【早稲田実】鮮烈だった昨夏の熱戦 「考える野球」で挑む春(東京都)
奇策「内野5人シフト」も思い出に
山中晴翔選手は「あの試合ほど悔しい思いをして負けた試合はない」と答え、川上真選手も「サヨナラ負けが悔しすぎた」と苦い記憶となっている。
この試合では、同点の九回裏1死二、三塁のピンチで「内野5人シフト」を敷いたことも話題となった。この守備態勢のために途中出場し、「5人目」の内野手として打球を処理した西村悟志選手は、印象的な思い出としてこの場面を挙げた。
試合では始めて実行したという奇策。斎藤佑樹さん(元プロ野球)を擁して2006年夏の甲子園を制した和泉実監督は、指導する上で「考える野球」を重視し、「自分の頭で考えて行動できる選手」に育てることを心掛けている。指揮官が放った渾身の勝負手に、「考える野球」を鍛え上げた選手たちが応えた。
グラウンドを離れると、和泉監督は野球に必要な体作りのため選手らに豚汁を振る舞うことがあるという。川上選手は最も印象に残っていることを尋ねたアンケートで「監督さん手作りの温かいお汁」と答えている。
「怪物」がいた春 ゆかりの父を持つ選手が2人
その年の甲子園を沸かせたのは星稜(石川)の松井秀喜さん(元大リーグ・ヤンキースなど)だった。エース・中村心大主将の父・秀典さんは、天理(奈良)の正捕手として準々決勝で星稜と対戦。5-1で破り、4強進出を果たした。
ほかにも片桐悠選手の父・健一さんは、神奈川の強豪・桐蔭学園の監督を務めており、2019年にセンバツ出場へと導いた。
選手たちの将来の夢は「未定」が7人と最多で、中村主将ら3人が「プロ野球選手」と回答。進学校としても知られる同校。英語検定2級や準2級を取得した選手が6人いる。