株式会社マイネットが確信するスポーツDX事業の可能性 「日本のファンタジースポーツ市場を開拓するリアルに迫る」

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【株式会社マイネット】

法務の側面からスポーツビジネスを拡張し続ける稲垣弘則弁護士が、スポーツ界をリードするトップランナーを訪ね、日本スポーツビジネスの最前線と未来についてお届けする対談企画。

第3弾は、ファンタジースポーツサービスの開発及び運営と、JリーグやBリーグクラブへ資本参加を行う株式会社マイネット常務取締役 事業開発管掌の岩城農氏をお招きし、これまでのキャリアからクラブ運営への参入、ファンタジースポーツの現状・将来について意見を伺いました。

【株式会社マイネット取締役 岩城 農氏】

PROFILE
岩城 農(いわき みのる)
1979年東京生まれ。大学卒業後、大手クレジットカード会社での事業企画を経て、2006年にセガ(現・セガゲームス)に入社。同社社長室 戦略企画開発室長として全社戦略策定に従事。2011年8月にモバイルニューメディア事業に転じ、2012年7月には同事業部を分社化しセガネットワークスを設立、執行役員 事業本部長に就任。同社でスマートフォン向けゲーム事業を伸長させ国内外に展開。2015年4月のセガグループ再編後はセガネットワークスカンパニーCOOとしてモバイルゲーム事業ならびにデジタルマーケティング事業を牽引。2016年8月にはデジタルマーケティング、ゲーミフィケーション事業を営むクロシードデジタル代表取締役社長CEOに就任。2016年4月よりセガゲームス取締役CSO、2018年4月より上席執行役員CSOに就任し2019年3月末に退任。2019年4月よりミラティブ最高戦略責任者(CSO)に就任。2014年9月から2018年3月、2019年3月から2020年6月マイネット社外取締役を経て、2020年7月常勤の取締役に就任。

プロスポーツの未来をファンタジースポーツで切り拓く

まず初めに、岩城さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。

幼少期を父親の都合でアメリカのニューヨークで過ごしたことから、スポーツにどっぷり浸かっていました。その結果、キャリア上でのスポーツビジネスへの関りは薄かったのですが、競技そのもの意外にも経営面や労使関係、編成、育成、周辺ビジネスなどスポーツに関する物であればとにかく探しては自分にインプットし続けるような過ごし方をしてきてました。いわゆるオタクですね。

社会人キャリアとしては新卒で株式会社ジェーシービー(以下、JCB)に入社し、オペレーション部門におけるストラテジー領域に従事し、戦略領域を自身の基盤にしました。その後、株式会社セガ(以下、SEGA)に入社。SEGAでは約14年間在籍し、経営企画領域からモバイルビジネスの立上と経営まで、最終的には取締役CSOとして勤めました。そしてセガ退社後、日本最大の配信SNSを運営する株式会社ミラティブのCSOを経て、現職に至ります。

マイネットは既に7年ほど社外役員としての関わりがあったのですが、2020年7月から常勤役員になりました。私のキャリアを総括すると、ゲームやIT、ストラテジー、コミュニティなどのハッシュタグが付きます。

スポーツ事業に関わるきっかけについてお聞かせください。

マイネットの常勤役員に就く際に、代表の上原と話をして決めました。そして、二人揃って一気にこの領域にコミットし、現在では「マイネットはゲームとスポーツの会社である」と言い切れるところまで持ってきた、という経緯です。個人的にも最も興味の強い分野でしたし、これまでキャリアにおける経験も強く活かせると考えました。上原は既にFC琉球様への関りを持っていたことなどから、とてもスムーズに決まったのを覚えています。

なぜスポーツDX事業に着手したのでしょうか。

弊社の強みとの親和性が極めて高い点が一番の理由です。
 
マイネットはゲーム運営を主業としていますが、ゲーム運営ではユーザーコミュニティとデータと向き合うことが重要となります。コミュニティの熱量に真摯に向き合い、同時に、データドリブンに定量的な判断を行う。こういった業務自体がDXですので、会社のDNAとして、DX・ゲーム・コミュニティに強い会社となります。

そういった強みを踏まえた上で、どのように参入することで、業界の発展に貢献し、ポジティブな変化も起こせるのか。その結果が、スポーツDX事業でした。素晴らしいコンテンツを中心に、周囲に熱量の高いユーザーコミュニティが存在するスポーツ業界において、弊社が強みとするDX/ゲーム/コミュニティの力をクラブ運営側にも、そしてリーグ様のIPをDXしていく上でも活用していく。そうすることで価値を創出できると考えました。
 
スポーツDXというワードを掲げ始めたのは、いつ頃でしょうか?

