ファンが選ぶ!ワールドサッカー史上最高の名手ランキング・パサー編

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 スポーツナビで投票を募った「ワールドサッカー史上最高の名手ランキング」企画。ゴールゲッター、パサー、ドリブラー、ボールハンター、ヘッダー、FKキッカーの6項目で、史上最高だと思う選手を投票してもらいました。
 今回はパサー編。1位に輝いた選手は!?

順位 選手名 POS 主な所属 得票率
1 シャビ MF バルセロナなど/スペイン代表 13.7%
2 アンドレス・イニエスタ MF バルセロナ、神戸/スペイン代表 13.1%
3 アンドレア・ピルロ MF ミラン、ユベントスなど/イタリア代表 10.1%
4 ジネディーヌ・ジダン MF ユベントス、R・マドリーなど/フランス代 8.4%
5 ケビン・デ・ブルイネ MF ボルフスブルク、マンCなど/ベルギー代表 6.9%
6 デイビッド・ベッカム MF マンU、R・マドリーなど/イングランド代表 4.0%
7 リオネル・メッシ FW バルセロナ/アルゼンチン代表 3.9%
8 マヌエル・ルイ・コスタ MF フィオレンティーナ、ミランなど/ポルトガル代表 3.6%
9 トニ・クロース MF バイエルン、R・マドリーなど/ドイツ代表 3.5%
10 シャビ・アロンソ MF リバプール、R・マドリーなど/スペイン代表 3.4%
11 ロベルト・バッジョ FW ユベントス、ミランなど/イタリア代表 3.1%
12 ロナウジーニョ FW バルセロナ、ミランなど/ブラジル代表 3.0%
13 ドラガン・ストイコビッチ MF マルセイユ、名古屋など/ユーゴスラビア代表 2.9%
14 メスト・エジル MF R・マドリー、アーセナルなど/ドイツ代表 2.8%
15 カルロス・バルデラマ MF モンペリエ、フニオルなど/コロンビア代表 2.0%

寸評

シャビが去った後、バルサとスペイン代表から“らしさ”が失われた事実が、この小柄なプレーメーカーの偉大さを物語る。メッシという怪物がいなければ、少なくとも1回はバロンドールを獲得していたはずだ(写真:ロイター/アフロ)

 得票率が10%を超えたのは3人。いずれ劣らぬ名パサーだが、彼らに共通するのはキック精度の高さはもちろん、滅多にボールを奪われない抜群のキープ力と瞬時にパスコースを見つけ出す「目」だ。複数の敵にプレッシャーをかけられてもボールを失わず、ここしかないというタイミングで質の高いパスを供給した。

 最多票を集めたのは、バルセロナ伝統のパスフットボールの申し子ともいうべきシャビ。次々と繰り出すショートパスはコースも強さも完璧で、絶えず動いてボールを引き出しては、ワンタッチ、ツータッチで素早くたたき、攻撃にリズムとテンポを与えた。特にジョゼップ・グアルディオラ監督の下、世界を席捲した2010年前後のバルサでは絶対的な司令塔として特大の存在感を誇った。

 バルサとスペイン代表で、そのシャビの盟友だったアンドレス・イニエスタが2位。シャビとともに超高速のパス回しの中核となり、エリア付近でのワンツーやスルーパスなどゴールにつながる決定的なパスも光った。

トップ下では大成できず、ミラン移籍後に自ら望んでポジションを下げたピルロは、レジスタという新境地を開拓。正確かつ多彩なパスを武器に、30代半ばまで世界屈指の司令塔として鳴らした(写真:アフロ)

 3位のアンドレア・ピルロは、最終ラインの前から攻撃を形作るレジスタ(演出家=ゲームメーカー)の最高峰と呼べる存在だ。キックのバリエーションが豊富で、中盤の組み立てだけでなく、前方からの戻しのパスをダイレクトで敵最終ラインの裏に送り込む“タッチダウンパス”など、ラストパスのクオリティーも素晴らしかった。

 トップ3に続く4位に入ったジネディーヌ・ジダンは、まさに“ボールマジシャン”という形容がふさわしい。シルクのようなタッチでボールを意のままに操り、相手の急所を突くパスで多くのチャンスを作り出した。ジダンと同型ながら、よりファンタジスタ色が強いプレースタイルだったのが、ロベルト・バッジョ(11位)、ロナウジーニョ(12位)、ドラガン・ストイコビッチ(13位)。アイデア豊富で創造性にあふれ、観る者を魅了する絶妙のラストパスでゴールを演出した。

 司令塔タイプやファンタジスタ系の名前が並ぶなか、異質なのが6位のデイビッド・ベッカムだろう。全盛期には右サイドを主戦場とするクロッサーで、その右足から糸を引くような美しい軌道のクロスを送り込んだ。ベッカムとはプレースタイルが異なるものの、現役のケビン・デ・ブルイネ(5位)とトニ・クロース(9位)も「特別な右足」の持ち主。さらにシャビ・アロンソ(10位)の右足から放たれる中長距離パスも、掛け値なしに一級品だった。

(企画構成:YOJI-GEN)

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