強烈まくりで羽ばたく! 小池修平(前編)

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117期やまとチャンプ

117期のやまとチャンプに輝く 【(C)BOATRACE】

 ボートレース界では、新人デビューは5月と11月。3月、9月にそれぞれボートレーサー養成所を修了したニューカマーが、級別審査期間にあわせてプロデビューを果たすわけだ。この11月も、第127期生が続々と水面に初登場。当稿執筆時点では、まだ初勝利をあげた選手は出ておらず、プロの洗礼を浴びている格好だ。
 この127期の養成所における修了記念競走優勝者=養成所チャンプは清水愛海。110期の喜多須杏奈以来の女子チャンプに輝いた。養成所でのリーグ勝率も7.12でトップという逸材で、将来がおおいに期待される。ただ、やはりプロの水は甘くなく、彼女も今のところ3着が最高(1回)。大敗が続き、デビュー初のフライングも喫している。養成所で好成績だったからといって、すぐに通用するわけではないのがボートレース。特に近年は内寄りのコースが優位性をかなり増しているために、デビュー当初は6コースからレースをすることが通例である新人は、なかなか1着に手が届かないのが実情だ。
 また、歴代の養成所チャンプを見渡してみると、その後大成した選手ばかりではないということにも気づかされる。80期以降のチャンプでSGを制したのは、池田浩二、田村隆信、新田雄史、篠崎仁志の4人のみ。1割にも満たないわけだ。選手生活の多くをB級暮らしという選手も散見され、養成所チャンプになることが将来のスターの約束手形とはならないというのが現実なのである。逆に養成所時代は劣等生でも、プロになってからトップクラスに上り詰める者もいるということ。近年で有名なのは小野生奈で、養成所時代のリーグ勝率は3.41と下から2番目の成績だったが、デビュー後の猛然たる努力の積み重ねで堂々たる女子トップ、SGでも戦える選手へと成長した。
 さて、本稿の主人公である小池修平は、第117期の養成所チャンプだ。同期には上田龍星、吉田裕平など近況充実する面々が揃っており、レベルが高い期である。そんな期のチャンプである小池は、ここまでどんな足跡を刻んできたのか、振り返ってみよう。

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 小池修平は、2014年秋に第117期生としてやまと学校(現ボートレーサー養成所)に入所。兄の小池哲也が113期生で、その背中を追ったかたちだ。リーグ戦では優出4回、優勝1回で、勝率は6.82と優秀な成績だった。それを受けて修了記念の優勝戦に出場。4コースからトップスタートを決めてまくり切り、見事にやまとチャンプに輝いた。
 デビューは15年11月の地元住之江。大きな期待を集めてのデビューとなったが、初戦は4着。5走目には転覆を喫するなど、デビュー節は舟券に絡むことができなかった。ほろ苦いデビューだったと言える。
 その後もおおいに苦戦を強いられた。3節目にはフライングも切り、事故点にも苦しむことに。デビュー期は2着3回、3着3回の舟券絡みはあったものの、1着には届かず、勝率も2.11にとどまっている。
 初勝利は、デビュー10カ月後の児島で、92走目のことだった。これは同期の中でも決して早いほうではなく、たとえば同支部の上田龍星は7走目、吉田裕平は5走目で初勝利。養成所時代はリーグ勝率4.64とはるかに下回っていた女子の薮内瑞希も76走目で初勝利をあげており、やまとチャンプを手にしたからといって、それが即、プロでの成績に反映するわけではないということを証明している。
 それでもデビュー2期目は勝率3.36と一気に数字を引き上げたが、3期目は2.42と今度は急降下。この期も事故点に悩まされる時期があり、慎重なレースを強いられたことも成績ダウンの一因ではあった。事故率から解放された4期目は3.82とふたたび急上昇。5期目も4.49と、着実な前進は見せていた小池であった。
 とはいえ、同期の上田龍星は5期目にはA2級昇級を決めており、小池の成績は決して突出したものとは言えなかった。チャンプの肩書うんぬんは関係なく、先を行く上田の背中を小池は複雑な思いで見ていた時期もあったかもしれない。その後、1着数や舟券絡みはじわじわと増えていったが、勝率的には足踏みに近い状態が続いていた。B級からも脱け出せず、自分を置いてA級になっていく同期を指をくわえて見ているしかなかった。小池は174cmとボートレーサーにしてはかなりの長身で、体重的に不利な部分もあったかもしれない。本人がいちばん悔しかったはずだが、養成所の成績とプロの成績が直結しないということを体現する一人になってしまっていた。デビューからの数年、小池は不本意な成績に甘んじてしまっていたのである。

(後編に続く・・・)12/15(火)更新予定
2020年12月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)
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