井口資仁&五十嵐亮太が振り返る2024年パ・リーグ 圧倒優勝、躍進の2位、歴史的貧打…称賛した選手とは? 

三和直樹

最下位低迷、歴史的貧打の西武は?

新人王に輝いた西武・武内夏暉 【写真は共同】

 圧倒的な強さで勝利を重ねたチーム、投打の相乗効果で2位躍進を遂げたチームがあった一方で、球団ワーストのシーズン91敗を喫して最下位に低迷したのが西武だった。

 袴田アナウンサーから「ちょっと触れるものあれなんですが…」との言葉があった上で「チーム打率.212というのが、なんとパ・リーグ歴代ワーストという風になってしまいました」と紹介されると、井口氏は「苦しかったですね」として次のように続けた。

「やっぱりあれだけ打てないと、投手陣が良くてもなかなか勝てない。“2、3点はOK”という中で投げられば気持ち的に楽ですけど、やっぱり“1点で抑えなくちゃいけない”と思うと、どうしてもフォアボールが多くなったりして、悪い方に行ってしまいましたね」

 五十嵐氏も「監督も途中で代わっちゃいましたしね」と残念がりながら続けた。

「髙橋(光成)が勝てなかったというのは誤算でしたよね。1勝もできなかった(15試合登板で0勝11敗、防御率3.87)。僕も試合を見ていて、抑えてるときは点が入らないし、点を取ってもらったときには打たれちゃう、みたいのが結構あった。苦しかったと思う」
 
 新シーズンでは西口文也監督がチームを指揮する。これ以上、順位が下がることはない。五十嵐氏が言う「2年間、ある程度リスクを背負いながら若手選手を育てた結果」で2位躍進を遂げた日本ハムのように、ここから西武の巻き返しが期待される。

 また、パ・リーグを3連覇していたオリックスが一気に5位にまで順位を下げたことも2024年シーズンの大きなトピックスだった。

 この低迷に対して井口氏は「投手陣2人(山本由伸、山崎福也)が抜けてしまった。どちらかというと守り勝つチームで、1試合をフルでしっかりと投げれる軸の投手(山本由伸)が抜けてしまったっていうのは、やっぱり大きかったですね」と、ロサンゼルス・ドジャースへと旅立ったエースの移籍を最大の要因として指摘。代わりに軸になるべき宮城大弥、東晃平、山下舜平太の3人が、故障や不振で期待値以下の成績に終わったことも大きかった。

個人タイトルの中で印象に残った選手は?

 パ・リーグの個人タイトルでは、ソフトバンク勢が12部門中7部門を占め、MVPも近藤健介が選出された。彼らの活躍に脱帽しながらも、五十嵐氏は最下位チームから新人王に輝いた西武の武内夏暉の働き(21試合10勝6敗、防御率2.17)を褒め称えた。

「このチーム状況が苦しい中で、 この勝ち星を重ねられたっていうのはすごいと思います。やっぱりチーム状況が苦しいときは、さっきも話に上がりましたけど、やっぱり打たれちゃいけないとなって、ボールが先行して自滅するパターンっていうのはあってもおかしくない。でも彼の場合、違いましたよね」

 野手陣では本塁打王&打点王の山川、そして首位打者の近藤のソフトバンク勢の働きに改めて触れた。

「ホークスからしてら右の大砲がずっと欲しかった中で期待通りの働きですよ。この働きがあったからリーグ優勝できた。でもやっぱりその後を打つ近藤ですよね。打順については(小久保監督も)迷ったと思うんですけど、山川の後ろに近藤っていうので、相手ピッチャーに与える負担が非常に大きかった」

 最後にベストナイン、ゴールデングラブ賞に選出された選手たちを前に、「印象に残った選手」として、井口氏はロッテの大卒5年目捕手の佐藤都志也の名前を挙げる。

「打てるキャッチャーとして(ロッテに)入ってきてましたけど、田村(龍弘)と争いもあった。それが今年は、しっかりと正捕手として試合に出ましたし、シーズン途中まで打率3割を打ってましたからね(116試合出場、打率.278)。そういう意味では、ロッテとしてはしっかりとベースとなるキャッチャーができたのかなと思います」

 それに対して五十嵐氏は、ゴールデングラブ賞の授賞式で話題を掻っ攫った“全身金ピカの男”の話を始めざるを得なかった。

「やっぱり、(楽天の)辰己(涼介)選手ですかね、印象に残ってると言えば…。やっぱり、こういうこと(全身金ピカ姿で授賞式に登場)をやることで注目されるし、(自分が)やらなきゃいけないとなって、それが力になるんだと思う」

 楽天ファンである袴田アナウンサーからも、辰己の“弾けっぷり”には、「守備は入団したときから上手いと評判で、ファンの中では“残念!そこは辰己”っていう言葉ができたぐらいですから」と喜びながらも、全身金ピカ姿には「ここまで来たかっ!」と笑うしかなかったようだ。

 今回も盛りだくさんの内容だった『袴田彩会の野球を語らナイト』。年の瀬、選手たちにとっては1年の中で貴重なオフを迎えているが、ファンにとっては“野球のない日々”を少し寂しく思うこともあるだろう。その際には、今季の戦いを思い出しながら、選手、OBたちを交えて「野球を語り合う夜」を過ごせば、随分と楽しくなるはずだ。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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