「体がフワッと」。オリックス・バファローズ宜保翔が初打席・初安打を振り返る

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【パ・リーグ インサイト海老原悠】

 KBC学園未来高校沖縄からドラフト5位でオリックス・バファローズに入団。9月23日に初安打を放ち、鮮烈な一軍デビューを果たした宜保翔選手。現在は、台湾で12月中旬まで行われているアジアウインターベースボールリーグで、同年代の若手選手らとともに研鑽している。野球漬けとなった1年目はどんな年になったのだろうか。初打席のこと、初安打のこと、そして“来季絶対に負けたくない”ライバルのこと。19歳の誕生日を台湾で迎えた宜保選手に話を聞く。

一軍デビューは「フワっとしていた」

――1年目を振り返って、いかがでしたか?
「しんどかったです(苦笑)。だけど、シーズンの最後の方に一軍に上がることができて、やってきたことが間違ってなかったんだと思いました」

――プロは毎日のように試合があって、野球漬けですからね。
「特に2月のキャンプがしんどかったですね。でも、先輩から『今年はラクな方だよ』と聞かされたので、マジか! と驚きました。シーズンが後半になってからはだいぶ慣れてきた感じがありました」

――高卒ルーキーながら一軍デビューを果たしました。
「正直、1年目は一軍で1試合でも出られればいいなと考えていたので、8試合出場することができて、自分の中では想像よりも相当上のことを達成できました。ヒットも打てましたし」

――デビュー戦は9月6日、札幌ドームでの北海道日本ハム20回戦。「8番・ショート」でスタメン出場でした。
「ヤバかったです(笑)。緊張というか、足が震えるわけじゃなかったけど体がフワッとしてました」

――そして初ヒットは9月23日、本拠地京セラドームでの福岡ソフトバンク23回戦で、高橋礼投手から左中間へ二塁打を放ちました。ただ、果敢に三塁を狙いましたがタッチアウトに。どんな心境でしたか?
「二塁を回ったところで少し止まってしまったんです。もっとしっかりと状況判断をして、積極的な走塁をしなければいけなかったなと思いました」

――ただ、同じ試合の中で華麗なヒットを“打ち直し”ました。
「一軍はチームの雰囲気というか集中力が全然違う。自分も続けるよう必死になっていただけなので、取り返してやろうとか個人的なことを考える余裕はなかったです」

――その後は金子弌大投手(北海道日本ハム)からもヒットを打ちました。
「シュートかシンカーだったと思いますが、ボールが消えました。ワッと思ってバットを出したら当たってくれたって感じです」

――特にどのコーチとお話しする機会が多いですか?
「辻(竜太郎)コーチにはよく声を掛けてもらっています。教えてもらうというより、見てくれて気づいたところを言ってくれる。自分では分からないポイントを言ってもらえたりするので、修正しやすいです」

一軍で好守光るも、「守備はそんなに好きじゃないんです」

――今季、印象に残ったシーンは?
「一軍の最終戦ですかね。ファームで調整していたTさん(Tー岡田)とか安達(了一)さんも上がってきて、一軍の中で野球をやっている感じが一番ありました。マモ(岸田護)さんの引退試合でもありましたし、最後のボールも僕が処理したので。一軍の、そしてオリックスのプロ野球選手だなと感じました」

――ショートの守備でも好プレーがいくつもありました。守備へのこだわりは?
「うーん。じつは守備はそんなに好きじゃないんです。飛び込んだりするのはもともと好きなんですけど。地道な練習が苦手(苦笑)。でも秋の高知キャンプではずっと守備練習に取り組んで、少しずつマシになっていると思います。まだ正確性がないのが課題です。一軍では土じゃなくて人工芝が多かったので、たまたま上手く行っただけ。安達さんをはじめ先輩方のプレーや練習を見て技術を磨いていきたい。安達さんには普段からいろいろ質問もしています」

同年代の選手との交流は?

――今回の台湾ウインターリーグで感じていることは?
「西武やソフトバンクの選手を見ていると、スイングの力に違いを感じます。逆方向でもホームランを打っちゃう。自分自身、1年間戦ってみて力が足りないなと感じていました。自分も強いスイングを仕掛けていきたい。技術を磨くのも大事ですが、力をつけることも大切だなと感じました」

――今回は混成チームですが、交流は?
「やっぱり同級生は早く仲良くなりました。ヤクルトの濱田(太貴)は九州出身ということで。あとはホークスの野村(大樹)とか。あと砂川リチャードさんは同じ沖縄出身ですし、試合をしたこともあるのでかわいがっていただいています。すごく面白い人です」

台湾で行われているアジアウインターベースボールリーグで攻守に磨きをかける宜保選手 【パ・リーグインサイト海老原悠】

――この後の自主トレなどオフの過ごし方は?
「自主トレに関しては、本当は誰かにお願いしたかったけどこちら(台湾)に来ているのでなかなか話ができなくて。沖縄に帰省している間も練習をして、その後は舞洲に戻ってやる予定です」

――2年目の目標は?
「1年目は僕の中で『一軍』という目標は大きかったですが、達成できました。だから2020年も大きく立てたいですね。一軍にずっといること。一軍定着です。最低でも二軍より一軍の方が多くいられるようにしたいです」

――負けたくない選手とか?
「西浦(颯大)さんの成績は絶対に越えたい。それは目標にしています。打つこと、走ること、試合数。ただ、走るほうは絶対に敵わないですけどね(笑)」

――オリックスは俊足の若手が多く、走るチームへと変化していますよね。
「僕の場合タイムはいいけど、スタートに課題があります。二軍で13盗塁決めましたけど、まだ不安や怖さがあるので、もっと自分を磨いていかないと」

――同期でドラフト1位の太田椋選手もやはり意識をする存在ですか?
「刺激は貰っています。でも、お互い変な意識はないです。逆にアドバイスをくれたり、野球の話もしっかりします。ただ、ファン感の女装はヤバかったですね(笑)。台湾で写真を見ました」

――このウインターリーグ期間中に19歳の誕生日を迎えました。海外で迎えるというのはどんな心境ですか?
「人生初の海外で、思い出に残りますね。それに盛大にお祝いしてもらったのでありがたいです」


文・田尻耕太郎
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