スポーツDXは、2021年1月のFC琉球との取り組みを始めたことをきっかけに外部に発信するようになりました。

スポーツDX事業では、プロスポーツクラブ運営とリーグ周辺のビジネスのどちらにも取り組まれています。双方取り組まれている狙いや戦略について教えてください。

まずプロスポーツ業界のビジネスモデルについて考えてみると、クラブ運営ビジネスとリーグ周辺ビジネスの2つのが両輪となっている構造として考えています。クラブが経済活動を行うことはもちろんですが、リーグが周辺ビジネスに活発に取り組み、IP価値を最大化していくことの両輪です。これら2つバランスよく回って、初めて好循環が生まれて成長していく構造です。そういった意味ではまず、2つの領域に同時に取り組むことは非常にシナジーが高いと考えています。

クラブ運営については、実際に当事者として中に入り、着実な予実管理からDXを推進していくことで収益性を高めていく。そこに加えて、各プロスポーツリーグのIPを活用したビジネスを推し進め、新たな収益やファン接点を創出していく。そこがファンタジースポーツを初めとするコンテンツになります。同時に取り組むことより精緻な理解を持った上で両事業を進められる点はメリットの一つですし、それ以外に直接的な事業メリットも双方に生まれてきます。

クラブ運営にも着手し、同時にリーグの収益を増加させる取り組みにも深くコミットしていく。そうすることで、少しでも産業の発展自体に貢献する。双方に積極的に取り組む企業でありたいと考えています。 
 
現在はリーグ周辺のビジネスを私が担当し、プロスポーツクラブ運営を代表の上原が担当しており、更に各取り組みへの注力度を上げていこうと、積極的に組織強化も進めている状況です。

【株式会社マイネットはFC琉球と事業連携を進めている】

これまで事業会社がチームを保有する目的は認知拡大でしたが、マイネットは利益を生み、企業価値を向上させるために保有するという考え方でしょうか。

その通りです。JリーグやBリーグが開示している数字を見て、充分に収益化して行けると考えましたし、実際に関わってみて、よりその実感は得ています。そういった意味では、クラブ保有については認知度拡大などに留まらない、経済合理性があると考えています。

DX事業としてなぜファンタジースポーツを始めたのでしょうか。

現在のプロスポーツと対象ユーザー間の接触頻度からファンタジースポーツに着目しました。ファンやその他潜在ユーザーとの日々の接点を増やすべき、という考えからです。

コンテンツはその品質だけではなく、日々の接触頻度も非常に重要です。特に現代のスマホ×隙間時間消費型が主体となっている中では、例えば、コンテンツに接する頻度として高いのはInstagramやTwitterなどのソーシャルメディアですが、誰でもコンテンツを投稿できるので全てのエンタメコンテンツと比較した時には決して品質が高いとは言えません。それでも、我々が一番日々時間を割いているコンテンツはそういったいるでも近くにあるコンテンツではないでしょうか。

対して、プロスポーツはコンテンツの品質が極めて高いにも関わらず、接する頻度が低いコンテンツです。映像観戦が有料であったり、ソーシャルメディア上におけるコンテンツ露出の少なさなどが主な要因です。では、隙間時間消費型に適しており、現実のスポーツとの関係性も強いコンテンツは何なのか、この市場課題から一番適しているコンテンツこそファンタジースポーツだと考えました。 

ファンタジースポーツは、難しい操作も無く、情報をチェックする程度の手軽さでちょっとした隙間時間で遊べます。時間が無ければ1日数分だけ好きなタイミングで触るだけでも良い。また、会話がコンテンツの一つと言って良いくらい、既存のコミュニティに馴染みやすい遊びでもあります。それら手軽さが接触頻度も高いコンテンツです。その上、現実の試合成績で遊びますので必ず現実の試合に興味を持ってもらえます。

