブレイクダウンに行ってしまっているケースがあります。基本的には個人のところになってくるところがありますが、半歩下がる、オーバーラインのところにいるよりも5センチ後ろ、安全圏に下がっておくというところを練習していきたいと思います」

──今回のヨドコウ桜スタジアムはNTTドコモレッドハリケーンズ大阪時代によく戦っていた場所だと思うが、今回戻ってきてどのような気持ちだったか?
「戻ってこられてすごくうれしかったです。昨季はここでたくさん試合をする機会があり、今日もバスが到着してから、ホーム側で入場する際に気持ちが高まりました。良い施設ですし、思い出深い場所です。これから先も、いい思い出をたくさん加えていくことができればと思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)も言ったように、前半は良い流れでした。NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦など、プレシーズンマッチの課題として、最初に良い流れで行ったあとに少し気が抜けてしまって、展開がぐだぐだになる試合が多かったのですが、今日はそこをしっかり行っていたので、最初の40分は相手を圧倒し続けることができたと思います。

ただ、後半は全員が取り急ぐ気持ちが大きくなり過ぎて、ディシプリン(規律)が乱れて相手に流れを与えてしまいした。ここ数試合でもペナルティーから相手に流れを引き渡してしまうシーンが多かったので、そこはチームの課題であるとともに伸びしろかなと思います。しっかり修正して次の試合に備えていきたいです。今日はありがとうございました」

──取り急ぐ部分があったということだが、どういったプレーにそれを感じたか?
「特にディフェンスの部分で、相手のブレイクダウンにプレッシャーを掛けていこうとフォーカスしていたのですが、そこで全員が入り過ぎてしまったり、ペナルティーをさせられてしまったりしたので、そこをキャプテンとして、状況に応じて判断していくことを言えればよかったと思います。あとはラインオフサイドを毎回毎回取られていますが、自分たちはしんどい練習の中で、細かいところまで意識して練習することに誇りを持っているので、そこも突き詰めていきたいと思います」

──取り急ぎについて、スコア的にはかなりリードしていたが焦りもあったのか?
「ヨハンも言ったとおり、ああいうスコアになったからこそ、全員がシステムどおりにやっていくこと。チャンスがきたときにそういうことができていれば、自分たちのペースにもボールにもなったと思います。システムどおりじゃないところで個人個人が、早く点を取りたい、早くターンオーバーしたいと気持ちが出過ぎてしまっていたと思います」

浦安D-Rocks
イズラエル・フォラウ

「まずはチームとしていい勝利ができました。序盤は清水建設江東ブルーシャークスさんがかなり激しく向かってきたところもあり、かなり苦しめられましたが、徐々に勢いを出してそこから得点を重ねることができました。大筋はかなり良い流れできているので、この先もこの流れに沿ってチームを築いていきたいです。一旦オフに入りますが、そのあともしっかり積み重ねて次のレベルに行けるようにしたいです」

──前半の終盤と後半の頭、良い時間帯に三つのトライを決めたが、自身のプレーを振り返って。
「今日のパフォーマンスについては、部分的には満足している点もありますし、まだまだ向上しなければならないと思っている点もあります。向上したい点はボールセキュリティー、ボールを大事にする部分です。パスが何回か乱れましたので、そこは修正する必要があります。(トライについては)チャンスをたくさんもらいましたが、フォワードがちゃんと基盤を作った上で、スペースを作り出してくれたからこそ生まれたと思っています」

──キャリアの中で、まったく新しいチームに所属するのは初めてでは?
「そうですね、新しいチームでプレーするのは初めてです。合併してできたチームですが、2チームの合併はかなりスムーズに行われたと思います。変わったところもありましたが、全員がしっかり適応しており、それがパフォーマンスにも表れていると思います。これからもパフォーマンスを出し続けて、絆を深めていきたいです」

──NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安はボールをスペースに動かすラグビーだった。そのスタイルは変化していますか?
「違ったアプローチをとっていると思います。新しいコーチ陣が入ってきて、ゲームの見方も変わってきますので、スタイルの変化に表れていると思います。その中で自分たちはアタック力の高い選手をそろえているので、フォワード合戦のところで勝ちに行くこともできますし、アタックするところはアタックする。バランスが取れてかなり強いチームになっているのではないかと思います」

浦安D-Rocks
安田卓平

「清水建設江東ブルーシャークスさんという良いチームに対して、まずは勝てたことが良かったです。1週間、この試合のためにいろいろ準備してきましたが、前半は良い形で得点を重ねられました。後半は相手のプレッシャーに苦しめられて、自分たちのラグビーができなくなってしまったので、次はまた時間が空くので良い準備をして、良いラグビーを取り戻したいと思います」

──今日は開幕戦からメンバーを大きく入れ替えて、自身も途中からポジションが変わったと思う。そのあたりを踏まえてチームと自身をどう評価するか。
「チームのメンバーは前半も後半もいろいろ変わりましたが、いまは本当に全員が良いパフォーマンスをして、良い争いをして競争の質も高くなっていると思います。

個人的には試合の展開もあり、ポジションが変わってからは良い形でなかなかボールをもらえませんでした。はじめはウイングで途中からフルバックでしたが、練習試合ではセンターもやっていますし、昨季は10番もやっています。どこのポジションでやるかというよりも、どのポジションでも自分の強みをしっかり出していきたいです」

