【週刊ドラフトレポート#11】代表合宿で注目を集めた本格左腕・高橋幸佑、高校球界屈指の強肩捕手・龍山暖
今回は全国の先陣を切って6月22日に開幕する高校野球の南北海道大会(北北海道大会も同日開幕)、沖縄大会で注目の高校生2人を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「侍ジャパンU-18候補合宿でブレイク!全国トップクラスの本格派左腕」
中学時代は無名だった高橋は、U-18の強化合宿を機に多くのスカウトから注目されるようになった 【写真提供:西尾典文】
【将来像】石井弘寿(元ヤクルト)
下半身が強いフォームで、力強い腕の振りとストレートの球質も石井に重なる
【指名オススメ球団】オリックス
高校生の素材型投手が多く成長しており、左投手の絶対数が少ないチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚
4月4日から3日間にわたって行われた侍ジャパンU-18代表候補選手強化合宿。選抜高校野球に出場した選手を中心に全国から精鋭が集結していたが、そのメンバーの中で最もベールに包まれている存在だったのが北照の高橋幸佑だ。昨年秋の北海道大会では背番号11で出場。チームは初戦で旭川実に延長10回タイブレークの末に敗れ、高橋はリリーフで2回1/3を投げて2失点で負け投手となっている。この試合でのストレートは140キロを超えていたというが、それでもこれだけの実績で代表候補に選出されたのはサプライズと言ってよいだろう。
そんな高橋だったが、強化合宿ではいきなり存在感を示す。まず驚かされたのが初日に行われたブルペンでのピッチングだ。同じ左腕では昨年からエースとして活躍している金渕光希(八戸工大一)が最注目の存在と見られていたが、ストレートに関しては明らかに高橋のボールの勢いが上回っていたのだ。右投手では選抜でも活躍した平嶋桂知(大阪桐蔭)のスピードが目立っていたが、その平嶋と比べても全く見劣りすることはなかった。視察していたスカウトや報道陣も明らかに驚いた様子で「あの左ピッチャー誰?」と確認していた。
そして迎えた翌日の紅白戦。高橋は選抜でもホームランを放った正林輝大(神村学園)からも三振を奪うなど、全国の好打者を相手に2回を投げて被安打1、3奪三振で無失点と見事なピッチングを披露して見せたのだ。ストレートの最速は平嶋、高尾響(広陵)の147キロに次ぐ146キロをマーク。そのボールの勢いに三塁側のスタンドで見ていたスカウト数人が思わずバックネット裏に移動する様子も見られた。この瞬間、高橋が一気にスカウト注目の選手となったことは間違いないだろう。試合後の囲み取材でも多くの報道陣が高橋のもとに殺到しており、その注目度の高さがよく分かるだろう。
それから約1カ月が経った5月中旬に高橋に直接話を聞く機会があった。中学時代は神奈川県内の学校の軟式野球部でプレーしており、横浜市内ではそれなりに勝っていたものの、全国的には全く無名の存在だった。北照への進学も母親の出身が北海道だったということと、夏の甲子園での北照の試合を見たことがきっかけで自ら志望しての一般入試であり、入学当初のスピードは120キロ程度。1年生の頃はホームシックなどで体重がみるみる減り、チームを指導する上林弘樹監督もかなり心配したと話していた。そこからここまで成長したのは本人も上林監督も想像していなかったそうで、U-18の強化合宿もまさか選ばれるとは思っていなかったという。よく甲子園で人生が変わるという選手はいるが、高橋にとっては強化合宿がその舞台であり、それ以降は多くのスカウトが練習の視察に訪れているという。
春の北海道大会は初戦で先発を任され、東海大札幌を相手に7回を投げて4失点で負け投手となり、秋の悔しさを晴らすことはできなかったが、それでも強化合宿以降も投げれば常にストレートは140キロ台中盤をマークするなど高い出力をキープしている。NPB球団のスカウトからも、ストレートに関しては今年の高校生左腕では屈指という声も聞かれており、夏も高い注目を集めることは間違いない。本人も目標と話す高校からのプロ入りに向けて、夏はさらに成長した姿を見せてくれることを期待したい。