中古シャフトにご用心!? もしかしたら”何度もリシャフト”されているかもよ?

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今回のテーマは、中古。最新モデルはもちろん優れているけど、過去作にも名器と呼ばれるクラブはたくさんある。でも、そうした中古クラブは経年劣化や使用量によっては、安全に使えるものなのか? そんなちょっと古めの中古クラブや中古シャフトについて、石井良介が解説する。

ゴルフクラブの賞味期限は? 何年前までなら使える?

中古ドライバーは10年前のモデルでも使えます。問題はクラブに何を求めるか? 例えば今平周吾プロはヤマハのRMX116という2016年に出たドライバーを使っています。金谷拓実プロもピンのG410プラスを替えていません。古いドライバーだからといって飛ばないわけじゃないんです。

確かに飛距離を機械で計測したら最新モデルの方が数ヤード飛ぶでしょう。でも、コントロールや振りやすさ、操作しやすいなど、ユーザーが優先したいものが備わっていれば古くても関係ありません。手に馴染んでいれば、その方が優位なくらいです。

プロだってわざわざ10年前のドライバーを使おうとは思っていません。メーカー契約があればなおさらで、ニューモデルは絶対に試しています。でも、緊張する場面とかプレッシャーがかかった時に信頼できるか? みたいになった時に、使っているモデルを上回るクラブがないんだと思います。

ですから大前提として「古いドライバーだからダメ!」はありません。ただ、アマチュアの方を見ていると、古いと言っても10年以上前のドライバーを使っている人は多くありません。だとすればポイントは予算。1~2年前のモデルはまだ高いので3~4世代前あたりのモデルが狙い目になるでしょう。

ここ2、3年のゴルフクラブは進化の度合いが著しい

立場上、僕は最新モデルが欲しいですが、予算がなければ3~4世代前(4~5年前)までは譲歩できます。逆に、それ以前のクラブをわざわざ選ぶことはしません。もしこの仕事をしていなければ、最新モデルが出たらすぐに買うことは少なくなると思います。去年のモデルでも何の問題もなくいいパフォーマンスを出せます。例えばピンのG430、テーラーメイドのQi10、キャロウェイのAi SMOKEがマークダウンで手が出る価格になっていたら、これは超お買い得です。

お財布と折り合いがつかなければ2世代以前のモデルでも十分ですが、毎年ニューモデルを出してくるメーカーと、2年に1度出るメーカーでは同じ2世代以前でも年数が変わってきます。後者の5世代前になると、年数的には10年以上前になることもあって、その場合は5年前のドライバーと比べて間違いなく進化しています。

価格的に見たら10年前と5年前のモデルではそれほど大きく違わないと思うので、十分戦闘力のある5~6年前のモデルから入った方がいいでしょう。

また、2~3年前と5~6年前のドライバーでは進化の度合いも変わります。進化が著しいここ2~3年のドライバーは大きく変わらなかったりしますが、5~6年前のモデルと2~3年前のモデルでは別モノと言ってもいいくらい進化していることがあります。

例えば、僕が『試打ラボしだるTV』を始めた2018年頃、ドライバーのロフトは9度でしたが今は10.5度が普通。これはスピン量が圧倒的に減っているからで、ここ5年くらいでずいぶん変わった点です。もちろんボールもその方向で開発されています。仮に10年前のドライバーだとそこまでスピンが減っていないわけで、そんなクラブに今のボールはどうなのか? といったことは考えますね。

また、最近のモデルはちょっとドローバイアス=つかまる系のモデルが多いと思います。昔のクラブの方がつかまらない方向のものが多い。ピンのG440 LSTとG400 LS TECを比べると後者はつかまりませんから、左が嫌な人はG400 LS TECがいいと思います。

芯を外した時の飛距離の落ち込みが少ないのも今のモデルの特徴です。G400は芯を食えば飛びますが、ちょっとヒールだと飛びません。ミスがわかる球が出た方がいいと考えるユーザーにはG400の方がいいでしょう。ただ、おしなべて昨今のモデルは、アベレージゴルファーが良さを感じられる方向に振れていると思います。

さらに、モデルによってはワインのように、生産年によって当たり外れがあったりもします。これは中古クラブの価格に反映されていると思います。安いということは中古市場に出ている数が多いということで人気と関係がありますから。

でも、人気がないからといって敬遠するのはもったいない話。安くても性能的に尖っているドライバーもあって、安かろう悪かろうではない。そうなると、あえてそこを狙うこともできるわけで、その判別ができると中古市場はそれこそ宝の山です。

中古クラブ・シャフトは“現物を見て購入”が理想

怖いのはネットでの取り引き。偽物を送ってきたり、送ってこなかったりという例もあるようなので、できれば現物を見て買うべきです。

特にシャフトの中古は何回“火を入れた”かわかりません(火入れとは、ヘッドからシャフトを抜く際に接着剤を溶かすために加熱することを指します)。

1回リシャフトしたか、5回も6回も抜いているかによって、火入れの回数は全然違います。シャフトはカーボンですから、できれば熱は入れたくない。おそらく、1度たりとも入れたくないというのがメーカーさんの本音です。

もちろんヘッドとシャフトで時代のギャップもあります。今のシャフトは重心距離の長いヘッドや重めのヘッドにも対応できるよう先端剛性が硬くなっているはず。

そう考えると、数年前に評判の良かったシャフトといえども、最新のヘッドに入れたらどうか? 結果がよくなる人もいるかもしれませんが、そうならないケースも多いと思います。

逆に、昔のヘッドに最新のシャフトを入れるという楽しみはあっていい。ヘッドは楽しく選んでいいけれど、氏素性がわからない中古シャフトについては慎重になった方がいいと思います。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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