私自身はファンタジースポーツを約10年近く遊んでいますが、プロスポーツの試合経過や結果の確認はもちろん、コミュニティ内で日々巻き起こるプロスポーツについての会話は生活に欠かせないものになっています。各ユーザーが既に所属するコミュニティの仲間内で、プロスポーツの経過/結果を活用して楽しむ、これはユーザーにとって非常に気軽に参加できる上に、プロスポーツのコンテンツそのものが魅力的であるが故に興味が深まり易い。
 
そういったことからも、市場課題を考えた際にファンタジースポーツとの相性は極めて高いと考えています。

ファンタジースポーツの現状と、秘める無限の可能性

続いて、ファンタジースポーツとスポーツベッティングの違いについて、どのように考えていますか?

国によってスポーツベッティングとファンタジースポーツの定義が異なるので、全てを正しく表現することは難しいと思っています。私が考える一番大きな違いは、ファンタジースポーツはあくまでファンタジーの世界を楽しんでいる、ファンダムを育み深めていく要素が強い、という点です。夢のチームを作ったり、現実の試合結果と連動して一喜一憂したり、ファンタジーで保有している選手が自分のホームチーム相手に大活躍して複雑な気持ちになるとか。ベッティングと相対的に比較し、ファン心理との関係性が強いと思っています。つまり、賞金が幾らなのか、といった要素はあくまで付加要素であり、影響力はあるもののコンテクストです。

地元のチームへの帰属意識が高いイギリスではファンタジープレミアリーグが流行っています。プレミアリーグ公式サイトを見ると、トップバナーの左側の目立つ部分にファンタジープレミアリーグが大きく掲載されています。プレミアリーグを好きになってもらうという目的に対して、試合観戦というアプローチだけでなく、お客様のファン心理を掴む有効な手段としてファンタジースポーツが機能している故の掲載位置だと思います。

日本ではスポーツデータを見る人が少ないため、ファンタジースポーツは流行らないといった意見もありますがいかがでしょうか。
 
私は日本人にもデータが好きな人は多いと考えています。SEGAからリリースされているゲーム「プロサッカークラブをつくろう!」や「プロ野球チームをつくろう!」といったシミュレーションゲームは非常に人気です。またプロ野球ファンのコミュニティでは、配球(ピッチャーが投球するコースや球種)がたびたび議論のテーマとされています。サッカーの代表戦があれば戦術論や詳しい解説に話題が至ります。むしろ、ビジネス的に持続するような、本来あるべきFree to Play型で今までファンタジースポーツサービスが提供されていないことが大きな要因の一つだとも考えています。

そもそもファンタジースポーツが遊んでもらえるのか?という点については「プロ野球#LIVE2021」内で今年の夏に調査も行っています。その結果、ベータ版ながら、通常のスマートフォンゲームと比較すると、新規ユーザーの30日後の継続率が倍以上、サービスへの平均アクセス時間が1日3時間程度という値を確認でき、北米などのサービスとも遜色のない、非常に希望が持てる数値となっています。

私の周りでプロ野球やファンタジースポーツに全く興味のない人にも「プロ野球#LIVE2021」を実際に使ってもらったのですが、結果として球場に足を運んでくれて、試合観戦にも繋がりました。中でも面白いと思ったのは、野球に詳しくない人が詳しい人に質問したり議論を促していたことです。通常であれば詳しい人に話を聞いたり、データの話をするのは遠慮してしまいますが、ファンタジースポーツを介することで、気軽に新しいコミュニケーションが生まれていて、こんなに面白い遊びはないなと改めて感じているところです。みな、スポーツは好きだし、キッカケがあれば話題にしたいんです。

【株式会社マイネットが提供する「プロ野球#LIVE2021」】

ファンタジースポーツが流行っている海外と日本では賞金に大きな差があり、日本では賞金が無いことが流行らない理由ともされていますがいかがでしょうか?

