週刊MLBレポート2024(毎週金曜日更新)

ドジャー・スタジアムに刻み込まれる長距離砲の証 今夏、大谷翔平が「7本目」の達成者となるか

丹羽政善

大谷の特大本塁打の行方は?

 大谷が特大本塁打を放った7月21日、近くに居合わせたファンの証言によると、打球は右翼のパビリオンルーフ(屋根が波を打っているので、ウェービングルーフとも呼ばれる)と「DAISO」の看板の間の隙間を通過したそう。

大谷の打球は、赤い丸(筆者加筆)のあたりを通過した 【撮影:丹羽政善】

 実際、映像を確認しても、屋根と看板の間のわずかなスペースを打球が通り抜けている。その場に足を運んで確認したが、本当に20~30センチしか隙間がない。そこを抜けたこと自体が奇跡だが、ドジャー・スタジアムの場合、屋根の上に当たって場外に出た場合も場外本塁打と認定されるので、屋根との距離を考えると、本当に惜しかったといえる。

 あの日は、気象条件も良かった。試合開始は午後4時10分。本塁打が飛び出したのは五回で、まだ明るい時間。ロサンゼルスは、昼と夜の寒暖差が激しく、デーゲームとナイターでは20%ほど湿度が異なる。例えば、7月24日のケースだと、午後5時の湿度は48%、午後9時は67%だった。湿気は、当然ながら飛距離に影響を及ぼす。また、7〜8月のほうが、シーズン序盤よりも乾燥するので、飛距離そのものが出やすい。あの1本は、大谷のパワーに加え、そういう条件で飛び出したものなのである。

 ということは今後、まだまだ歴史的な一発を目撃できる可能性があるかもしれない。なぜなら、8月はまだ11日と25日にデーゲームがある。9月8日のデーゲームもリストに加えてもいい。相手がパワー系のピッチャーなら、真芯で捉えたときの飛距離が伸びるので、より可能性が高まる。

 よって、この大谷の一言は、あながち強がりではない。

「まだチャンスは、これから先、あると思う」

 打てば同球場で7本目。またプレートが設置され、新たな歴史が刻まれることになる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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