史上3度目の統一戦日本人対決を“神の左”山中氏が展望 アマ世界王者初陣にも注目!
豪快な一打は強みか、脆さか。岩田翔吉の初防衛戦
王座を獲得したノリエガとの一戦は、とても自信になったんじゃないですかね。序盤に2度もダウンを取って、本当にいいKO勝ちでした。本当にパンチが強いんですよね。本人も「今はすごくボクシングが楽しい」と言っていて、それはやっぱりさらに強くなるための要因にはなるので、今回の試合もとても楽しみです。
――プレッシャーはないんでしょうか?
昔は「鬼門の初防衛戦」と言われていましたけど、今はもうそういうのはないかもしれないと思ったりもするんですよね。
「どれだけ防衛するか」よりも「誰とやるか」という時代になっていて、世界王座も通過点の側面が強くなっているのかなと。岩田選手も、初防衛のプレッシャーを感じるより、王座統一戦のような大きな試合にどうやってつなげるか、という気持ちの方が強いんじゃないですかね。
その意味で言えば、プレッシャーよりもむしろ力みのほうが大敵かもしれません。早い回でKOこそしましたが、ノリエガ戦では相手の時間帯もあった。スパーリングも含めて見ていますが、一発を狙うあまり相手を見過ぎたり、空回りしたりという傾向は若干あります。強いところを見せたいと力み過ぎることなく、ジャブを中心とした手数を増やしていく、というのは大事になると思います。
業界震撼の大器。アマチュア世界王者・坪井智也の初戦
そうですね。彼のスパーリングは自分の目でも見ていますし、帝拳ジムの関係者から評判を聞くこともありますが、世界選手権で勝った実力はプロでも確実に通用すると言い切っていいと思います。
帝拳ジムのトップ選手、それこそ世界王者クラスとスパーをしても、かなりいい勝負になっている。私が見れていないスパーでも、常に内容がいいと聞きます。村田諒太くんもそうですが、アマチュアで世界一になるというのはやはり本物だなと。
一発の強さが必要になるとか、プロの世界への対応はもちろん求められるとは思います。一方で、アマチュアならではの速いリズムでの攻防を長いラウンド続けられる集中力、スタミナはプロの世界でもかけがえのない武器になる。
足の動きのスピード、滑らかさもあるし、上半身の動きも非常にやわらかい。動体視力がとてもよいんだと思いますが、めったにパンチをもらわないというのも感じます。あとは世界選手権のような大舞台でも、まったく緊張しなかったというハートの強さもプロ向きだと思います。
もう29歳と、遅いデビューにはなりましたが、最短距離で世界のトップに駆け上がっていくのではないかとみています。どんな初戦になるか、私も楽しみです。
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「このイベント、佳境に入ったトーナメント戦みたいな感じもありますよね」
一通り語り終えた山中さんは、立ち上がって再び窓の外の景色に目をやった。
「京口選手が勝ったら、寺地選手と阿久井選手の勝者とさらに王座統一戦をやるという見方もされてますよね。寺地選手が勝った場合は階級を上げてしまう可能性もあるわけですが、世界の頂点をめぐる戦いが大詰めになるところで、日本人同士が戦うというのは絶対に盛り上がりますし、日本ボクシングの世界的な評価にもつながるはずです」
トリプル世界戦。
注目のイベントには「世界の頂点を目指すトーナメント戦を俯瞰できる」というような意味合いもある。
俯瞰するからこそ、ひとりひとりの選手が世界的な実力を持っていることや、ひとつひとつの試合の意味合いがよくわかる。
窓の外に広がる東京の景色にも通じるかもしれない。山中さんは語気を強めて言う。
「世界の軽量級の流れ、動きが、この1日を見るだけでかなりわかる。そういうイベントを、ある程度日本の中で完結させてできてしまうというのは、すごい時代になったなと。ぜひ多くの方に見ていただきたいです」
U-NEXTライブ配信予定
【ライブ配信】
2025年 3月13日(木)全試合配信予定
【見逃し配信】
配信準備完了次第~2025年4月12日(土)23:59まで
【会場】
両国国技館
<対戦カード>
WBC・WBA 世界フライ級王座統一戦12R
WBC王者:寺地 拳四朗(B.M.B)vs. WBA王者:ユーリ阿久井 政悟(倉敷守安)
WBO世界フライ級タイトルマッチ12R
王者:アンソニー・オラスクアガ(米国/帝拳)vs. 同級14位:京口 紘人(ワタナベ)
WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ12R
王者:岩田 翔吉(帝拳)vs. 同級2位:レネ・サンティアゴ(プエルトリコ)
坪井智也(帝拳)プロデビュー戦
2021年世界選手権、バンタム級で優勝 世界選手権日本人選手初の金メダリスト
アマチュア通算成績 131戦106勝(10KO/RSC)25敗
他 アンダーカード2戦予定