【J1・広島】試合の見どころ J1リーグ第21節 vs.鳥栖

サンフレッチェ広島
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試合の見どころ

 歴史的な一戦は、イベント盛りだくさんだ。今節は広島東洋カープとの共同記念ユニフォーム着用試合として、サンフレッチェ史上初めて“赤”を身にまとって戦うメモリアルなゲームとなったが、選手ではチームの中心である川辺駿がスイス1部のグラスホッパー・クラブ・チューリッヒへ移籍合意となったことで、背番号8のラストマッチとなった。さらに大迫敬介も鳥栖戦が終われば、東京五輪へ舞台を移す。記念ユニフォーム試合について城福浩監督が「広島ならではの企画。勝って締めたい」と話せば、川辺のラストマッチについて佐々木翔キャプテンは「勝利で送り出したい」と気合いを入れる。さまざまな思いの詰まった今節、選手たちのモチベーションは十分だ。
 試合に目を向ければ、後半戦の反撃に向けて勝てば自信を得られる一戦となる。今季、快進撃を続ける鳥栖のここまでの成績は9勝6分4敗の6位。アカデミー育ちの20歳・松岡大起を筆頭に林大地や樋口雄太など20代前半の選手が多く揃うが、その力は本物だ。攻撃ではGK朴一圭を含めた後方からのビルドアップは洗練されており、敵陣に入った際の細かなパスワークを駆使したコンビネーションはかなりの脅威となる。また、守備はリーグ最少の10失点を誇るように組織的な守りは鉄壁。「5枚の集結や3枚の中盤も含めて、非常に戻りが早い。また、穴を開けない。そういう意味で失点の少ないチームになっている」(城福監督)。攻守においてまとまりのある鳥栖は、かなりの難敵だ。
 では、その鳥栖をいかに攻略して広島は上位を狙うか。「我々らしくサイドと中で崩すこともそうだし、相手の切り替わりのところで上回って良い制限をかけられれば、そこからビッグチャンスが生まれると思う。とにかくチャンスの数を多くしたい」と指揮官。前節から2週間空いた中断期間ではトレーニングでサイド攻撃を磨き続けた他、鳥栖戦に向けて守備の整備も入念に行われた。遅攻で相手を崩すこともそうだが、自陣からポゼッションしてくる鳥栖相手に狙いたいのは、やはり“良い守備からの良い攻撃”。1-0で勝利した前節・柏戦も得点は少なかったが、前線からの組織的な守りをベースにチャンスは作り続けた。その戦いをより研ぎ澄ませば、必ずチャンスはある。
「勝点3を積み上げていかないと我々が目指すステージに行けないというのは分かっている。イベントごとがある、なしに関わらず、明日の試合は負けられない思いが強い。プラス、そういうイベントに対しては、駿を海外へ送り出す、敬介をオリンピックに送り出すという意味でも、見に来てくださったファミリーの方を含めて、気持ち良く送り出せるのはやはり勝点3が必要。そこはみんなで良い送り出し方ができればと思っている」(城福監督)。両選手を笑顔で送り出すためにも、そしてチームの上位浮上のためにも、勝点3は必須だ。

城福浩監督試合前日コメント

---鳥栖のシステムは分かりづらいが?
「基本は3バックで攻撃の時と守備の時で(形を)変えている。その変え方はずっと変わらずやっている。うまく対応したい。(鳥栖は)ある程度の方程式がある可変なので、予測がつなかいほどではない」

---鳥栖の10失点はJ1で最少だが、どう崩していくか?
「5枚の集結や3枚の中盤も含めて、非常に戻りが早い。また、穴を開けない。そういう意味で失点の少ないチームになっている。ではチャンスを作れないかと言うと、ビッグチャンスを作られている中でGKを合わせて体を張って防いでいる。そこは、我々らしくサイドと中で崩すこともそうだし、相手の切り替わりのところで上回って良い制限をかけられれば、そこからビッグチャンスが生まれると思う。とにかくチャンスの数を多くしたい」