賞金や賞品が懸かっていなくても、友人と競っている時点で射幸心が発生している状態と言えます。さらにアメリカの数字を分析するとユーザーの年間消費額は5万円程度です。加えて、アメリカの18才以上の19%がファンタジースポーツプレイしているというデータも出ています。

以上のことから、アメリカでのファンタジースポーツは広く気軽に楽しめるサービスとして普及していると考えられます。私はこの広く気軽に楽しめるサービスとして普及している点にすごく日本市場との好相性を感じており、市場の成長性に大きな期待を抱く理由の一つと考えています。

賞金といった射幸心を直接的に刺激する要素は存在はしていますし、ビジネス面での必要性も考えた際に非常に重要な要素であるこに間違いはありません。ただ、その要素だけに集中したサービスを提供し、コミュニティの定着拡大を怠ったり、スポーツそのものをより楽しむ要素を省いたりしてしまうと、逆にそれが原因で流行らない結果に終わってしまう、という考えをしっかりと意識した上でサービスすべきだと考えています。

ですので、賞金が無いから流行らないというのは少し短絡的かもしれません。スポーツそのものをより楽しめるコンテンツとコミュニティを提供し、その中で賞金を得られるような楽しみ方も適切に付加することで、更に没入度が高まる、というビジネスの形が理想的なのだと思います。

日本は、金銭を賭ける行為は射幸心を煽るとして法規制されていますが、エンターテイメントの観点から刑法上規制すべき事案なのか分析する必要性はありそうですね。

おっしゃる通りだと思います。ファンタジースポーツを通じて、スポーツ業界の発展や地域の発展を見越した上で、節度が守れる形で金銭の授受を可能にする必要性を議論したり、規制緩和を検討する余地はあります。こういった点をしっかりと検討し、適切なビジネスモデルを創り上げていく事が必要だと思います。
 
射幸心を煽るのではなく、余暇の範囲内で仲間と楽しんだり、試合展開により没入するための範囲内で検討すべきではないでしょうか。また使う金額や勝ち得る金額の他にも、競う人数や大会の規模感も検討要素に入ってきます。ファンタジースポーツをベッティングではなく、娯楽として普及させるために、常識的なラインでひとつひとつの数字を検討していきたいと考えています。
 
また、スポーツはどうしても運の要素が入るものです。現役でプロスポーツチームの監督を務めている方が、適切に分析を行っても試合結果を的中させることはできません。運も含めてスポーツの楽しみ方の1つなので、射幸心を煽る賭け事であると一口に定義するのはもったいないと思います。

ただ、法律で賭け事が規制されていることの重要性はもちろん理解しているつもりです。なので、各省庁や専門家の方々が適切なルールを定められるよう、私たち民間企業は具体的なビジネスモデルから各種数字を試算し、具体的な計画を持っていくことが役割であり、市場開発だと考えています。専門家の手を借りながら着実に前に進めていきます。

ファンタジースポーツについて、各種プロスポーツリーグはどのように考えているのでしょうか。
 
リーグの皆様の代わりに勝手に発言させていただくことはできないのですが、基本ファンタジースポーツやそれに類する遊び方について否定的なご意見をいただくことは無い、というのが私の感じている所です。

ただ、ファンタジースポーツやDXによる新たな収益化手段に興味はもっていただいているものの、新たな領域故に整理すべき事項が出てくることも必然です。故に、私たちのような企業が、運営主体として事業を推進する上で、法的な部分から整理してお持ちする事、そして適切な説明を行うことが責務だと考えています。コンテンツとしての魅力はもちろんですが、法律の部分を理解していただければ、ファンタジースポーツというゲームにより好意的に興味を持ってもらえますし、ご意見や不安な点をヒアリングしながら運用や法律について責任を持って整理し、提案をさせていただいています。

そしてもう一つ、当然ながら収益化が可能であることや、その規模や成長性といって点についても責任を持ってご説明する必要があります。

ファン接点拡大に繋がるコンテンツとしての魅力/意義、法律面での整理、収益規模などしっかりと必要要素を整理していくことで着実に取り組んでいける事業だと考えます。今後は実際のサービスに触れていただいたり、実績を見ていただくことでも浸透速度が増していく事に期待しています。

