【J1・広島】試合の見どころ J1リーグ第25節 vs.川崎フロンターレ

サンフレッチェ広島
チーム・協会

【©2021 S.FC】

試合の見どころ

 まさに無敵の王者との戦いだ。昨季、2位に勝点差18をつける圧倒的な成績で3度目のJ1制覇を成し遂げた川崎Fは、今季も絶大な力を誇示。ここまで24試合を終えて19勝5分と開幕から無敗をキープし、しっかりと首位を維持している。「今季はまだ負けていない。それほどの独走には理由がある。技術の高さ、ハードワーク、それを続けられたからこそ。その差を埋めて彼らから勝点をとるには、自分たちの最高レベルの力を出さないといけない」(城福浩監督)。広島の底力が問われている。
 川崎Fに初黒星を付けるべく戦う広島の指揮官がポイントに挙げたのは、良い守備からの良い攻撃だ。川崎Fと言えば、テンポの良い細かなコンビネーションを駆使した攻撃スタイルに目が行きがちだが、ボールを失った際の素早い切り替えによって奪い返す“即時奪回”も大きな武器だ。チーム全員で労を惜しまずハードワークし、188cmの大型ストライカーであるレアンドロ・ダミアンも前線から積極的にプレスをかけに行く。そしてボールを保持すれば、リーグ屈指の技巧派軍団の強みである高い技術、アイディア、意思統一されたコンビネーションで敵陣へ果敢に進出してゴールを奪う。ボールを握られる時間が長くなりそうだからこそ、「我々らしく、堅い守備の中から厳しい奪い方をできるかがスタートになる」(城福監督)。
 だからと言って、守備だけで終わる考えは当然ながらない。「相手陣地で我々がボールを保持しようと思えば、できると思っている」と指揮官が自信を持つように、敵陣地でのボールポゼッションは広島も一つの武器だ。そこにカウンターを織り交ぜながら川崎F守備陣を攻略するためには、やはり良いボールの奪い方をしてからの攻撃が最も効果的だ。逆に守備が機能しなければ、川崎Fに一方的に押し込まれてしまうだけの展開となり、負けに近付く。“良い守備からの良い攻撃”は、川崎Fを止めるためにも、そして勝利のゴールを奪うためにも重要な戦い方となる。
 川崎Fは今季のチームをけん引していた五輪世代の三笘薫と田中碧の二人が海外クラブへ移籍したのは痛手だろうが、それを補う戦力が控えているのも王者たる所以だ。レアンドロや家長昭博、ジョアン・シミッチ、旗手怜央らは健在であり、サブに目を向けても2017年のMVPである小林悠が控える豪華な陣容。まさにJ1で勝つのが一番難しい相手だからこそ、勝利した時に得られる喜び、自信は今後に向けての大きなパワーとなる。
 1週間前は広島県を襲った大雨による被害で神戸戦が延期となった。まだまだ苦しんでいる方々がいるからこそ、サンフレッチェは「我々ができることはまず魂のこもったゲームをして、良い報せを届けること。そこはベストを尽くしたい」(城福監督)。力をすべて出し尽くし、王者を破って広島県に最高の吉報を届けたいところだ。

城福浩監督試合前日コメント

---選手たちの状況は?
「(前節は)延期となったが故に準備としては難しくなったが、選手はやれる環境の中でしっかりやってくれたと思う」

---川崎Fの得意な形である即時奪回、最初のプレッシャーを剥がす具体的な方法は?
「やはり良い守備ができないといけない。GKからゆっくりボールを繋いで『こうやったら剥がせますよ』という方法があるんなら、みんなそれをやっている。各々のチームのやり方があると思うが、我々らしく、堅い守備の中から厳しい奪い方をできるかがスタートになる」

---良い形でボールを奪えば、カウンターも含めて良い攻撃ができるのでは?
「それがカウンターになるのか、カウンターをやめて相手陣地でボールを保持するのかは、選手の戦術眼によるところがあると思う。良いボールの奪い方が何回かできれば、押し込まれながらずっとサッカーをやることはないと思う。相手陣地で我々がボールを保持しようと思えば、できると思っている」

---川崎Fは特にレアンドロ・ダミアン選手の攻守における貢献が大きいが?
「キープ力もそうだし、足もヘディングも持っている。点を取る形を自分で作り出せる選手だし、周りもそれを生かすことができる。彼にゴール前でプレーさせないようにしないといけないが、要注意なのは彼が2列目まで落ちてボールを触った後にそこから(ゴール前に)入ってくる。なかなかつかみづらいところもある。つかみっぱなしになるのか、渡してスペースを埋めるかのメリハリは今日確認した」

---途中から出てきそうな小林悠選手も警戒だが?
「とにかくシュートがうまいし、コツを知っている。そこに家長(昭博)を含めて供給できる選手もいる。当事者だけをケアするよりは、供給する選手がある程度、余裕を持ってボールを出せるような状況にさせないようにしたい」

---広島の前線に期待することは?
「チームとしてやってきた良さと、右と左で各々タイプが違うので、その良さを出せるようにしたい。彼らサイドで違った良さが出せると思うので、そこはやってくれると思っている。もちろん、良い守備をした後で攻撃の良さを出さないといけないので、相当ハードワークをしないといけない試合になると思うが、そこは出せる力を全部出し切ってほしい。そして後に続いていく選手が良い状態でバトンを受けられるようにしたい」

---広島県は大雨で被害を受けているが、勝利で良い報せにしたいのでは?
「特に私たちがお世話になっている安芸高田市吉田町もすごく大変な状況になっているのは聞いている。幸いにして、我々は市内で練習ができたが、県内の至るところで大変な被害を受けている。これからもリスクがあると聞いている。我々ができることはまず魂のこもったゲームをして、良い報せを届けること。そこはベストを尽くしたい」
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

東洋工業(株)蹴球部として1938年に創部。1992年にサンフレッチェ広島と改称し、1993年の初年度からJリーグに参戦している。サンフレッチェの名称は、日本語の「三」とイタリア語の「フレッチェ=矢」を合わせたもの。広島にゆかりの深い戦国武将、毛利元就の故事に由来し、「三本の矢」を意味している。本拠地はエディオンスタジアム広島。2012年にJ1リーグを初制覇、2013年、2015年も優勝し、4年で3度のJ1リーグ制覇を果たした。2015年には、FIFAクラブワールドカップで3位になるなど、育成型クラブとして結果を残している。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント