#20合田怜 完全復活を宣言する背番号20が、 満ち溢れるエネルギーを放射する

大阪エヴェッサ
チーム・協会

【Copyright © OSAKA EVESSA . All Rights Reserved】

身体の状態に不安を抱えず開幕を迎えられたのは、久しぶりのことだった。

「3年ぶりくらいですかね。今シーズンは手術明けのリハビリなどがなく、万全な状態でオフシーズンからチーム練習に参加できていました。近年にはなかったほど、開幕に向けてすごくいい準備ができましたね。開幕からプレーできるとわかっていたので、すごく楽しみでした」

過去数年は度重なる左肩の脱臼に見舞われて手術を受け、オフはリハビリの期間にあった。

「最近のオフとは、ホンマに全然違いましたね。ここ2〜3年はケガをどう落ち着かせるか、どれだけ違和感なくプレーをするか。あるいは、どうごまかしながらプレーをするか。そんな調整の仕方だったんですけど、今シーズンに向けては、そういったことをする必要がなかった。自分のパフォーマンスをより上げるために、戦術理解を高めるためになどとプラスアルファの部分を詰められたので、すごく充実したオフでしたね」

同じ箇所に二度もメスを入れた後遺症が、残っていなかったわけではない。それは肉体面ではなく、精神面に潜んでいたが、もはや解消されている。

「ケガから復帰したあとは『相手のボールを獲りに行きたいけど、やめておこうか』と自分のなかで逡巡することもあり、そのプレーの仕方に引け目みたいなものを感じていました。だけど今は、この場面は行くべきか、引くべきかを身体が覚えてくれたんです。もう、どこかで負い目を感じながらプレーしているような精神状態ではないですね。ひとつ上のステージに、上がれたなと思います」

ケガの影響で、とくに自身がこだわるディフェンス面でプレースタイルを変えざるを得なかった。足や身体の使い方を工夫し、練習でそれを体に染み込ませる。それを続けてきたことで#20合田怜はプレーヤーとして、新しい形に進化した。今季は相手のボールをスティールするシーンも、たびたび目にする。

「身体の向きで相手の進行方向を限定したりも、よりできるようになりました。それがスティールにつながっているところも、あると思います。今まではスティールを仕掛けても笛が鳴ったりしましたが、それも減った。足を使って追い詰め、たとえ打たれたとしても相手にとって嫌なシュートにするということも、できてきていますね」

2020-21から2シーズンにわたって、キャプテンを務めた。あの責務は20代半ばだった彼に、精神面での成長を促した。

「キャプテンをやらせてもらって、自主性みたいなものはすごく出ましたね。自分がなんとかせな、自分がこのチームを引っ張るんだという姿勢は、今もすごく出ていると思う。それまでヘッドコーチ(HC)とコミュニケーションをとる際は受身だったのが、キャプテンになって自分から発言することも多かったので、HCにも言いたいことが言えるようになってきましたね。黙っていたら、理解されにくいと思うんです。HCとも、選手同士でも、話すことで互いの理解が深まる。なので、思ったことは言うようにしています」

【Copyright © OSAKA EVESSA . All Rights Reserved】

キャプテンの肩書が外れたとはいえ、背番号20が今もチームの中心選手であることに変わりはない。その立場から、今季のチームの強みはどこにあると捉えているのか。

「昨季、一昨季はキャプテンをやっていましたが年齢が若いチームで、時折まとまりに欠けることもあったんですよ。やっぱり若いと、チームよりも個を優先してしまう。それはわかるんですけど、僕もケガが多くて、なかなか態度で示すことができなかった。だけど昨季に(#15竹内)ジョージさん、今季は#35鈴木達也さんとベテラン選手が来られて、だいぶチームとしてのまとまりが出てきました。それに(マティアス・)フィッシャーHCは個人個人に役割を与えて、個性を生かすやり方をとっているので、それもいい影響を与えています。このまとまりが、強みになると思いますね」

チームとしては、まだ黒星が先行している状態。シーズンも中盤に差し掛かり、ここから巻き返しを図るためには、どうしていくべきか。その問いに在籍7シーズン目を迎え、プロでの経験を積み重ねた中堅プレーヤーは、こう答える。

「今やっていることを、やめない。結果が出ていないと、新しいことに手を付けたくなったり、なにかを批判したくなったりしがちですが、今の僕らがやっていることは間違っていない。ただ、結果がついてきていないだけ。今やっていることの軸足をブラさず、チームが目指すものと、自分たちの日々の努力を信じ続けること。それが、いちばん大事だと思います」

チャンピオンシップに進出した2020-21シーズンは途中にケガで離脱しながらも、最後までチームに帯同して勝つチームの雰囲気を味わった。一方で昨季のようにケガ人が相次いで、勝ちきれないシーズンも経験した。その両方を肌身で感じてきた男は、疑いのない目でこれからのチームの希望を語る。

「負けたシーズンも勝ったシーズンも経験していますが、今年は結果が出ていないわりに、雰囲気がすごくいいんですよ。8勝11敗という成績も、ちょっとしたことで逆になっていたかもしれないし、もっと勝っていたかもしれない。自分たちの実力が今の数字どおりじゃないって、みんなが感じているんです。チームってひとつのことがきっかけで、ガラッと変わるんですよ。先週のアウェイでの仙台89ERS戦の連勝は、チームに良いエネルギーをもたらしてくれました。年内の残り試合もすごい重要だと思いますし、勝ってシーズン後半戦に勢いをつけたい」

同地区対決となる、今節のファイティングイーグルス名古屋戦も、もちろん重要な試合。久々に体調の不安なくシーズンを戦っている合田は、この試合でどんな姿を見せるのか。

「どこにも体に心配のない状態で戦えているので、エネルギーに満ち溢れています。最近の2〜3シーズンはお見せできていなかった、そういう姿を見てもらいたいです。ここで連勝すれば、それが僕たちを加速させるエネルギーになる。そのためにも、すごく大事な試合。自分自身の結果も出しながら、チームを勝たせたいですね」

ディフェンスでは相手を執拗に追い詰めて得点を許さず、オフェンスに移っては勝負どころで3Pシュートを射抜く。この男が本領を発揮すれば、週末にエヴェッサがふたつの白星を手にする。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント