海外移籍公言のGK権田修一が『MONDAY FOOTBALL on TVer』出演! 世界との差、言語より重要なもの、代表復帰への想いとは
日本人GKが海外で活躍するために重要なもの
35歳となった今も、権田は自身の成長のための努力と探究心を惜しまない 【写真:三和直樹】
その「指示の声」について、権田は「日本のチームは日本語ですけど、オーストリアのときはドイツ語、ポルトガルではポルトガル語で指示を出さないといけない」と続けた。ではやはり、その「言語」が、よく言われる日本人GKが海外リーグに渡った際の「壁」なのか。権田は「そこまで大事じゃない」と言う。
「試合中の指示で使う言葉って限られるし、正直、すぐに覚えられます。それよりも大事なのは人と人との関係の中で、僕が指示を出したときに周りの選手が聞いてくれるかどうか。聞いてもらうためには、普段から自分が思っていることを相手に伝えて、相手が言ってることを聞いて、コミュニケーションを取ることが大事になる。あとは練習中に自信を持ってプレーして、いいセービングができれば“お前めっちゃ止めるじゃん”って勝手に寄って来てくれる。言葉は必要ですけど、それよりも大事なのは人間としてのコミュニケーション能力だと思います」
そして番組恒例マンデーセレクションでは、通常の「スーパーゴール集」ではなく「スーパーセーブ集」が流され、権田がエデルソンやジョーダン・ピックフォード、アンドレ・オナナなどのプレーを解説した。
そして権田はGKについて「人としてすごく成長できるポジション」と語った。さらに“GKあるある”として「握手するときに手の大きさとか筋肉のつき方で『この人、すごくキャッチできそうな手だな』とか思ってしまう」と明かし、青嶋アナウンサー、本田マネージャーと最後までGK話で盛り上がりながらエンディングを迎えた。
2026年北中米W杯へ向けた飽くなき挑戦
メディア出演には元々、積極的ではなかったという権田だが、カタールW杯での反響やベテラン選手として過ごした清水での経験を経て「サッカーファミリーを増やすためには大事なこと」と、自身の高い言語化能力を活かしながら、積極的に自らが“広告塔”になってきた。だが、その日々の中でも、W杯への想いは忘れなかった。
権田は背筋を伸ばし、改めて日本代表復帰、そして2026年6月に迫った北中米W杯出場へのプランと決意を語った。
「もう1回、W杯に行って、W杯で勝てるGKになりたい。そう考えたときに、あと1年半、エスパルスでプレーすれば日本語でコミュニケーションを取れて家族も日本で生活できていいかも知れませんけど、僕自身がセリエAでバリバリにプレーしている鈴木彩艶選手に挑んでいく立場になった身としては、新たな経験値を積まないといけない」
欧州リーグの冬の移籍市場(1月1日〜1月31日まで)が開いていない現時点では、移籍先などは「まだ何も決まっていない」という。だが、権田の視線は、すでに新たな挑戦へと向いている。
「第一希望はヨーロッパです。当然5大リーグ、理想を言えばプレミアとかセリエAに行きたいですけど、それが簡単でないことは分かっています。最初は2番手でってこともあるかも知れませんけど、そこから自分がポジションを奪って、すべてチャレンジだと思って、まずはそういう環境に行きたい。みなさんに『権田、面白い挑戦をしたな』って思ってもらえるようなチャレンジができたらと思います」
もちろん簡単なことではない。だが、不可能ではない。W杯の最年長出場記録は45歳(2018年のエジプト代表GKエサム・エル・ハダリ)であり、ディノ・ゾフは40歳でW杯優勝、オリバー・カーンも37歳でW杯のピッチに立った。そして川島永嗣はカタールW杯時は39歳だった。現在35歳の権田が諦めるのは、まだ早い。多くの経験を積み、さらなる成長を誓う彼の挑戦を、しっかりと見届けたい。
(取材・文:三和直樹)