【新日本プロレス】内藤哲也とインターコンチネンタル王座を巡る愛憎のすべてを直撃!

チーム・協会

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

2月28日(日)大阪城ホールにて、飯伏幸太の持つ二冠王座……ではなく、あえて“IWGPインターコンチネンタル王座のみ”に挑戦を表明した内藤哲也。

いったい、本当の真意はどこにあるのか? 愛憎が入り混じるインターコンチネンタル王座との関係性をあらためて挑戦者に問い直した肉薄インタビュー!!(前編)

※撮影/中原義史

※以下、インタビューの「前半部分」をSportsNaviで無料公開!


■『CASTLE ATTACK』
・2月27日(土) 14:00開場 16:00試合開始
大阪・大阪城ホール

・2月28日(日) 12:00開場 14:00試合開始
大阪・大阪城ホール

飯伏の二冠統一論に関して、俺はどうしても物申したかったので、飯伏が勝ったらすぐ動こうと思ってました。

【新日本プロレスリング株式会社】

──さて、内藤選手。先シリーズは「非常にヒマだ」と、「ノー・オクパードだ」としょっちゅうおっしゃっていましたけど。

内藤 フフフ。たしかにノー・オクパードでしたね。

──最後の広島2連戦は2連勝しましたけど、お気持ち的に東京ドームまでのような張り詰めた空気はない感じでしたか。

内藤 まあ、先シリーズはタイトル戦線にも絡んでいませんでしたからね。だからと言って緊張感がないわけじゃないけど、ほどよい緊張感は感じながら、最近味わってなかった「自分でテーマを探していく」ような戦いを久々にしたこともあって、凄く楽しいシリーズでしたね。自分の中でエンジョイできるシリーズでした。

──異様に張り詰めた年末年始から、ちょっとだけギアチェンジできたというか。

内藤 先シリーズ、俺以外のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのメンバー4人は、みんなテーマがあったんですよ。俺一人だけテーマがない状況で、もちろん寂しい状況ではあったんですけど、逆に一歩引いたところから4人の雰囲気であり、戦いぶりを見ることができたので、貴重な意味のあるノー・オクパードなシリーズだったかなとは思いますね。

──でも、次の動きは予想以上に迅速でしたよね。最終戦の広島大会のメインイベント後に動かれましたけど、お客さんのリアクションも「あっ! 内藤が行くのか!」っていう驚いた空気があって。

内藤 いや、先シリーズの最中も「来るべきタイミングが来たら、俺は動くよ?」とは言ってましたからね。要するに飯伏vsSANADAの二冠戦の“結果待ち”でした。やはり、飯伏の二冠統一論に関して、俺はどうしても物申したかったので、飯伏が勝ったらすぐ動こうと思ってました。ただ、SANADAが勝った場合には、俺は動かなかったかもしれないですね。

──飯伏選手が王座統一に関して言い出したのは、1月5日の東京ドームで防衛してからですかね。それ以降、この話題に内藤選手があえて触れることはなかったですけど、密かに“引っかかる部分”があったわけですね?

【新日本プロレスリング株式会社】

内藤 正直、飯伏の考えは理解に苦しみますよね。ちょっと何を言っているのか、ハッキリ伝わってこない……。もちろん本人の中ではちゃんと整理できているんでしょうけど、それがいまいち伝わってこないなっていうのは、彼のコメントを読んでいても感じました。多分、それは俺だけではなく、読んだ人みんなが思ったことじゃないですかね。

──この二冠統一プランには賛否両論がありましたけど、たしかに頭の中が「?」となった人も多かったかもしれないですね。

内藤 何事も100パーセントの支持って無理だと思うし、別に全部が全部みんなが支持するアイデアじゃなきゃいけないなんてことはないですよ? むしろ、賛成派がいなくても「俺はこれをやりたいんだ!」っていうことを提示することって、凄く大事だと思うんですよ。まあ、言葉足らずだったかもしれないけど、「飯伏が新しいことをやろうとしているんだ」っていうことだけは伝わっては来ましたけどね。

──チャンピオンですから、何かしら新しいことを提示すること自体はいいことだと思いますが。

内藤 ウン。だから、飯伏もドーム前とドーム後で「ちょっと変わったな」とは思いました。チャンピオンになったというのもあるだろうし、ドームを締めたというのもあるでしょうし、何かが変わったんだろうなっていうのは感じてました。

もしかしたら『NEW JAPAN CUP』を待たずに統一されてしまう可能性だってある。そう考えた時に、「これはのんびりしている場合じゃないな」と

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

──その一方で、内藤選手の飯伏選手の統一論に関しての反論には、同意する人も多かったと思うんです。ただ、広島の舞台で飯伏選手の前に立ち、「インターコンチネンタル王座のみに挑戦する」という言葉には、こちらも「?」が頭に浮かんだ人もいた気がして。

内藤 あ、そうですか。

──あえてインターコンチネンタルのみに挑戦、というのは理屈的にはわかるんですけど、改めてどんな狙いがあるか詳しく教えてもらえますか?

