伝統球団を引っ張ってきた2人がロッテ優勝のキーマン。鳥谷、澤村の経験が優勝への力となる

千葉ロッテマリーンズ
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【打者を打ち取り、雄たけびをあげる澤村】

 いったい誰が想像できただろうか。ジャイアンツとタイガース。伝統の一戦として何度となく激闘を繰り広げファンを熱狂させてきた2人が2020年9月からマリーンズで共に戦っていることを。3月に入団をした鳥谷敬内野手と9月にトレードで加入した澤村拓一投手。通算対戦は78打席。66打数22安打(12四死球)。これが2人の対戦成績である。

 「ランナーがいる時は引っ張られて一、二塁間を抜かれるイメージしかないぐらい嫌な打者でしたね。対戦をしていて抑えるのが難しい打者でした」
 
 マリーンズのユニホームを身にまとった澤村はルーキーイヤーの11年から昨年まで繰り広げてきた魂の対決を振り返った。澤村は通算で8個の打ち取った三振、44個のアウトよりも悔しい想いをした試合ばかり覚えている。忘れられないのは13年9月6日の甲子園でのナイトゲーム。4万6821人の大観衆が見守る中、ゲームが始まった。この試合で先発した澤村は初回に鳥谷に左翼線二塁打を打たれると、三回には右前適時打。五回には右翼スタンドに3ランを浴びノックアウトされる。この試合で鳥谷は4打点。通算で与えたのは7打点でこの年だけで6打点を献上した。

 そんなライバルチームの看板選手と雌雄を決する戦いを繰り広げてきた二人だが何度か一緒に食事に行ったことがある。澤村がプロ入りして間もないころに都内で食事をする機会に恵まれた。それからグラウンドでも会話を交わすようになり、その後も何度か食事を共にしている。

 「一言でいうとカッコいい。プレーをする姿はもちろん。普段もファッションリーダーのような人。食事に誘っていただいても、いつも『ああ、カッコいいなあ』と見ていました。話をする内容もカッコよくて奥が深い」と澤村。

 トレードで加入しマリーンズ入りした際、グラウンドで打撃練習に向かおうとしていた鳥谷に挨拶に行った。「なんか不思議だな。なにかの縁だな」。鳥谷にそう声を掛けられるとニッコリと笑った。チームメートとなりベンチで鳥谷の姿を見て感銘を受けた。大ベテランは大きな声を出し、後輩たちを鼓舞していた。そしてグラウンドから戻ってくる選手たちに声をかけたりしていた。中でも印象的だったのはスタメン出場機会は少ない中で試合の合間などには積極的に試合出場をしている外野手とキャッチボールをする役も買って出ていたことだ。

 「自ら積極的にされている姿勢を見て、その姿勢を見習いたいと思いました。野球は個人ではなくチーム。試合に出ていなくてもやれることはいっぱいある。そうやってチーム力は上がっていくのだと思いました」(澤村)

 投げ終わった後はベンチで鳥谷と話をすることも多くなった。聞きたかったことは山ほどある。特に興味深いのはシチュエーションごとの打者心理。どういったボールを待っているか。どういった意識でいるか。投げ終わりアイシングをしながら近づく。そしてピッチングを振り返りながら、打者鳥谷の考え方を聞く。それは発見の連続で、かけがえのない時間となっている。

 「こういったカウント、ケースではどういうボールを打者は待っているのか。目付けをしているのか。参考になる話ばかりです。日々、色々な事を教えてもらって勉強になっています」と澤村は充実した表情を見せる。

 これまでジャイアンツとタイガースの伝統と誇りを背負い数々の勝負を繰り広げた二人だからこその世界がある。そして感じ合えるものがある。二人は運命に導かれ今、マリーンズの勝利に欠かせないピースとなった。澤村は言う。「不思議な縁に導かれて今ここにいます。一緒にプレーをさせていただいてる。ぜひ一緒に優勝したい。自分もマウンドでもそれ以外でも優勝に貢献できる選手でありたいと思います」。二人は真剣勝負を通じて、これまで多くのファンを魅了してきた。そしてこれからはチームメートとして手を取り合いながら共に同じ目標を目指す。優勝経験を持つ選手が少なく若手の多いマリーンズにあってプレーで引っ張り、叱咤激励する姿は頼もしい限りだ。伝統の一戦でしのぎを削りながら戦った2人の生き様は優勝を左右する局面で大きな力となるはずだ。
 
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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