マリーンズ広報のよもやま話 第21話(映画編)

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【千葉ロッテマリーンズ梶原 紀章広報メディア室長 撮影 加藤夏子】

 一番好きな映画はなにかと問われると間違いなく「スターウォーズ」と言う。たぶん、自分が人生で最初に映画館で見たのはスターウォーズだと思う。少なくても物心ついて最初に覚えている映画だ。元々、SFが好きだったというのが最初のキッカケだが成長するにつれて映画の中に出てくる台詞に魅了されるようになった。

 特にスターウォーズの中の人気キャラクターとして有名な伝説のジェダイ・ヨーダが弟子のルーク・スカイウォーカーに放つ言葉の数々が胸に突き刺さる。楽を選んだり簡単に出来る方を選ぶのではなく我慢をすること、忍耐の大切さ。怒りや憎しみや恐怖に打ち勝つ大事さを伝えている。幼い時からずっと何回も再放送などを通じてこの映画を見てきた私はだんだん高校生ぐらいになり、大学受験などいろいろな世の中の壁にぶち当たるようになるにつれて少しずつ映画の中に出てくる台詞の深みを感じるようになってきた。人生をスターウォーズから教えてもらったと言っても過言ではない。

 2017年に公開された「スターウォーズ エピソード8 最後のジェダイ」に好きな場面がある。伝説のジェダイになったルーク・スカイウォーカーが悩みを深めている時に、師匠ですでに亡くなっているヨーダーが霊体として登場するシーンだ。エピソード4、5、6の主役として大活躍をしたルークはエピソード7からも周囲から将来有望な若い子を育てながら伝説のヒーローとして悪を倒してくれることを期待されている(もちろん映画を見ている観客もそれを期待している)。しかしルークは周囲が描く自分の姿と現実との狭間に揺れ葛藤を重ね、遠い星で一人、隠居をして生活をしている。そんなルークに久々に再開したヨーダは優しい表情で伝えるのだ。

 「学んだことを伝えよ。強さと熟達の技」。

 大事なのはここではなくて次の台詞だ。続けざま、ヨーダは言う。

 「弱さと愚かさ。失敗も伝えよ。それが大事だ。失敗こそが最高の師」

 この瞬間、ルークはなにかを悟ったような表情を見せる。台詞はないのだがその表情、特に目からそれが伝わる。この時のルーク役のマーク・ハミルの演技は見事としか言いようがない。深みに溢れていた。

 そして画面が移り変わり、燃える火を見つめる二人の背中が映し出される。そしてヨーダは優しく言う。「ルーク」。「わしらは越えられるためにこそある。それこそが全てのマスターの真の責務じゃ」。二人は目を合わせ、また火を見つめる。夜空が映し出されこのシーンは終わる。

 失敗の大切さを以前、このコラムで書いたが、このシーンがヒントになっている。人は年をとり、それなりの立場になるつれて、弱さや愚かさや失敗を隠し、着飾って生きようとする。自分ももちろんそうだ。でも、本来はそうではなくそういった部分をしっかりと表に出し、それらのマイナスのことを反面教師としていく方がよっぽど正しい生き方だ。年を重ね、子供が出来て、後輩が沢山出来て、部下も出来て思うのは、その事の大事さだ。完璧な男を演じるのではなく完ぺきではない自分をしっかりと見せられる大人であろうと思った。きっと銀河のヒーローとして崇め奉られていたルークはそんな完璧な男を自分の中で演じる無意味さをこの時に悟ったのだと思う。そしてもう一つ大事な台詞である。「わしらは越えられるためにこそある。それこそが全てのマスターの真の責務じゃ」。なんともカッコいい言葉だ。これも自分と子供、後輩、部下たちとの関係に置き換えてしまう。自分を飛び越え、大きくなってもらうための指標でありたい。そう思い、自己鍛錬を積み重ねる男になりたいと思っている。

 いよいよスターウォーズエピソード9 スカイウォーカーの夜明けが12月20日に公開される。40年にも及んだスカイウォーカーサガー最終章である。早くも見たくもあるが、これで終わってしまうと思うとまだその時が来て欲しくないと思う。これは全世界のスターウォーズファン共通の想いのはずだ。

 ちなみにであるが球界のスターウォーズファンとして自分の中で思い出されるのは01年に阪神タイガースに在籍していたマーク・バルデス投手だ。スターウォーズの話題で盛り上がり、仲が良くなった。千葉ロッテマリーンズでは国際スカウトのデービット山本氏が大好きで久々に再会するたびにこの話題で盛り上がる。ブランドン・レアード内野手にも会った際に聞いてみたが、「いや、あんまり」と返された。好きそうな顔をしていたのだが・・・。


文・千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 梶原 紀章(かじわら・のりあき)

 1976年8月18日生まれ、大阪府吹田市出身。東京都私立郁文館高校〜関西大学。99年に産経新聞社に入社後、サンケイスポーツ運動部に配属し、00年にオリックス担当、01年から04年まで阪神担当。05年に千葉ロッテマリーンズに入団し主に広報業務を担う。11年にはチケット営業を経験。現在は広報メディア室室長
 
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著者プロフィール

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