【早稲田実】鮮烈だった昨夏の熱戦 「考える野球」で挑む春(東京都)

毎日新聞

センバツ出場が決まり、ニュー(新しい)の「N」を作って喜ぶ早稲田実の選手たち 【猪飼健史撮影】

 第97回選抜高校野球大会が3月18日に開幕します。北海道から沖縄まで各地から出場する32校の選手・監督らを対象に主催者が実施したアンケートから、チームの魅力や今どきの球児事情を探りました。

奇策「内野5人シフト」も思い出に

 やはり、あの死闘が選手の心に深く刻まれていた。昨夏の甲子園3回戦では、大社(島根)と延長十一回までもつれた熱戦を演じた末、サヨナラ負けを喫した。前チームから引き続きメンバーに入っている選手も多く、選手24人に実施したアンケートでは、印象的な思い出について大社戦の敗戦やこの試合での出来事を挙げた選手が4人いた。

 山中晴翔選手は「あの試合ほど悔しい思いをして負けた試合はない」と答え、川上真選手も「サヨナラ負けが悔しすぎた」と苦い記憶となっている。

 この試合では、同点の九回裏1死二、三塁のピンチで「内野5人シフト」を敷いたことも話題となった。この守備態勢のために途中出場し、「5人目」の内野手として打球を処理した西村悟志選手は、印象的な思い出としてこの場面を挙げた。

 試合では始めて実行したという奇策。斎藤佑樹さん(元プロ野球)を擁して2006年夏の甲子園を制した和泉実監督は、指導する上で「考える野球」を重視し、「自分の頭で考えて行動できる選手」に育てることを心掛けている。指揮官が放った渾身の勝負手に、「考える野球」を鍛え上げた選手たちが応えた。

 グラウンドを離れると、和泉監督は野球に必要な体作りのため選手らに豚汁を振る舞うことがあるという。川上選手は最も印象に残っていることを尋ねたアンケートで「監督さん手作りの温かいお汁」と答えている。

「怪物」がいた春 ゆかりの父を持つ選手が2人

大会前に主催者が早稲田実の選手24人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】

 甲子園を経験した家族や親戚がいる選手が6人いた。特に、1992年の春を沸かせた選手を父に持つ選手が2人いる。「素質はピカイチ」と和泉監督が評価する三沢由和選手の父は、巨人3軍チーフコーチの三沢興一さん。帝京のエースとして全国制覇に導き、その後も早大や巨人で活躍した。

 その年の甲子園を沸かせたのは星稜(石川)の松井秀喜さん(元大リーグ・ヤンキースなど)だった。エース・中村心大主将の父・秀典さんは、天理(奈良)の正捕手として準々決勝で星稜と対戦。5-1で破り、4強進出を果たした。

 ほかにも片桐悠選手の父・健一さんは、神奈川の強豪・桐蔭学園の監督を務めており、2019年にセンバツ出場へと導いた。
 
 選手たちの将来の夢は「未定」が7人と最多で、中村主将ら3人が「プロ野球選手」と回答。進学校としても知られる同校。英語検定2級や準2級を取得した選手が6人いる。

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