【単独インタビュー】ジュニアGPファイナル王者・中田璃士 本番に強い15歳、目指すは2030年五輪
世界ジュニアには絶対優勝する気でいった
世界ジュニアでもフリー1位と巻き返し銀メダルを獲得 【Photo by Toru Hanai - International Skating Union via Getty Images】
全部、ちゃんと見ました。絶対ミスしないのが、すごいです。シニアの選手はやっぱりみんなすごく集中していて、「絶対勝つぞ」みたいなオーラを出していたので、空気が違いました。
――全日本選手権でフリーを滑ったのは、初めてでしたね(初出場した一昨季の全日本では、ショート26位でフリーに進めず)。
フリーの4分間(シニアのフリーは4分、ジュニアのフリーは3分30秒)を滑ったのは、初めてです。やっぱりみんな、そこでノーミスでできるようにたくさん練習している。そういったところでは「僕もまねしないと」という思いは、ありました。
――今年1月のユース五輪は5位でしたが、それがあってこその世界ジュニアでの銀メダル獲得だったと思います。悔しさをバネにしたところはありましたか?
「世界ジュニアでは楽しもう」という感じだったのですが、ユースオリンピックが終わってからそれが一気に変わって、「絶対に1位をとろう」という目標になりました。その後はしっかりやることをやって、世界ジュニアには絶対優勝する気でいきました。
――その時は、それまでとは違う練習だったのでしょうか。
そこは以前と変わらず楽しい練習で、でもちゃんとやることはやって。あの時にできることは、全部やったと思います。
――楽しい練習を、緊張する試合の時にどう生かしていますか?
普通では考えられないことをするのが好きなので、練習ではジャンプの締め方を下にしたり上にしたり、変わった入り方からジャンプを跳んだりしています。普段そういうことをしているのですが、いざ試合本番になったらちゃんとした入り方になるので、練習に比べたらすごく楽です。あとは友達と話しながらアップしていたりして、試合直前まであまり考えすぎないで、楽しんでいます。
今季のフリーは「マックスで4回転3本」
「ファンタジー・オン・アイス」では、新シーズンのSPを披露。ミーシャ・ジー氏振付のフラメンコ調のプログラムだ 【写真:松尾/アフロスポーツ】
宇野さんの滑った『See You Again』を見て、「やっぱりすごく上手だな」と。偉大なスケーターが競技から退くのは、悲しいなと思いました。
高橋さんとは(2017年・第1作目、2019年・第2作目の)「氷艶」で共演しましたが、その時はキッズスケーターでしたから練習が分けられていて、一緒になる機会はなかったです。今回のプリンスアイスワールドでも練習時間が違っていて、話す機会がなく残念でした。
――また「ファンタジー・オン・アイス」(5-6月)では、羽生結弦さんと共演しましたね。
メダリスト(・オン・アイス2021、全日本選手権のエキシビション)で一緒に滑ったことがあって、それ以来の共演でした。羽生さんは踊りやスケーティングがうまくて、オーラがすごかったです。
――「ファンタジー・オン・アイス」では、2024-25シーズンのショートプログラムを披露されました。初めて海外の振付師(ミーシャ・ジー氏)に依頼、フラメンコ調のプログラムに仕上がっています。曲は、自分で希望したのでしょうか?
ミーシャさんに何曲か提案してもらった中にフラメンコがあったので、「これがいい」と言って、決まりました。パワフルで盛り上がる曲をやりたかったので、フラメンコにしました。格好良くて、ステップがすごくいいです。
――2024-25シーズンのフリーは決まっていますか?
来季のフリーは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』で、振付をしたのは韓国のシン・イェジ先生です。振付師さんからは「映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』は5作品あるので、その全部をイメージして滑ってほしい」と言われ、全部観ました。
――今季フリーの使用曲『007』は、五輪で使いたいというほどのお気に入りでしたね。
今の『パイレーツ・オブ・カリビアン』も、けっこう好きですね。どうなるか分からないですが、オリンピックシーズンに内容を全部変えてもう一回『パイレーツ・オブ・カリビアン』をやりたいと思うほど、すごく好きです。
――「ファンタジー・オン・アイス」のグランドフィナーレでは、4回転サルコウを着氷されていたようですが。
練習では何回も降りていて、プログラムにも入っています。
――以前、4回転ループを跳ぶ動画をSNSにアップしていましたね。
(4回転)ループも、今は入れています。練習では、4回転はループ、サルコウ、トウループを入れています。来シーズンに向けた構成は、今のところマックスで4回転3本です。あと2年ジュニアにいなくてはいけないので、来季は一回も負けないことが目標です。ジュニアでも「シニアにも負けないぞ」という気持ちで、いきたいと思っています。
――2030年五輪で金メダル獲得という目標を掲げていますが、そこまでの道程として、まずはジュニアで勝っていきたいところですね。
(ジュニアには)あと2年いないといけないので、(ジュニアグランプリ)ファイナルは3連覇、世界ジュニアは2連覇して、2年後には絶対に全日本の一番上を狙っていきたいと思います。
中田璃士(なかた・りお)
【スポーツナビ】