週刊MLBレポート2024(毎週金曜日更新)

大谷、理想の「スプラッシュヒット」に大打者・ボンズの影 オラクル・パーク名物をめぐるファンのサイドストーリーも

丹羽政善

大谷が語る大打者・ボンズ

 さて、同じ日、銀行詐欺、納税の虚偽申告などの罪に問われている元通訳の水原一平被告が、罪状認否のためにロサンゼルスの連邦地裁に出廷した。

 無言を貫いた水原被告。大谷も試合後、事件のことに直接触れることはなかったが、「開幕からいろんなことがあったが、どう集中しているのか?」と米記者に聞かれると、「最初の方は色々あったので、ちょっと睡眠が足りてないなという日が続いた」と珍しく心情を吐露している。

 “色々”とは何か。さすがに米メディアもそこを問いただすほど野暮ではなかったが、最近はいい睡眠を取れるようになったそうで、「時間にもだいぶ余裕が出ているので、いい睡眠をとって1日1日、大事にプレーできている」と大谷は続けた。

 では、どこがターニングポイントになったのか。そう聞かれた大谷は、こう話し始めた。

「物事が進展し、色々と新しいことがわかって、自分のやるべきこと(証拠書類など)を出して、一旦物事が解決した段階では、もう僕のほうからやることはなくなったので、その段階で(寝られるようになった)」

 事件の最終決着はまだだが、彼の中ではすでに区切りがついているような口ぶりだった。

4月22日、オラクル・パークで子供たちにサインをするボンズ 【Photo by Suzanna Mitchell/San Francisco Giants/Getty Images】

 ところで試合前、くだんのボンズがフィールドに姿を見せていたという。彼は現在、ジャイアンツのスペシャルアドバイザーを務めている。「会ったのか?」と聞かれた大谷は、「きょうは(会って)ないですね」と答えた。“きょうは”ということは、過去に会っているのか。ボンズが最後まで球場で試合を見ていたかは不明だが、だとしたら、大谷の打球を目の当たりにして、どう思ったのだろう。

「本当にメジャーリーグの打者というか、今よりも動き方だったりというのが、日米ですごく差があった時期だと思うので、本当にアメリカ人らしい打ち方」

 そうボンズの記憶を辿った大谷。果たして、ボンズは大谷にどんな印象を口にしたのだろうか。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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