マリーンズ広報のよもやま話 第11話
【千葉ロッテマリーンズ梶原 紀章広報メディア室長 撮影 加藤夏子】
ファンの皆様が楽しみにしている試合後のヒーローインタビュー。私も外から見ていた時は簡単そうに見えたが、いざ中に入ってやってみると非常に難しい。正直、今でもヒーロー選びの作業は苦手であり正解は見つからない。
よくスタンドから見られていて、「あれ、なんで今日のヒーローはあいつじゃないんだ?」とか「やけに今日はヒーローインタビューが始まるまで時間がかかっているなあ」と思う時があると思う。大体、こういう時はなにかしらのトラブルがある。
例えばヒーローになるべき選手になんらかの公表したくないトラブルが発生している時。私が担当していた時であればある暑いデーゲームの日のヒーローが日射病のような症状を起こしていて、どうしても出れないという場面があった。ただ、それをアナウンスをするのは止めて欲しいとのチーム方針。その日のヒーローはどう考えてもその選手だったが、これはもう仕方がない。瞬時の判断で好投した若手の中継ぎ投手と好守にキラリと光るプレーを魅せた若手野手に変更をしたが、やはり違和感が残った。もう一つはプロならではのこだわりかもしれないが、納得してない場合である。決勝打を放ったものの、それ以外の打席でチャンスで凡退を繰り返している。勝ち投手になったものの投球内容に不満などで本人が「ボクはヒーローに値しません」と嫌がるパターンも多い。なるべく気持ちよくお立ち台に上がって欲しいので、こういう時は引き下がるようにはしているが、そのゲームの内容上、どうしてもその選手でなければ困る事もあるので、その場合は徹底的に頭を下げ、説得しお立ち台に向かってもらうしかない。これ以外のパターンでも先ほどの記述ではないが怪我をしている箇所があり早めに治療をしたいという選手や、ヒーローになったもののそれ以外の場面でなんらかの凡ミスを犯しており首脳陣などからお灸をすえられ気分が落ちていることもある。
逆のパターンもある。ヒーローにしなくてはいけない選手をヒーローに選出しないパターンだ。基本的にヒーローインタビューは単純明快で勝ち投手と決勝点を放った野手がオーソドックスパターン。これに記録や試合によっては様々な選手を織り交ぜる。ただ色々なシチュエーションの中で選んであげたくても、見送ることもある。まずは試合終了時間が遅い時。なるべくシンプルに速やかに終わらせる必要があるため最大で2名となる。また外国人選手がヒーローの時も出来ればお立ち台に上がるのは2人までにしたい。通訳を介してインタビューを行うため、場が間延びになりがちなのだ。その他、放送局側のニーズもあったりとこちらとしてはもっとヒーローを選びたくても、そうはいかず苦しんでしまう事も多々ある。これが一番、辛いことで申し訳なく思う。
最後に一番、腕が問われるのはサヨナラ押し出し四球(死球)やサヨナラ暴投などのヒーローが明確でない時であろう。基本的には打席に入っている選手にまずはお願いをするが、その他の候補としてはその直前に好投した勝ち投手や好機を作り上げた野手になるだろう。ただ、冒頭にも書いたように正解はない。長い事、この世界で仕事をしているがヒーローインタビューが一番苦手で今でも対応をするときは緊張する(もう、ヒーローインタビュー対応をする機会は減っているが)。なによりも様々な判断を試合後からヒーローインタビューまでの短い時間で決断し動き取り仕切らないといけない。
だから出来るだけ他球場のヒーローインタビューは見るようにしている。他球団の広報がどの選手を上げたか。どのようにして盛り上げているか。参考にする。一昔前になるが日本ハムファイターズがスタメン全選手をお立ち台に上げた時は「なるほど」と思った。難しい反面、ヒーローインタビューは広報同士の腕が問われる場所でもあるのだ。これからも勉強を重ね、アイデアを振り絞って、ヒーローインタビューという時間が最高のエンターテインメントの時間となるよう努力していきたい。
文・千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 梶原 紀章(かじわら・のりあき)
1976年8月18日生まれ、大阪府吹田市出身。東京都私立郁文館高校〜関西大学。99年に産経新聞社に入社後、サンケイスポーツ運動部に配属し、00年にオリックス担当、01年から04年まで阪神担当。05年に千葉ロッテマリーンズに入団し主に広報業務を担う。11年にはチケット営業を経験。現在は広報メディア室室長
