“開心那スタイル”で2大会連続銀メダル 荒畑潤一が語るスケボー女子パークの本質

田中凌平

常に意識すべきはスケーティングを楽しむこと

 スケートボードはストリートも盛り上がりましたが、パークもレベルの高い戦いを見せてくれて盛り上がりました。3メートル50センチの壁やレール、こぶなどがある中を普通に滑るだけでも大変ですが、そこで難しいトリックを決められる選手たちは、信じられないレベルですよね。

 特に今回のパリ五輪は練習の時間が少なかったように思えました。その状況で滑る構成を決めるのは大変なことです。いかに普段からいろんなスケートパークで滑っているのかも試されます。1つのパークばかりで滑っていたら順応性がなくなってしまうので、いろんなパークで滑った経験を活かして引き出しを増やすことも大切です。

 また、パリ五輪のパークは、こぶの上にアーチ型のレールがありますが、このレールはストリートの要素になります。つまり、パークだけでなくストリートも滑れないと高得点が狙えません。実は、パークとストリートで畑は異なりますが、男子ストリートに出場した堀米雄斗選手(三井住友DSアセットマネジメント)やジャガー・イートン選手(アメリカ)はパークも上手に滑ります。

 スケートボードは、自分なりに探究心を持って自らのスタイルを追求するスポーツです。そのため、切羽詰まって滑るのではなく、楽しみながら滑るほうがモチベーションの向上や新しいトリックの閃きにつながります。スケートボードのレベルは上がっていますが、まずは自分なりに楽しむことが大切です。開選手、草木選手、四十住選手は4年後のロサンゼルス五輪も目指すと思いますし、そこまでの過程でどうスケートボードに向き合っていくか、いかに自身のスタイルを楽しんで表現できるのか――。そうしたスケーターの本質に注目してもらえると、観戦する側もより楽しめるはずです。

荒畑潤一(あらはた・じゅんいち)

【株式会社SFIDA】

スケートボード歴36年の大ベテランであり、日本スケートボードシーンを牽引してきたパイオニアの1人。1995年、18歳で全日本チャンピオン(AJSA)を獲得。その翌年には渡米し武者修行をするなど、本場のスケート文化に心酔した。近年はスケートボードの普及活動に力を入れており、東京五輪やパリ五輪、XGamesのテレビ中継の解説をはじめとしたメディア出演や、次世代のキッズを育成するスケートボードスクールなども開催している。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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