【株式会社マイネットが提供する「プロ野球#LIVE2021」】

スポーツデータを含む、スポーツに関する権利と商流が明確になっていない中、マイネットはサービスで得た利益をリーグへ積極的に還元されている印象です。

冒頭でも話しましたが、ファン拡大や新たな収益の創出は私たちが事業目的の中心に据えているものです。リーグ側も潤うことでDXに再投資がされ、コンテンツの質が上るといった事例と循環を作っていく立場だとも思っていますし、そのために肖像権やデータを正式に取り扱い、収益をしっかりとリーグに還元していくことは市場の創出と育成という中期的な立場を持った時に必要不可欠だと考えています。

また、短期的な経済合理性の観点からも適切な判断だと考えています。例えば、よりファンが増加し易いコンテンツを作りたい場合、リーグやチーム/選手の肖像権を使用させていただくことはコンテンツの質と競争力を高める上で必要不可欠な事ですし、正確で細かいデータを取り扱い、そこの多様性を深めていくことはファンタジースポーツの遊びにバリエーションを持たせる事に繋がりますので、直接的に収益力を伸ばすことにも繋がります。

一方で、肖像権やデータ利用に投資をせずにコンテンツが開発提供される理由としては、事業者側の資本力や、新規市場故に机上での効率的な投資計算が過度に重視されるなどの事象がある事も認識しています。そういった意味ではそもそもの収益力を高めるためにビジネスモデル自体をどう強化していくべきかの議論は別で必要であることもセットにはなりますが、それぞれ並行進行していく話と考えています。

ただ、繰り返しにはなりますがリーグやチームに資金が還流しなければいつまで経っても、質の高いコンテンツをユーザーに提供することはできない、と言うことも事実です。一定の質を担保できているコンテンツを提供するための投資が常識的に行われ、結果更にコンテンツが進化するために細かな試合データの取得などが加速していくような循環を作って行くことが理想と考えます。

今の時期は、DXに伴うデジタル関係の権利が整理されていないので、私たちがリーグに提案しながら整備することも意識しています。規制が強くなると聞こえるかもしれませんが、バランスは取れますし、私たちにメリットがある前提で、リーグやチームにお金を戻すこと、市場を開発することを重要視してます。
 
スポーツベッティングについてポジティブな議論される中、ファンタジースポーツに対してはマネタイズできないといったネガティブな意見もありますがいかがでしょうか。

既にお話した通り、「ファンタジースポーツがマネタイズができない」と言うのはこれまでの国内における取り組みだけを見ての意見が多いと考えていますし、少なくとも私たちは法律面の整理やリーグ様とのお話を進める中で充分にマネタイズできる可能性があると感じています。

また、分断論に陥らずファンタジースポーツもスポーツベッティングも両方取り組めばいいと思います。どちらも原点に立ち返ると、ファンを増やす、スポーツ業界を大きくしていく、スポーツによって地域を豊かにしていくことが目的ですので、何かを否定することに意味はありません。イギリスやアメリカを見ても両立しています。ドラフトキングスは、両立をしながら業績を上げています。様々な隙間、セグメント、可処分時間をスポーツで埋めていくことで、ファンダムを成長させていけばいいのではないでしょうか。

スポーツDXの展望とビジョン

ファンタジースポーツの未来について教えてください。

数年単位で見れば、いずれスポーツベッティング市場が生まれると思っていますが、ファンタジースポーツはその1つ手前の巨大市場だと認識しており、私たちの試算では最大3000億円の市場規模に成長すると予測しています。

ファンタジースポーツ市場が立ち上がることによって、データビジネスの加速、肖像権や商標権などの権利関係の整理・活用の仕組み確立、適切な業界ガイドラインの頒布など、スポーツベッティング市場のスムーズな立ち上がりに貢献できる点も多いと考えています。そういった意味では市場そのものの規模に留まらず重要な取り組みだと考えています。

