「戦えない」「決定力不足」? U-16代表に見る“脱・日本っぽさ”の時代

川端暁彦

「決定力の差」でベネズエラに完勝

2得点を挙げたFW浅田大翔(横浜FMユース)をチームメイトが祝福 【撮影:川端暁彦】

 日本代表と言えばもはやお馴染みのフレーズがある。

「決定力不足」

 課題を単純化し過ぎてしまうので余り好きな表現ではないのだが、「点を取れる選手がいるかどうか」で勝敗が大きく左右されるのも、また事実である。

 そして廣山監督がこの年代の代表を指揮する上で、もう一つ強調しているのは、「点取り屋を育てたい」ということだ。FWに求められるタスクが多様化した時代ではあるものの、それでも「まずゴール」という点を強調して指導に当たっている。

 この合宿では先ごろ引退を発表した元日本代表FW岡崎慎司の映像を編集し、選手たちにある種の「気付き」を促した。

「岡崎さんみたいな選手が増えてほしいというメッセージを込めて映像も見せたんです。『点をとってナンボだぞ』という気持ちを込めてね。代表で50点取った選手がいたんだぞ、と。ああいう点取り屋を下からどんどん増やしたいですね」(廣山監督)

 その映像の効果としてしまうのは安直だろうが、この映像を見て「とにかく点が大事なんだな、と。アシストとかも評価されると思うんですけど、最後は点じゃないとダメ。点を決めないと残っていけないとあらためて思った」と言うFW浅田大翔(横浜FMユース)が、このベネズエラ戦では2得点(初戦のウクライナ戦でも1ゴール)。さらに後半には交代出場のFW吉田湊海(鹿島ユース)、葛西夢吹(湘南U-18)もそれぞれ2試合連続となるゴールを記録。FW陣の点取り合戦の様相を呈した。

 試合全体を観れば、ベネズエラが上回った時間帯も少なくなかった。ただ、「決定力の差」(アラウホ監督)で日本が完全に上回って、4-0。完勝となった。

 23日に行われる第3戦の相手はU-16セネガル代表。ほとんど対戦機会のないアフリカ勢との戦いとなる。リーチの差、単純なスピードや跳躍力の差、身体操作性やリズムの違いなど「やってみて初めてわかる」(廣山監督)モノを体感するチャンスとなる。

「わかっていてもやられる場面が出てくる。いくら映像を見せても伝わらない部分があるから、本当にセネガルのようなチームとやれるのは嬉しい」(廣山監督)

 もちろん、その上で開催国として3連勝での優勝を勝ち取りにいくのも当然のミッション。“侍の卵たち”が、アフリカの雄に競り勝ち、さらなる自信をつかみ取りにいく。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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