水戸ホーリーホックが協力!廃校を活用した複合施設が地域にもたらす様々なメリットとは
【写真提供:茨城県城里町】
毎年450校もの学校が廃校に?
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その問題をスポーツの力で解決したのが茨城県城里町。少子化の影響で2015年に廃校になった七会中学校の校舎を改修し、2018年にJリーグの水戸ホーリーホックのクラブハウスと練習場、そして町役場の支所や公民館などが一体となった複合施設「アツマーレ」を作ったのだ。
プロサッカー選手と一緒にトレーニングできる
一般人も利用できるアツマーレのトレーニングルーム 【写真提供:茨城県城里町】
「プロスポーツの選手と一緒の空間でトレーニングができるので、利用者の皆さんは、選手を身近に感じることができているようです」
と、町民の皆さんの様子を教えてくれたのは、アツマーレの副センター長・山口成治氏だ。
「一般の方がトレーニングルームを利用する場合、事前に1度だけ講習会を受けていただく必要がありますが、その際に水戸ホーリーホックさんのノウハウを活用させてもらっています。利用者の中には選手と顔見知りになって会話をする方もいるらしく、試合前後の選手たちの緊張した様子やリラックスした様子などを直接肌で感じることもできる、といった話も聞いたことがあります。そうやってプロスポーツ選手が身近になったことから、町民の健康意識が高まっているようです」(山口氏)
プロサッカー選手と同じ空間でトレーニングをする機会など、普通はめったにないが、並んでマシーンを使えば、まるで自分が選手の一員になったような気分を味わうことができ、運動をするモチベーションがあがりそうだ。
スポーツを通じた健康づくりから交流人口増加まで、いいことずくめ
2023年11月に行われた『選手と一緒にアツマーレであそぼう!』の様子 【写真提供:茨城県城里町】
アツマーレのBBQ場。休日には多くの地域住民が訪れる 【写真提供:茨城県城里町】
「アツマーレに水戸ホーリーホックさんが来てくれたことにより、地域間、世代間の交流人口が増加しています。また選手の練習風景を見ようと町外からもサポーターの方が多く集まり、地域には活気が出ています。実際、アツマーレの近くにある町の物産センターも売り上げが伸びています」(山口氏)
廃校活用ならではの意外なメリット
広大な土地を活用したアツマーレ 【写真提供:茨城県城里町】
「廃校をどうするかを検討している際、地域の方々にアンケートを実施したのですが、『中学校の校舎に愛着があるので建て替えを望まない』という声が多かったんです。そこで最大限現状を活用したリノベーションを行いました」
その結果として地域住民の方々が親しみの持てる施設ができあがった。実際同校の卒業生からは「当時のことを振り返ることができる」「校舎の懐かしさがいいね」という声も聞かれ評判は上々だそうだ。
「多くの地域住民が通った中学校という場所は『アツマーレ』という施設名が意味する『ここに集まれ』という狙いにとって、非常に効果的だったのかなと思います。グラウンドを活用してスポーツをしたり、その他にも遊びや学び、仕事など、いろいろ利用の仕方をしてもらい、その活気をさらに町民の皆さんに還元できるんじゃないかなと思っています。ですから今後も積極的に施設を利用していただければありがたいですね」(山口氏)
スポーツはプレイするだけでなく、観戦したり、ひいきのチームを応援したりと、様々な年代の人が思い思いに楽しむことができる。一方で、学校も広い世代にとって愛着のある場所なので、スポーツと廃校の組み合わせはとても相性がいいと言えるのではないだろうか。今後はゼロから新しい施設を作るよりも、比較的安価に短い期間で作ることができるアツマーレのような施設が、日本の少子化問題の救世主になるかもしれない。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真提供:茨城県城里町
※本記事はパラサポWEBに2024年5月に掲載されたものです。
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