フルセットの大接戦も…最後はデンソーエアリービーズに押し切られて惜敗【NECレッドロケッツ】
【NECレッドロケッツ】
「このような時期に札幌でお客様を迎えて試合ができたことを大変嬉しく思います」と語る金子監督 【NECレッドロケッツ】
「子どもたちに夢や希望を与えられるような選手に…」小島
この日はクラブの後輩にあたる子どもたちが応援に駆けつけた。小島は「拍手が聞こえてきたし、名前の入ったプラカードを作ってきてくれて歓迎されているのを感じました」と喜ぶとともに、「子どもたちに夢や希望を与えられるような選手になっていきたいと改めて思った」と話す。Vリーグは今もなお、以前のような開催形式や観戦スタイルに戻っていないものの、現地で自分たちのプレーを見てもらえることは、やはり選手にとってこれ以上ない大きな力になる。
クラブの後輩となる子供たちが観戦に訪れ気合が入る小島 【NECレッドロケッツ】
接戦をものにした第1セット
奪ったセットへの手応えを語った古賀 【NECレッドロケッツ】
ところが、続く2セットを20-25、19-25で落としてしまう。第3セットはスタートから入った曽我がバックアタックを突き刺し、上野はブロードを決めるだけでなく、自らのサーブ直後に好レシーブを見せて、曽我やネリマンの得点につなげた。金子監督が言うように「良い場面を作るシーンもたくさんあった」が、絶好調のときと比べると、「オフェンスを組織的にうまく機能させられなかった」という面があったのも否めない。それぞれのセットでは途中でセッターが澤田から塚田に代わったものの、流れを変えるまでには至らなかった。
ネリマンの活躍で劣勢を挽回し、第4セットを奪い返すも最後はデンソーに軍配。
良い攻撃の流れをつくった澤田のトスワーク 【NECレッドロケッツ】
パワフルなバックアタックで3連続得点を挙げると、ブロックでも相手の攻撃をシャットアウト。劣勢を一気に挽回して、逆に3点リードで2回目のテクニカルタイムアウトに入った。その後も古賀のスパイクや山田のブロックで走り、25-17でこのセットを奪い返した。
第5セット5連続得点の起点をつくった山田 【NECレッドロケッツ】
「ホームで今日の借りを返したい」古賀
ポイント1を手に入れたことはポジティブにも捉えられる 【NECレッドロケッツ】
それでも金子監督は「普通に行けば、1-3で負けていた試合を4セット目で取り返せたのは大きかった」とも語っている。勝ちたかったのはもちろんだが、ポイント1を手にできたことをポジティブに捉えてもいいだろう。次週のとどろきアリーナでのホームゲームでは、5日に再びデンソーと対戦する。古賀の「今日の借りを返したい」という力強い言葉を信じたい。
「我々はいろいろなことを経験し、それを修正しながらまた新たなことにチャレンジしていくチーム。」金子監督
川崎フロンターレ、川崎ブレイブサンダースに刺激を受ける金子監督 【NECレッドロケッツ】
12月4・5日でレッドロケッツは年内最後のホームゲームとなり、同本拠地の川崎ブレイブサンダースとのコラボレーションも発表されている。次はレッドロケッツが魂のこもった熱いプレーで、川崎市民やサポーターを沸かせ、歓喜をもたらす番だ。
「次のホームでは絶対に勝ちます。チームメイトとともにもっと感動するようなプレーをみなさんに見せたい」ネリマン
この日38得点をマークしたネリマン。合流の遅れを取り戻し、すっかりチームに溶け込み、ムードを上げる存在に。 【NECレッドロケッツ】
トルコ代表として、オリンピックや世界選手権に出場。Vリーグでは昨季まで3シーズンを過ごしたトヨタ車体クインシーズで2度の得点王に輝いた。そうした実績が単なる過去の栄光ではないことを、私たちはこの約1ヶ月の間に見せつけられている。
フルセットの大熱戦となったデンソーエアリービーズ戦でも、73本のアタックを放ち、ブロックやスパイクを含めて38得点をマークした。いずれもチーム最多の数字だ。金子監督が「4セット目の苦しい状況で、ネリマンがムードを上げてくれた」と語ったように、5-8から15-12と形勢を挽回した場面では、一気に6点を量産。圧巻のバックアタックで相手に脅威を与えた。チームは惜しくも敗れたものの、ネリマンは「両チームともに素晴らしいプレーがたくさんあった。活躍できたのは良いボールをセットしてくれるセッターのおかげ」とセッターの澤田や塚田に感謝した。
今季からレッドロケッツに加入したが、新型コロナウイルスの影響でチームへの合流が遅れた。「開幕前にみんなと一緒にまったく準備できなかったのが残念。開幕して戦いながら慣らせてきた感じです」と言うが、「みんな前向きで向上心がすごい。NECに入れてすごくうれしいし、このチームに対してポジティブな思いを持っています」と、今はすっかりチームに溶け込んでいる様子だ。
トヨタ車体時代からネリマンは、試合に出れば必ずと言っていいほど安定した活躍をする選手だった。その秘訣を自身は「食事にしても心の持ちようにしても日常生活から『私はプロだ』ということを忘れないようにしている。今、32歳ですが、年齢に関係なく新しいことは学べるし、何歳になっても向上できると思っています」と分析する。さらにつけ加えれば、「日本のバレーはラリーがすごく続き、いつもボールが空中にある。私はそういうバレーが好きで、それが私が日本でバレーをし続ける理由」だという。
この日の敗戦後、「勝つときもあれば負けるときもある。負けたときにそこから何を学べるかがバレーボールの醍醐味であり、大切なこと」と語ったネリマンは、「次のホームでは絶対に勝ちます。チームメイトとともにもっと感動するようなプレーをみなさんに見せたい」と早くも気持ちを切り替えていた。
(取材・文:小野哲史)
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