また、当然の話ですが、ファンタジースポーツを通じて、現実のスポーツに興味を持ってもらうこと、スポーツゲームではなくプロスポーツの新しい楽しみ方を提供することが何より重要と考えています。早く多くの方々が友人や仲間と一緒に、新しい形でプロスポーツの話題を共有してもらえる世界観を作って行きたいと思います。

ファンタジースポーツ以外で注目しているスポーツDX領域はございますか。

色々ありますが、ファンタジーという現実のスポーツに興味を持ったオンラインコミュニティに対して、様々な新しいコンテンツを提供していくことです。下地は整ってきたので、この部分には非常に大きな可能性があると感じています。

その中でもNFTとの組み合わせには注目をしています。既に海外でもメジャートレンドの一つになりつつありますので、デジタルコレクタブル(NFTトレカ)× ファンタジースポーツはどちらも独立して成立しますが、組み合わせでのシナジーは極めて高いと考えています。

高いシナジーの理由は、デジタル同士の組み合わせでもあり、現実結果を反映させたサービスの組み合わせでもある点なのですが、結果としてお客様がより現実の結果に注目する機会が増え、ファン化も促進できますし、保有データが可視化されることで、プロモーションやブランディングなど有効的なマーケティング施策にも将来的には繋がって行きます。

マイネットのビジョンとご自身のビジョンについて教えてください。

マイネットはデジタルの力を使って、繋がりを拡張することに取り組んでいます。オンラインであってもオフラインであっても、人は会話を通じて、人に寄り添い、人と繋がりながら日々を過ごしていくものです。今は、スポーツというコンテンツに集中して取り組み、デジタルを使って繋がりを拡張していくことを一歩一歩進めている途中になります。スポーツに携わるステークホルダーの皆さんの意見をいただきながら、日本のプロスポーツリーグ・チームが掲げている目標にたどり着けるよう、私たちなりにお手伝いをしながら、1日でも早くその目標を実現したいと考えています。

また、スポーツが盛んな国は豊かな国だと思っています。東京オリンピックを見て、改めて思ったのですが、バックグラウンドも知らないその日に知った選手を涙流しながら応援できるコンテンツって、リーチの広さを含めて考えるとスポーツ以外に存在しないと思うんです。スポーツが盛り上がることと日本が豊かになっていくことには相関性があると信じているので、私自身も色々な角度やレイヤーからスポーツに関わって貢献していきたいと考えています。


インタビューアー:稲垣 弘則
西村あさひ法律事務所・弁護士。2007年同志社大学法学部卒業、2009年京都大学法科大学院修了、2010年弁護士登録。2017年南カリフォルニア大学ロースクール卒業(LL.M.)、2017年〜2018年ロサンゼルスのSheppard, Mullin, Richter & Hampton LLP勤務。2018年〜2020年パシフィックリーグマーケティング株式会社出向、2019年〜SPORTS TECH TOKYOメンター、2020年〜INNOVATION LEAGUE ACCELERATIONメンター、2021年〜経済産業省・スポーツ庁「スポーツコンテンツ・データビジネスの拡大に向けた権利の在り方研究会」委員。スポーツビジネスにおける実務経験を活かしつつ、日本企業やスタートアップを含めたあらゆるステークホルダーに対してスポーツビジネス関連のアドバイスを提供している。

執筆協力:五勝出拳一
『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事。スポーツおよびアスリートの価値向上を目的に、コンテンツ・マーケティング支援および教育・キャリア支援の事業を展開している。2019年末に『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。

執筆協力:清野修平
新卒でJリーグクラブに入社し、広報担当として広報業務のほか、SNSやサイト運営など一部デジタルマーケティング分野を担当。現在はD2Cブランドでマーケティングディレクターを担いながら、個人でもマーケティング支援を手掛けている。
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著者プロフィール

SPORTS TECH TOKYO

スポーツテックをテーマにした世界規模のアクセラレーション・プログラム。2019年に実施した第1回には世界33カ国からスタートアップ約300社が応募。スタートアップ以外にも国内企業、スポーツチーム・競技団体、スポーツビジネス関連組織、メディアなど約200の個人・団体が参画している。事業開発のためのオープンイノベーション・プラットフォームでもある。現在、スポーツ庁と共同で「INNOVATION LEAGUE」も開催している。

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