ロッテ安田 ホークス柳田の教えを胸にいざ新たなシーズンへ

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【安田尚憲内野手】

 その表情は充実感と自信に溢れていた。安田尚憲内野手は1月、チームメートの福田秀平外野手、藤原恭大外野手と共に佐賀県で球界を代表するスラッガー・ホークスの柳田悠岐外野手と自主トレを行った。プロ入りからこれまでは独自で練習を行ってきたが初めて教えを乞う形で参加をさせてもらった。

 あれは昨年のシーズン中。ZOZOマリンスジアムでホークス戦が行われた際の練習中に「来年の自主トレ、ボクも一緒にさせていただけませんか?」とお願いをすると「おう、いつでも来いよ」と二つ返事で承諾をしてもらった。

 「日本で1番凄い選手。そんな選手と一緒の時間を過ごさせていただき毎日が衝撃の連続でした。高いレベルで練習をさせていただきました」
 
 濃厚な日々を安田はそう振り返った。合流したのは1月上旬。雪が降り積もる寒い日だった。集合先は宿泊先の旅館。そこに憧れの選手は待っていた。翌朝から練習に向かうとロングティーを目の前で見て衝撃を受けた。「強烈だった。凄いパワー」と強い刺激を受けた。

 メニューはバットも振ったが、走り込みがメイン。初日から12分間走を取り入れるなど身体を丁寧に慎重に作り上げていった。ここぞとばかりに練習の合間を見計らって、次から次へと質問を投げかけた。「打撃で意識していることは?」、「打席ではどのようなことを考えているのか?」、「調子が悪くなった時の対処法」などなど。そのすべてをノートにメモし反芻した。中でも忘れられないのは調子を落とした時のメンタル面だ。

 「プロ野球は毎日のように試合がある。そんな中で誰だって調子が悪い時はある。悩みはある。そういう時に消極的になるのではなく声を出したり積極的にやった方がいい。切り替えが必要」と柳田に優しく語り掛けるように教えてもらった。
 
 「柳田さんほど打者でも調子が悪い時があるのかと思いました。去年、ダメな時に凄く消極的になってしまった。精神的な弱さを出してしまった」と安田。

 2020年シーズン、若くして4番に座った。当初は勢いで飛ばしたが中盤以降、怖さを知った。好機に自分が凡退をしてチームが負ける怖さだった。責任を背負い、大きな体が縮こまってしまう。消極的なプレーが負の連鎖を呼んだ。今、振り返ると自分の弱さがそこにはあった。切り替えの大切さ。メンタル面の大事さを知った。だからこそ憧れの大先輩の言葉が胸に突き刺さった。

 「去年は4番を打ったのではなくて打たせてもらった。ボクはその場所にもう一度、自分の力で戻りたい。まずはアピールして競争に勝って開幕スタメンを勝ち取る。そこからです」

 安田の視線はすでに3月26日の開幕を見ている。相手は敵地福岡で柳田の所属するホークス。目の前で堂々たる立ち振る舞いを見せたいと意気込む。
 
 「ぶれない」。今年の安田のテーマだ。「昨年はぶれてばかりだった。身体も心もしっかりと軸を作りたい」。憧れの背番号「9」に少しでも近づけるように。助言の数々を思い返し若者は石垣島春季キャンプで精力的にバットを振る充実の日々を過ごした。今年こそ、心を体の真ん中に置いて戦いに挑む。若き4番の新たなシーズンがまもなく始まる。
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