試合中にデータを分析して打席ごとに修正 「33号本塁打」に見る、大谷翔平の卓越した“アジャスト能力”
感覚的な指導をデータで補う
試合中にタブレットでデータを確認する大谷。MLBではすっかりおなじみとなった光景だ 【Photo by Brandon Sloter/Image Of Sport/Getty Images】
肩が開いている、手で打ちにいっている――。これまで指導者はそんな言葉をかけ、選手にアドバイスをしてきた。それが間違いだと言っているわけではない。いま、そうした言葉を客観的なデータで補うことで、選手を納得させるのが、デフォルトになりつつあるのだ。
そして進化すると、大谷のように自分で数値を見て課題を把握し、必要なアジャストを行ってしまう。守らないので時間がある大谷は、次の打席に備え、ドジャー・スタジアムなどではケージに向かい、スイング軌道がおかしければ映像やデータと突き合わせて、微調整を試みている。
冒頭で大谷は「(室内)ケージがないので、どうやって試合の中で次の打席、次の打席に合わせていくのが難しい球場」と話したが、それもまた、そうした取り組みを裏付けているのではないか。
さて、大谷は今季、8回以降の打率、出塁率、OPSがリーグトップだ。(8月6日現在。75打席以上)
打率 .405 (.275)
出塁率 .489 (.360)
OPS 1.249 (.886)
カッコ内がキャリア平均だが、打席を重ねながら最適解を導こうとするさまが、こうして結果にも現れている。
これが今年の大谷の進化の一端ーーそう呼んでもいいのかもしれない。