フォルの下克上かロコの武士道か カーリングの最高峰タイトルで日本勢が決勝トーナメントへ

竹田聡一郎

ロコ・ソラーレは今季開幕戦に選んだ北海道ツアーのアルゴグラフィックス杯で吉田夕梨花(写真右)が欠場ながら4位入賞。ここから徐々にパフォーマンスを高めていった。 【(C)北海道カーリングツアー】

 グランドスラムの今季第3戦「ナショナル」が、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州セント・ジョンズで開催中だ。

 日本からはロコ・ソラーレ(Fujisawa)、北海道銀行(Tabata)、フォルティウス(Yoshimura)ら3チームが出場し、ロコ・ソラーレは3勝1敗の全体5位、フォルティウスは2勝2敗の同6位でクオリファイ(プレーオフ進出)を決めた。北海道銀行はグランドスラム初勝利を挙げるなど健闘したが、残念ながら予選敗退となった。

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ロコ・ソラーレの鍵は「ゲームの入り」と「メンタル」

 ロコ・ソラーレはこれまでの4戦すべてで最終エンドに入るクロスゲームを展開し、うち3戦がラストロックで勝敗が決まる“ロコ劇場”を演じてきた。

 初戦シュヴァラー(X. Schwaller/スイス)とのゲームで石2つを挟んだアングルのあるテイクを決めた藤澤五月は「今シーズンはああいう試合を落としてしまうことが多かったけれど、その反省を活かしてこういう展開で勝ち切ることができてすごく良かった」と振り返った。

 また、鈴木夕湖が「集中して(ゲームに)丁寧に入れている」と語ったように、初戦は第1エンドで2点、続くフォルティウス戦では2エンドまでに3点、敗れた3戦目のティリンゾーニ(Tirinzoni/スイス)戦も4エンドまでに2点、4戦目のローズ(Lawes/カナダ)戦も3エンドまでに2点と、前半戦で必ず2点以上のアドバンテージを得ることができている。決してリスクを嫌っているわけではなく、石を有効にハウスに送り込みながらアイスの情報を得る過程で、小さなチャンスがあればこじ開ける。そんな戦い方ができている印象だ。

 ノックアウトステージに駒を進めた藤澤は「よく食べてよく寝ようって言いながらみんな元気ではいる」と笑った後、「私たちは実力もあって技術もあって今必要なものはメンタル的なもの」と自チームの現状を分析し、最後は「自分たちを信じて武士の気持ちで戦いたい」と独特の表現で抱負を口にした。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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