モダンな攻撃的SBに変貌する冨安健洋 アーセナルの攻撃性に自然体で染まって進化
ルートンの橋岡は「本当に負けなくてよかった」と安堵
絶対に勝利が欲しかったルートンだが、エヴァートンを相手に1-1のドロー。翌日にフォレストが勝って勝ち点差が3に広がり、プレミア残留へ崖っぷちに立たされた 【Photo by Tony McArdle/Everton FC via Getty Images】
エヴァートンとのホーム戦。ここで勝たなければいつ勝つんだという試合だった。今季、プレミアリーグのFFP(ファイナンシャル・フェアプレー:人件費や移籍金などの支出がクラブ収入を超えることを禁じる規程)に抵触して勝ち点4を剥奪された17位ノッティンガム・フォレストとの勝ち点差はわずかに1。しかしこの5月3日の金曜日夜に行われた試合前の段階でルートンが得失点差で9点下回り、勝ち点で上回らなければ残留は厳しい状況だった。
キックオフ直後からルートンが豊富な運動量を基盤に果敢に攻め込んだ。対するエヴァートンは宿敵リバプールを下したマージーサイド・ダービーを含めて3連勝を飾り、プレミア残留を確定させた直後なだけに、ボールを積極的に奪い返しにいくという姿勢は見られず、ルートンの気合いに真っ向から立ち向かう気配はなかった。
ところが先制点はエヴァートン。ルートンにしてみれば全く馬鹿馬鹿しいPKだった。前半20分のコーナーキックの守備の場面で、DFテデン・メンジがエヴァートンDFジャラッド・ブランスウェイトを引きずり倒したシーンがVARの結果、反則と判定された。
しかしこれが、ボールが全く絡まない位置での反則。確かにブランスウェイトに抱きついて、相手が倒れるまで離さなかったメンジのファウルではあるが、ペナルティエリア内とはいえゴール・スコアリングのチャンスには全く絡まない、ボールとは遠く離れた位置での反則だった。
けれども主審がモニターで見返してしまえば、大抵反則と判定されてしまう。エヴァートンにとってはラッキーなこのPKをイングランド代表FWドミニク・キャルバート=ルーウィンが難なく決めて、勝ち点3にはそれほど執着していないように見えたアウェーチームがあっさり先制してしまった。
この後、ルートンが前半31分にFWイライジャ・アデバヨの見事な個人技で同点にして、さらに試合終了のホイッスルが鳴るまで必死に押し上げて逆転を狙ったが、結局はPKによる1点が重くのしかかり、1-1のドローで終了した。
橋岡大樹に出番は回ってこなかった。しかし試合後のクールダウン後、少しだけ言葉を交わした。「本当に負けなくてよかった」とドローに持ち込んだ味方を称えて、「明日のノッティンガム・フォレストはアウェーですね?」という問いかけに対しては、すでに降格が決まったがホーム戦で意地を見せてほしい対戦相手のシェフィールド・ユナイテッドに「期待します」と言って、その場を去った。
橋岡の望み通り、フォレストの試合はシェフィールド・Uが前半17分のPKで先制する展開となったが、尻に火がついたフォレストがその後3点を奪って3-1の逆転勝利。ルートンは次戦のウェストハムとのアウェー戦で、今度こそ本当に勝ち点3を奪取するしかなくなった。
遠藤は久々に好パフォーマンスを披露
クロップ体制終焉までカウントダウンが始まったリバプールは、5月5日にアンフィールドでトットナムと対戦。遠藤は後半20分に交代するまでハイレベルなプレーを見せ、4-2の勝利に貢献した 【Photo by John Powell/Liverpool FC via Getty Image】
しかしこれも優勝争いの重圧が消え、それがいつ以来のことだか思い出せないほどだが、久々に選手がリカバリーするのに十分な時間が与えられた中7日の条件で戦った結果だというしかない。
前節のウェストハム戦でクロップ監督とタッチライン上で口論したことが話題となったエースのサラーが躍動したが、この日のプレーが3週間前にできていればと思ったのは筆者だけではないだろう。
またトレント・アレクサンダー=アーノルドやハーヴェイ・エリオット、そしてGKアリソンも素晴らしいパフォーマンスを見せたが、この試合で心に残ったのは、クロップのチャントを試合中に4回も高らかに歌ったサポーターの去り行く監督に対する堅固な忠誠心だった。
優勝を逃したことで、やはり辞任発表のタイミングが早すぎたから肝心のシーズン終盤にチームを掌握できなかったという批判も出たが、そんな雑音を封じるように、そして熱く赤いサポーターは残り2試合で去るドイツ人闘将との別れを惜しむように、「ユルゲンがレッドで嬉しい! 彼を愛してる。だから僕は大丈夫」と何度も大声で歌っていた。
(企画・編集/YOJI-GEN)