---林大地選手と山下敬大選手のパワフルな2トップについて。
「裏への意識が非常に強い。推進力もあるし、引き過ぎると中盤の間で受けることもできる。我々は引くところと前から行く時のメリハリはつけないと難しい試合になる。特に相手の2トップは常に近くにいて、お互いの動きのコンビネーションもある。誰かが潰れて誰かが空くということもやってくる。クロスの入りも非常に動きがある。そこはボールホルダーだけでなく、2トップへのマークも厳しくしないといけない」

---暑くなってきた中で選手交代も一つのテーマでは?
「間延びするとしたら終盤になると思う。そこで攻守においてどういうエネルギーを注入できるかは、交代選手が大事だし、ファクターになると思う。もちろん、大事なのは交代してピッチを去る時に100%のエネルギーを使い切れているか」

---明日はカープとの共同記念ユニフォームの着用や移籍する川辺駿選手のラスト試合、大迫敬介選手の五輪前最後の試合など、イベントが多いが?
「後半戦に向けて自分たちが“ここから”というテーマの元にずっと準備してきている。勝点3を積み上げていかないと我々が目指すステージに行けないというのは分かっている。イベントごとがある、なしに関わらず、明日の試合は負けられない思いが強い。プラス、そういうイベントに対しては、駿を海外へ送り出す、敬介をオリンピックに送り出すという意味でも、見に来てくださったファミリーの方を含めて、気持ち良く送り出せるのはやはり勝点3が必要。そこはみんなで良い送り出し方ができればと思っている」

---川辺選手にはどういうプレーをしてもらいたいか?
「彼はもちろん攻撃の良さが最大の売りだが、守備のところで本当に効いている選手。彼が絡むと破綻しかかった守備が整えられる。攻守において彼らしくやってもらうことが、勝点3に近付くことになる。チームとしたら彼の良さをさらに生かせるような、彼の3列目からの飛び出しやスルーパスを引き出すこと、ミドルシュートが多く出るような場面をチームとして作りたい」

---2018年から監督は一緒に戦っているが、課題だった守備が改善され、よくここまで成長した。
「彼の持っている技術やサッカーに対する思いは、本当にレベルが高い。それをピッチの上で表現する仕方が当時求めていたのものと少しズレがあったのかもしれない。それを彼はよく受け入れて、自分の中で格闘したと思う。ピッチに立つまでの努力は何よりも彼自身の成長の源泉だと思う。その努力のプロセスはチームに与えるものが大きかった。彼がいろいろ受け入れながら努力している姿というのは、実は彼がフルで試合に出ていない時でもチームに大きく貢献していたと思う。あの期間が彼をより逞しくしたと思う。今は代表に選ばれても、彼の成長のプロセス。まだまだゴールは先にある。明日は良い送り出し方をして、海外でさらに成長してほしい」

---数年前、川辺選手は本当の意味でチームの中心になってほしいと話していたが?
「彼はその場面になれば、鼓舞したり、叱咤激励をできる選手だが、元々は背中で見せるプレーヤー。そういう意味では、彼のプレーぶりやサッカーへの向き合い方を示して、それでチームを引っ張っていく存在に十分になれると思っていた。何よりも彼はチームメートに愛されていた。それはなぜかと言うと、サッカーが大好きなだけでなく、受け入れながらやるべきことをやる姿が彼が愛されている証拠だと思う。ロッカールームやピッチを離れたところで、愚痴りたくなる時もあるだろうし、ネガティブな言葉を吐きたくなる時もあったと思う。おそらく、周りがあれだけ彼を慕っているのは、そこをグッとこらえながら自分の成長を信じてやってきたところが、ひょっとしたら彼の一番のストロングだと思う」
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著者プロフィール

東洋工業(株)蹴球部として1938年に創部。1992年にサンフレッチェ広島と改称し、1993年の初年度からJリーグに参戦している。サンフレッチェの名称は、日本語の「三」とイタリア語の「フレッチェ=矢」を合わせたもの。広島にゆかりの深い戦国武将、毛利元就の故事に由来し、「三本の矢」を意味している。本拠地はエディオンスタジアム広島。2012年にJ1リーグを初制覇、2013年、2015年も優勝し、4年で3度のJ1リーグ制覇を果たした。2015年には、FIFAクラブワールドカップで3位になるなど、育成型クラブとして結果を残している。

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