よくスタンドから見られていて、「あれ、なんで今日のヒーローはあいつじゃないんだ?」とか「やけに今日はヒーローインタビューが始まるまで時間がかかっているなあ」と思う時があると思う。大体、こういう時はなにかしらのトラブルがある。
例えばヒーローになるべき選手になんらかの公表したくないトラブルが発生している時。私が担当していた時であればある暑いデーゲームの日のヒーローが日射病のような症状を起こしていて、どうしても出れないという場面があった。ただ、それをアナウンスをするのは止めて欲しいとのチーム方針。その日のヒーローはどう考えてもその選手だったが、これはもう仕方がない。瞬時の判断で好投した若手の中継ぎ投手と好守にキラリと光るプレーを魅せた若手野手に変更をしたが、やはり違和感が残った。もう一つはプロならではのこだわりかもしれないが、納得してない場合である。決勝打を放ったものの、それ以外の打席でチャンスで凡退を繰り返している。勝ち投手になったものの投球内容に不満などで本人が「ボクはヒーローに値しません」と嫌がるパターンも多い。なるべく気持ちよくお立ち台に上がって欲しいので、こういう時は引き下がるようにはしているが、そのゲームの内容上、どうしてもその選手でなければ困る事もあるので、その場合は徹底的に頭を下げ、説得しお立ち台に向かってもらうしかない。これ以外のパターンでも先ほどの記述ではないが怪我をしている箇所があり早めに治療をしたいという選手や、ヒーローになったもののそれ以外の場面でなんらかの凡ミスを犯しており首脳陣などからお灸をすえられ気分が落ちていることもある。
逆のパターンもある。ヒーローにしなくてはいけない選手をヒーローに選出しないパターンだ。基本的にヒーローインタビューは単純明快で勝ち投手と決勝点を放った野手がオーソドックスパターン。これに記録や試合によっては様々な選手を織り交ぜる。ただ色々なシチュエーションの中で選んであげたくても、見送ることもある。まずは試合終了時間が遅い時。なるべくシンプルに速やかに終わらせる必要があるため最大で2名となる。また外国人選手がヒーローの時も出来ればお立ち台に上がるのは2人までにしたい。通訳を介してインタビューを行うため、場が間延びになりがちなのだ。その他、放送局側のニーズもあったりとこちらとしてはもっとヒーローを選びたくても、そうはいかず苦しんでしまう事も多々ある。これが一番、辛いことで申し訳なく思う。
最後に一番、腕が問われるのはサヨナラ押し出し四球(死球)やサヨナラ暴投などのヒーローが明確でない時であろう。基本的には打席に入っている選手にまずはお願いをするが、その他の候補としてはその直前に好投した勝ち投手や好機を作り上げた野手になるだろう。ただ、冒頭にも書いたように正解はない。長い事、この世界で仕事をしているがヒーローインタビューが一番苦手で今でも対応をするときは緊張する(もう、ヒーローインタビュー対応をする機会は減っているが)。なによりも様々な判断を試合後からヒーローインタビューまでの短い時間で決断し動き取り仕切らないといけない。
だから出来るだけ他球場のヒーローインタビューは見るようにしている。他球団の広報がどの選手を上げたか。どのようにして盛り上げているか。参考にする。一昔前になるが日本ハムファイターズがスタメン全選手をお立ち台に上げた時は「なるほど」と思った。難しい反面、ヒーローインタビューは広報同士の腕が問われる場所でもあるのだ。これからも勉強を重ね、アイデアを振り絞って、ヒーローインタビューという時間が最高のエンターテインメントの時間となるよう努力していきたい。
文・千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 梶原 紀章(かじわら・のりあき)
1976年8月18日生まれ、大阪府吹田市出身。東京都私立郁文館高校〜関西大学。99年に産経新聞社に入社後、サンケイスポーツ運動部に配属し、00年にオリックス担当、01年から04年まで阪神担当。05年に千葉ロッテマリーンズに入団し主に広報業務を担う。11年にはチケット営業を経験。現在は広報メディア室室長
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