週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#08】スケールアップした甲子園V腕、東洋大・岩崎 万能外野手の立正大・飯山は父に続けるか

西尾典文

「父は元プロ、弟は甲子園出場の野球一家。走攻守揃った万能タイプの外野手」

走攻守の全てで高いレベルを誇る立正大・飯山志夢。父に続くプロ入りの可能性も高い 【写真提供:西尾典文】

飯山志夢(立正大 4年 外野手 178cm/78kg 右投/左打)

【将来像】小郷裕哉(楽天)
選手のタイプとして大学の先輩でもある小郷に似た部分が多い

【指名オススメ球団】ヤクルト
外野の世代交代が必要なチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 今年の東都二部を代表する投手が岩崎なら、野手で最注目の選手と言えば立正大の飯山になるだろう。父は日本ハムで長く守備職人として活躍した飯山裕志氏(現・日本ハムアマスカウト兼プロスカウト)。4歳下に双子の弟がおり、成夢はこの春中央学院の正捕手として甲子園ベスト4進出に貢献し、大夢は修徳のエースとして春の東京都大会で関東一を完封するなど活躍している。

 長男である志夢は、中央学院時代は全国的に注目されていた選手ではなかったが、立正大では1年秋から外野の一角に定着。当時はスピードはありながらもなかなか打撃が安定しないという印象が強かったものの、昨年春には打率.365をマークして二部で首位打者を獲得するなど大きく成長し、6月に行われた大学日本代表候補合宿にも招集されている。この頃から2024年のドラフト候補として名前が挙がるようになった。

 飯山のプレーでまず目立つのが、その高い守備力だ。昨年から不動のセンターとなっているが、シートノックの時から打球に対してチャージするスピードは明らかに一人だけ違っているのだ。打球への反応や落下点に入るまでの速さも素晴らしいものがあり、ただ脚力があるだけの外野手ではない。また低くて伸びるスローイングの勢いも申し分ない。父は内野の守備名人だったが、外野の守備だけでもプロで戦力になれるレベルにあることは間違いないだろう。

 バッティングについても前述した通り、昨年から明らかに力強さが増した印象を受ける。4月10日に岩崎との直接対決となった試合でも第1打席でライト前、第2打席でセンター前に弾き返してマルチヒットを記録。脚力のある左打者の場合、どうしてもそれを生かそうとして体が一塁側に流れるいわゆる“走り打ち”になることが多いが、現在の飯山はしっかり体を残して強く振り切ることができているのだ。タイミングをとる動きにも無駄がなく、ボールを長く見られ、振り出しもスムーズでミート力も高い。この春も打率.353を記録するなどさらにレベルアップした姿を見せた。元々の持ち味であるスピードも健在で、リーグでダントツとなる7盗塁もマークした。東洋大戦で視察していたベテランスカウトからも「足はお父さんより確実に速いね」という声も聞かれている。

 右投左打の外野手は近年ではなかなか高い評価を得られないという話もよく聞かれるが、ここまで走攻守の全てが高いレベルを誇る選手はなかなかいるものではない。3年から4年にかけて成績を上げて、成長している点をアピールできているのもプラス要因だ。順調にいけば、父に続くプロ入りの可能性も高いだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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