内藤 そうですね。いま新日本プロレスにはたくさんのチャンピオンベルトが存在しますが、その中の頂点、なんならプロレス界の頂点のベルトはIWGPヘビー級王座だと俺は昔から思っているし、今も変わらず「そうだ」と思っています。そういう思いがあるから、IWGPヘビー級王座を落とした直後に「もう一回挑戦させろ」というのは…。ただ、それをやったこともありますよね。実際、去年、EVILに7.12大阪城ホールで負けて、その後に8.29神宮球場でリマッチをやってますからね。

──早い段階で、時間的には約1カ月半で二冠王座を奪い返しましたよね。

内藤 でも、基本的には「もう一回やらせろ」っていうのは、俺はあまり好きではないんですよ。ましてや、東京ドームの飯伏戦に関しては、彼はあくまで正攻法で戦ってきましたし、俺も文句を言えないぐらいに完璧に3カウントを獲られている。だから、IWGPヘビー級王座への“敬意”も含めて、ここでもう一回IWGPヘビー級王座に挑戦させろというのはちょっと違うかなと思ったんです。

──なるほど。

内藤 ですが、のんびりしてると飯伏が提唱している“二冠王座統一”っていうものが、明日にも明後日にも実現してしまう可能性がある。たしかにその後に『NEW JAPAN CUP』が控えているので、そこで優勝すれば文句なしの挑戦ができるんですけど、もしかしたらそれを待たずに統一されてしまう可能性だってある。そう考えた時に、「これはのんびりしている場合じゃないな」と。要するに「ノー・トランキーロ」ですよ(ニヤリ)。

──じゃあ、先シリーズは割とのんびりしているように見えて、内心はかなり焦っていたということですか。

内藤 さっきも言ったように、飯伏が勝った場合には、挑戦に名乗りを上げようと決めていましたね。すぐに動かないと、あとで「俺は実はこうしたかったんだよ」って言っても、もう手遅れですから。

──なるほど。ベルトの統一の絶対阻止ということが第一の目的だと。

存在意義に関しては疑問しかないベルトではありますが、内藤哲也というレスラーを振り返った時に、なんだかんだで一番関わりのあるベルトのような気がするんですよね。

【新日本プロレスリング株式会社】

──その一方で、2月14日の後楽園ホール大会の試合後に内藤選手が言った言葉も気になるというか。

内藤 どんな言葉ですか?

──「俺がインターコンチネンタル王座を獲った場合、2月28日から半年、8月28日までに防衛戦を行なわなければ、インターコンチネンタル王座は返上ということになる。つまり、そのとき、インターコンチネンタル王座の役が、終わるんじゃないですか?」とおっしゃってますね。つまり「獲ったら、即封印」ということではないんですよね。

内藤 俺が獲ったら、即封印ということではないです。

──なるほど。

内藤 ただ、昔から言ってますけど、やっぱりインターコンチネンタル王座は、なんで存在しているのかが俺には理解できないベルトだし、「別になくなってもいい」とは思っていますよ。だからこそ、6カ月間、欲しいと言う選手が誰もいなかった場合、俺は防衛戦をやらないから返上になる。それで返上になって新日本プロレスが「じゃあ決定戦をやります」って言っても、そもそも欲しい選手がいないんだから、決定戦をやろうにも名乗りを上げる選手はいないでしょう。その時こそ、このベルトは役目を終える時なんじゃないかなと思うんですよ。

──即封印ということではなく、ジックリと正式の手順は踏むということなんですね。

内藤 そうですね。

──これが飯伏選手にしてみれば、「どっちみち封印になるなら、二つベルトを獲って一つを封印すればいいじゃないですか」という反論になると思います。でも、内藤選手にしてみれば、インターコンチネンタル王座のみに挑戦するというのは、IWGPヘビー級王座への敬意が大きいということなんですね。

内藤 それが一番でしょうね。あと、俺が何もしなければ、二冠王座が統一されてしまうわけですよ。IWGPヘビー級王座の歴史も、インターコンチネンタル王座の歴史も終わってしまうわけですよ、おそらく。

──そこも少しわからない部分で、飯伏選手は「IWGPヘビーの歴史はそのままで」っていうニュアンスの発言もされているんですよ。

内藤 おっ、そうなんですか?

──ええ。なので、飯伏選手自身の二冠王座統一のビジョンも誤解されている面があるかもしれないですね。

内藤 まあ、どちらにしてもインターコンチネンタル王座の歴史はおそらく終わるんですよ。IWGPヘビーに吸収されるにしても、統一ベルトとして名称が変わるにしても、IWGPインターコンチネンタル王座の歴史は終わるわけです。

──たしかにそこは共通していそうですね。

内藤 何度も言うように、存在意義に関しては疑問しかないベルトではありますが、内藤哲也というレスラーを振り返った時に、なんだかんだで一番関わりのあるベルトのような気がするんですよね。

「アイツ嫌いなんだよ」って言ってた子を、いつの間にか好きになってしまうこともあるわけじゃないですか?

【新日本プロレスリング株式会社】

──ただ、内藤選手もおっしゃっていた「海の向こうに渡ってしまった“あの選手”」。つまり、現WWEの中邑真輔選手が“ミスター・インターコンチネンタル”という印象が強かったんですけど、調べてみるとじつは最多戴冠はもう内藤選手なんですよ。

内藤 あ! そうですか。




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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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