横浜DeNA オースティン、全力プレーの裏にあった葛藤

横浜DeNAベイスターズ
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 3月21日、DeNAはオースティンとソトがリハビリ組に合流すると発表した
(オースティンは右ひじの張り、ソトは右手首の張りのため)。
これにより、打線の中軸を担うべき2人の外国人選手を欠いた状態で今シーズンの開幕を迎えることが濃厚になった。
オースティンへのインタビューを実施したのは、同16日。

「143試合すべてに出場することを目指している」

と話していたから、この時期の離脱は本人にとっても無念に違いない。

 復帰がいつになるかは不透明だが、来日3年目となるシーズンに向けて彼が語っていた思いをここに記しておく。
 まずはDeNA加入後2シーズンの成績を振り返っておこう。
 1年目の2020年は、故障で65試合の出場にとどまったものの、打率.286、20本塁打、56打点をマークした。
 2年目の2021年は、コロナ禍に伴う入国制限の影響を受けてキャンプは不参加ながら、4月中旬に一軍に合流するとすぐに実力を発揮。107試合の出場で、打率.303、28本塁打、74打点と、やはり好成績を残している。

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 オースティンは言う。

「キャリアの中で自分のプレースタイルを変えたことはない。これまでと同じスタイルを日本でも貫いているけど、いまのところは、ある程度はうまくいっているのかなと思う」

 もちろん、日本球界を甘く見ているわけではない。2年間のプレー経験を通して、投手のレベルの高さに大きな感銘を受けている。

「すごい才能の持ち主だらけだね。持ち上げているわけじゃなくて、本当にそう思うんだ。たとえば、ソフトバンクの千賀(滉大)投手。東京オリンピックのときしか対戦していないけど、彼は“different animal(違う生き物)”みたいな選手だと思う。セ・リーグなら、広島の森下(暢仁)投手や、巨人の菅野(智之)投手、戸郷(翔征)投手が印象に残っている。名前を挙げればキリがないよ」

 それでも、異国の野球にさほど戸惑うことなく高いパフォーマンスを見せてきた。加えて、守備や走塁も常に全力。

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ファンの心をつかむまでに時間はかからなかった。だが、オースティンとて聖人ではない。
グラウンドの上では懸命なプレーを披露し続ける一方で、メンタルが不安定な状態に陥ることもあったようだ。とりわけ昨シーズンは、困難な日々が続いた。
 来日からの2年間は厳格なコロナ感染対策に縛られた2年間と重なり、日常的なストレスはいやおうなく募った。
昨シーズンは序盤からチームが下位に沈んでいたことも、モチベーションの維持を難しくした。

「CS出場の可能性までもがなくなったなかで気持ちを奮い立たせることはたしかに難しかった。それに、遠征先でも食事に出かけることができなかったりして、ネガティブな感情になってしまうこともあった」

 そんなときでも、オースティンは野球への真摯さを失うまいと努めた。

「誰のためにプレーしているのか、と考えるようにしたんだ。応援してくれるファンのため。隣にいるチームメイトのため。すぐそばにいる大事な人たちのため。野球をする理由っていうのはたくさんある。そのためにベストを尽くす。そうやってシンプルに考えることが大事だと気づいた」
 

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シーズン中にメンタルが揺らいだことに対しては、オフの間に手を打った。アメリカに帰国後、新たな試みとしてメンタルトレーナーに協力を仰いだのだ。

「野球をするうえで、そして人生を送るうえでも、ポジティブな精神状態を保つことがいかに大切かというアドバイスを受けた。そのあたりのことは、これまでの自分が甘く考えていた部分だったのかもしれない。今年はポジティブさを失わないことを、シーズンを通して続けていきたいと思っている」

 昨シーズン終了後、球団と新たに3年契約を結んだ。残留が「非常にイージーな決断」だったのは、チームの可能性を信じているからだ。マイナー時代からいくつもの球団に所属してきたオースティンは言う。

「ベイスターズには、若くて才能あふれる選手たちがたくさんいる。優勝するポテンシャルのあるチームだ。昨シーズンは投打がかみ合わず接戦を落としてしまうことが多かった印象があるけど、逆にいえば、かみ合いさえすれば勝てるということ。優勝は決して遠いところにあるわけじゃない」

 球団関係者によれば、オースティンはチームメイトをよく観察しているという。そして、野球に一生懸命に取り組む選手と認めれば、成長のための協力を惜しまない。
 そのオースティンが気にかける選手の一人が桑原将志だ。今シーズンのキーマンになりそうなのは誰かと問われて、こう答えた。

「野球はチームスポーツだから、一人を挙げるのは難しい。ただ、すばらしい活躍を見せてくれるだろうと思うのは桑原。なぜなら、彼が野球に取り組む姿勢を見ているからね。たとえば遠征先では、個人でタクシーを使って全体の移動よりも先に球場に入り、自分のやるべきことをやってから試合に臨んでいる。もちろん昨シーズンも活躍したけれど、さらに飛躍してスーパースターになってくれると思う」

 過去を上回る暴れっぷりを――。

それはオースティン自身に期待されていることでもある。

 試合数、打席数を伸ばしさえすれば打撃タイトル獲得にも十分に手が届きそうだが、本人は小さく首を振る。

「タイトルを獲れるかどうかなんてことは一切考えていないよ。チームが勝つこと、その勝利に貢献することだけを考えている。自分が持っている力をすべて出し切って、どうなるか。その結果を、自分でも楽しみにしたい」

 熱血の背番号23は、チームスローガン“横浜反撃”を実現させるうえで不可欠な存在。万全な状態での復帰を、いまは待つしかない。

横浜DeNAベイスターズ 公認ライター 日比野恭三

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