打率トップに急浮上 イチローに憧れて育ったイエリチが、大谷翔平の三冠王を阻止!?
史上初の「50-30」達成なるか
7月10日(現地時間、以下同)の試合を終え、28本塁打、22盗塁なので、シーズン通算では49本塁打、38盗塁ペース。50本塁打、30盗塁以上を意味する「50−30」を記録した選手は過去、誰もいない。「40-40」を達成すれば、史上6人目。
また、そうした記録的なシーズンとなれば、指名打者はMVP(最優秀選手)をとれない、というMLBの常識を覆すことにもなりうる。
守備につかない指名打者は、MVPレースにおいてハンデ戦だ。例えば、MVPに投票する記者が参考にするWAR(Wins Above Replacement)という指標がある。これは、その選手が最低限のコストで代替可能な選手と比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを様々な投手成績、あるいは打撃成績から算出したものだが、指名打者は守備評価がゼロどころかマイナス。結果、WARの伸びが抑えられる。
現在、大谷のWARは5.1でMLB全体で4位。1位はガーナ―・ヘンダーソン(オリオールズ)の6.2。オフェンス、走塁の指標では大谷が上回っているが、ヘンダーソンはショートを守っているので、その時点で守備の基礎点が高い。
オリオールズのガーナー・ヘンダーソン 【Photo by Charles Brock/Icon Sportswire via Getty Images】
もちろん、MVPの話もまだ気が早いのだが、三冠王の可能性も含め、大谷は前半をそういう議論が決して的外れではないという位置で、シーズンを折り返そうとしている。
ところで、今週に入ってイエリチが規定打席に達し、7月10日現在、.335でナ・リーグの打率部門トップに立っている。大谷が.317で2位。ということは今後、2018年に惜しくも三冠王を逃したイエリチが、大谷の三冠王を阻止するような展開も予想できる。
「そうなったら、面白いね」とイエリチは笑みを返した。
ブリュワーズとドジャースは、ワールドシリーズ出場をかけて、ナ・リーグの優勝決定戦で対戦する可能性もあるーーそれもまた、2018年のように。