2020年のリリーフ登板ペースに変化は? 成績を143試合に換算してみた
【(C)パーソル パ・リーグTV】
イレギュラーだらけのシーズンで最少記録も
それでも、6連戦が続く過密日程の中、リリーフ投手たちの負担は決して軽くなかったはずだ。実際のところ彼らの登板ペースは、従来のシーズンであれば何試合分に相当するのか。各チームの主要なリリーフ投手の成績を、143試合に換算してみた。
※換算方法は各種成績×1.191。小数点以下の数字は小数点第1位を四捨五入して求めた。投球回は、小数点第1位が0と1の場合は繰り上げず、2〜4は1/3回、5〜7は2/3回とし、8以上は1の位を繰り上げている。
【(C)パ・リーグ インサイト】
また、勝ちパターンの一角を担ってチーム最多タイのホールド数を記録した玉井大翔投手、左のリリーフとしてフル回転した堀瑞輝投手も、143試合に換算すれば50試合登板超の計算になる。37歳のベテラン・金子弌大投手も先発とリリーフを兼任し、例年であれば40試合登板ペースというタフネスぶりを発揮した。
【(C)パ・リーグ インサイト】
宋家豪投手は、過去2年間はいずれも40試合以上に登板して防御率2点台以下。今季も例年ならば45試合登板ペースだったが、やや安定感を欠く結果に。ただ、ドラフト3位ルーキーの津留崎大成投手と、長らくケガに悩まされてきた安樂智大投手がそれぞれリリーフとして存在感を発揮。開幕当初は先発だった松井裕樹投手も、シーズン途中から再びブルペンに戻って奮闘した。
【(C)パ・リーグ インサイト】
ドラフト1位ルーキーの宮川哲投手と来日1年目のギャレット投手もフル回転し、即戦力としての期待に応えた。守護神の増田達至投手、プロ2年目でセットアッパーの座をつかんだ森脇亮介投手、貴重な左の小川龍也投手、プロ4年目でキャリアハイの成績を残した田村伊知郎投手と、既存戦力も十分な活躍を見せており、ブルペンは充実の布陣だったと言えそうだ。
【(C)パ・リーグ インサイト】
また、143試合換算でシーズン50試合ペースを超えたのは益田投手のみ。年間を通じて自責点4という抜群の安定感を見せた唐川侑己投手、ともに楽天から移籍してきた小野郁投手とハーマン投手、シーズン途中に巨人から加入した澤村拓一投手、幅広い起用に応えた東條大樹投手と、個性的な陣容を息切れさせることなく運用したことが、チームの好成績につながったという見方もできそうだ。
【(C)パ・リーグ インサイト】
前年の途中から抑えを任されているディクソン投手は、チームの不調もあってセーブ数こそ伸びなかったものの、143試合換算ではハイペースで登板を重ねていたことがわかる。安定感のある投球でブルペンの一角に定着した吉田凌投手、左のリリーフとして山田投手に次ぐ存在となった齋藤綱記投手という若い2投手が、それぞれ30試合以上の登板機会を得たことも、今後のチームにとっては明るい材料となりそうだ。
【(C)パ・リーグ インサイト】
加えて、プロ2年目の泉圭輔投手も、例年なら50試合に迫るハイペースで登板。時には右のワンポイントという変則的な起用にも応えながら、好成績をマークした。2014年のドラフト1位右腕・松本裕樹投手が、リリーフとして一定の登板機会をつかみ、僅差の場面での登板を少なからず経験したことも、チームにとってはポジティブな要素と言える。
60試合以上登板の投手の数は、どのように変化した?
【(C)パ・リーグ インサイト】
投手分業制が当たり前となった現代野球で、リリーフ投手は重要な役割を担い、多くの試合でマウンドに上がる。しかし今季の成績を143試合に換算すると、60試合登板ペースの投手は、前年に比べて3名減少する結果となった。
また、リーグ最多の登板数を記録した埼玉西武・平良投手と、千葉ロッテ・益田投手も143試合換算では年間64試合ペースであり、70試合を超える投手は1人もいない。埼玉西武・平井投手が昨季81試合に登板したことを考えれば、特定の投手にかかる負担は、わずかながら減ったということが言えそうだ。
2020年は、さまざまな面で例年とは異なるシーズンだった。ただ来季もどのようなシーズンとなるか、まだ確かなことはわからない。今季各球団の投手たちが残した数字は、各球団がどのようにして難しいシーズンを乗り切ろうとしたかを示す、重要な手がかりとなる。
文・望月遼太
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