──今季は好調でスピードアップしたように見えますが、これまでと何か変えたことなどはありますか?
「昨季から変わったことは特にはないですが、昨季のシーズン後半はずっと試合に出られて、自分の強みや『ここなら勝負できる』というのが分かってきました。コーチングスタッフも自分の強みを理解してくれているので、やりやすくプレーできていると思います」

──後半はペナルティーが増え、飯沼蓮キャプテンはブレイクダウンのところで急ぎ過ぎてしまったと言っていました。チームとしてはどういった心理状況で反則が増えてしまっていましたか?
「今季はブレイクダウンのところでしっかりとファイトしようと話をしていて、後半は押されていることもあり、なんとかファイトして変えようという気持ちが強かったと思います。メンバーが代わっていたのでみんながアピールしたいというのもありました。ブレイクダウンのフィジカルのところで行こうとし過ぎて、(ペナルティーが)増えてしまったと思います」

──それでも最後に2トライを取りました。修正ができた結果でしたか?
「シンプルに、ペナルティーが減って自分たちがボールを持てました。自分たちはアタック力のあるチームですし、ボールを持てればああやってトライが取れます。ディフェンスでペナルティーをしなくなって、ボールを持てたのが良かったと思います」

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

清水建設江東ブルーシャークス
大隅隆明監督

「関係者の皆様、本日はありがとうございました。浦安D-Rocksさんの強みを出させずに、自分たちの強みで勝負しようとテンポアップをテーマに試合に臨みましたが、前半はセットピースの乱れや反則から相手の強みでスコアをされてしまい、少しやられてしまったなと感じています。

ただ後半、自分たちがやるべきことをやれば点差以上の力の差はないと感じましたし、十分戦える相手だと思っています。一旦、少し期間が空きますので、前節と今節の反省点をしっかり修正して第3節を迎えたいと思います。本日はありがとうございました」

──後半はトライもあったが、ハーフタイムはどのような話をしていたか。また、今日得られたもの、良かった面と、課題だと感じた面は?
「まずは自分たちのアタックをしようということで、ボールキャリアーの責任やブレイクダウンでしっかりクリーンアウトするなど、とにかくボールを継続してアタックしようと話しました。ディフェンス面ではラインオフサイドが少し目立ちましたので、一歩深くというところをもう一度徹底して、そこは修正することができました。

良かった点としては、前節、ちょっとチームとして意思統一できない時間帯があったのですが、80分間をとおしてチームとして戦えました。戦術理解という部分では意思疎通ができていたので、そこは前節よりもステップアップできたと思っています。

良くなかった点としては、前節もセットピースのところ、特にラインアウトが修正できなかったのですが、今節も修正できないままだったことが大きかったので、この空いた期間で修正して次節に臨みたいと思います」

清水建設江東ブルーシャークス
松土治樹キャプテン

「関係者の皆様、本日はありがとうございました。監督の言ったとおり、相手の強みを消して自分たちの強みを出そうと臨んだのですが、そこがうまくいかず自分たちのペナルティーなどで苦しくなり、自分たちの首を絞める形になって相手の強みのモールでトライを取られるなど、やろうと決めたことがうまくいかずにこのような点差になってしまいました。

後半は修正して、自分たちのアタックができた部分はあったのですが、これを最初から80分間やり続けることが今後の課題だと思います。もう1回、ワンチームで自分たちのやることを確認して、次に臨みたいと思います。本日はありがとうございました」

──後半はトライもあったが、ハーフタイムはどのような話をしていたか。また、今日得られたもの、良かった面と、課題だと感じた面は?
「前半はアタックを継続できなかったので、ハーフタイムには『ベーシックなスキルを全員がやり切ろう』と話して後半に臨みました。それが後半できるようになってからは、ボールが継続できて自分たちのテンポも出てきて、相手が焦ってオフサイドなどのペナルティーをするようになりました。そこは良くできたところかなと思っています。

うまくいかなかったところは、監督の言ったようにセットピースで、スクラムでペナルティーがあったり、ラインアウトがうまくいかなかったりなどがありました。今後の課題というか、相手もそこを狙ってくると思うので、もっと良くしていかなければいけないと思いました」

──あらためて、このチームの強みを説明するとすれば?
「ボールを継続して、速いテンポでアタックしてスペースを見つけて、そのスペースにボールを運んでトライを取りに行くところだと思います。そのテンポが出ると相手のディフェンスラインがだんだんショートになってくるので、そこで大外に振ったり、相手がワイドに開いているときは真ん中をキャリアーが強く当たってゲインラインを切っていったり……。そのためにはやっぱり、キャリアーの良いボールリリースや、オーバーが相手を剥がし切って、いいボールをハーフに供給するなど、ベーシックなところキャリアーきれば自分たちのアタックができると思っています」

──ディフェンスではフルバックもしっかり面に入っていたと思うが、裏はわざと空けてディフェンスをしていたのか?
「わざと空けていたというわけではないのですが、1on1のタックルで(相手に)行かれ始めて、フルバックのラインが上がってしまっていたと思います」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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