【レビュー】2021年JFL第34節 いわきFC対F.C.大阪

いわきFC
チーム・協会

【©︎IWAKI FC】

第23回日本フットボールリーグ(JFL)第34節。いわきFCはF.C.大阪に3対0で勝利。今季最終戦を勝利で飾り、JFL優勝そしてJ3昇格に花を添えた。

今季は4-1-3-2でスタートし、シーズン半ばから3-4-3と4-3-3を併用。状況に応じ複数のフォーメーションを使い分けてきたいわきFCはこの試合、4-3-3で構えた。

GKは前節に続き白岡ティモシィ。そして大阪のストロングである左サイドからの攻撃に対応するため、対人の強さとスピードのある江川慶城が右SBで初先発。CBは右に高さと強さのある黒宮渉、左にビルドアップ能力の高い小田島怜。左SBはチームの核・日高大。MFは盤石の山下優人と宮本英治、そして岩渕弘人。3トップは中央に今季11得点を挙げた古川大吾、左FWに鈴木翔大そしてSBとWMFでサイドを支え続けた嵯峨理久を右FWに起用。

試合は前半、互いが攻め合うも決め手のない展開。FW古川、MF岩渕らが積極的にゴールに迫るも、得点には至らない。

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いわきは後半開始より右FWに谷村海那を起用。嵯峨を右SBに下げ、安定感を取り戻す。

46分に嵯峨が右サイドを上がり、クロスをFW鈴木が頭で決めて今季10点目のゴール。鈴木はこのゴールで得点ランキング7位に。いわきは攻撃の手を緩めず、74分にはDF黒宮がミドルシュートで今季初得点。今年はボランチとCBでプレーし、負傷もあって出場機会の少なかったいわき市出身のディフェンダーが、最後に結果を示した。

そしてダメ押しの3点目を決めたのがFW谷村海那。今シーズン中盤にチャンスをつかみ、前線からの積極的な守備で攻撃陣の貴重なオプションとなってきた谷村が、今季5点目となるゴールを挙げた。

来季スポーツディレクター就任が内定している田村雄三監督の最終戦は、3対0の快勝。今シーズンJFL最多となる2451名の観衆の前で、いわきFCは有終の美を飾った。

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■田村雄三監督談話

「最終節ということで、優勝と昇格が決まっている中、2400名強の方が駆けつけて下さり感謝しています。『多くの方が来場されるからしっかりプレーして、勝って終わりにできるよう頑張ろう』と言って、選手達を送り出しました。それが実ってよかったです。サポーターの皆さんには感謝しかありません。

どんなサッカーをして、今日来て下さった方々に何を感じてもらうか。そこが大事でしたし、選手達は体現してくれたかなと思います。戦術どうこうではなく、その部分で相手を上回ることができたことが勝利につながった。1年間やってきたことをしっかり出して勝つ。その中で自分達のサッカーを体現するということが大事なので、点を取っても引かずに追加点を狙っていけと言いました。

優勝、昇格とともに勝ち点70・70得点・30失点という目標を掲げてきましたが、得点以外は達成できました。得点については来季に向かう課題かと思います。

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この1年を通じて特別なことを言ってきたわけでもないのですが、サッカーの試合以外でのところ、練習に取り組む姿勢や食事、休息といった選手個人が成長するサイクル、外からは見えにくい部分での意欲や努力がこの結果につながりました。皆の成長意欲がこの結果を生んだ。1年間自分の身体に向き合い、自分に矢印を向けることは大変だったと思いますが、成長意欲を失わず、もっと上に行きたい、もっと上手くなりたいという選手の思いが結果をもたらしたと思います。本当に選手がよく頑張ってくれました。

Jリーグ百戦錬磨の監督がいらっしゃる中で監督論を語るのは恐縮ですが、指導者は結果と育成の狭間で生きていて、クラブの理解があって仕事ができている。勝つことも大事。でも人を育てることも大事。何かのきっかけで選手が急激に伸びることもあり、監督をしたことでその面白さを実感できた。たった一つの声がけで選手が大きく変わることがよくわかりました。

実はこの1年間、選手一人一人の行動をよく見てきました。僕の中では1週間の練習で、一番試合に出たいという思いが強い選手を選んできたつもりです。でも選ぶ=スタートから外れる選手が出るということ。その選手がもう一度出たいと思えるように、監督が、スタッフが、もっと言えば社長が声をかける。クラブ全体で選手を育てよう、という思いがとても強かった1年でした。

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6年前と今では景色がまったく違います。いわきFCは震災をきっかけに生まれたチームですが、自分は被災してはいませんし、震災云々を口にしていいのかどうかは、今でも自問自答しています。でも、このいわき市、浜通り、福島県のためにこのチームで何かの役に立ちたいと思ってきました。今日の2400人が5000人、1万人に増えていくことを創造すると、この仕事には多くのドラマがある。このチームが生まれた背景をずっと忘れず、しっかりやっていかなくてはいけませんし、できることはもっとあるはずです。

今後はスポーツディレクターとして新監督を全身全霊で支えていければと思っていますので自分が目立つのはよくない。アカデミーからトップまでしっかり見て、もう一度カルチャー作りをしていく。もっと地域に根づくチーム作りをしなくてはいけませんし、地域のために何ができるかをもっと考えていかなくてはいけない。監督をやらせていただき思うこともいろいろあるし、いわきFCの存在をもっともっと全国区にしたい思いもあります。

いわきスポーツクラブとしては、いわきFCというトップチームは一つのツール。今、コロナ禍でできていない活動も多くあります。もっと地元の子ども達の所や商店街など色々な場所に率先して出て行き、地域を盛り上げていけたらと思います」

■来シーズンも、熱き戦いにご注目を!

今季のいわきFCは開幕から勝利を重ね、前半戦終盤まで無敗。夏にFC TIAMO枚方に、9〜10月にかけてHonda FC、ソニー仙台FCに敗れたものの、終盤、再び勢いを取り戻した。21勝8分け3敗の勝ち点71。2位Honda FCに4ポイント差をつけてのJFL制覇、そして堂々たるJ3昇格を成し遂げた。

2016年の福島県2部リーグから始まり、2019年に東北社会人リーグ1部を制し、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019で優勝してJFL昇格。そしてJFLを参戦2年目で制した。

ここまで全カテゴリーで優勝してのJリーグ昇格。歴史に残る快挙と言っていい。

チーム創設から6シーズン。ついにJの舞台へ。J2より松本山雅FC、愛媛FC、ギラヴァンツ北九州、SC相模原の降格が決定。よりいっそうの激しい戦いが予想される来季のJ3に、いわきFCは「魂の息吹くフットボール」で立ち向かう。

東日本大震災からの復興の希望となるために。いわき市と双葉郡の人達が生き生きと楽しむ姿を日本中に、アジアに、世界に発信するために。そして日本のサッカー界、スポーツ界に新たなイノベーションを起こすために。

戦いは、これからも続く。

【©︎IWAKI FC】

なおF.C.大阪戦のハイライトを、いわきFCの公式YouTubeチャンネルにて配信している。

そして、いわきFCの最新コンテンツを、"魂の息吹く"noteにて配信中。

また、いわきFCファンクラブ「LOVE IWAKI」は、2022年シーズンに向けて現在準備をしており、来年1月中旬ごろを目処に概要を発表予定だ。ぜひ楽しみにして欲しい。
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著者プロフィール

「いわき市を東北一の都市にする」ことをミッションに掲げ、東北社会人サッカーリーグ1部を戦う「いわきFC」の公式アカウントです。

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