シェフラーの強さは全盛期のタイガーに匹敵する 佐藤信人プロが占う今後の海外メジャーの勢力図

野中真一

大会史上もっとも過酷だったオーガスタ

3日目に2位まで浮上したコリン・モリカワ。最終日は2オーバーと難コースに苦しめられた 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

――敗れたコリン・モリカワについては?

 コリン・モリカワとスコッティ・シェフラーはジュニア時代、カレッジ時代から同世代のライバルでした。当時はどちらかと言えばモリカワが世代のリーダーであり、プロに入ってからも先にメジャーで優勝したのはモリカワでした。でも、2022年にシェフラーがPGAツアーで初優勝を挙げると一気に世界ランキング1位に駆け上がりました。

――今年のオーガスタナショナルGCは難しかった?

 出場した選手の中には「今までで1番難しかった」とコメントしている選手もいましたし、スコアだけを見てもアンダーパーが8人というのは難易度が高かったと思います。

――なぜ、今年は難しかったのか?

 初日、2日目に関しては風が強かったことが選手を苦しめたと思います。3日目になると風はある程度おさまってきましたが、雨が乾いた影響でグリーンが例年以上に硬くなって、速くなりました。硬くなってアイアンショットで止めることが難しくなり、速くなったことでショートパットでも傾斜のあるラインが難しくなった。コース改造の影響もあったと思います。昨年から13番パー5が35ヤード長くなって、2022年には15番パー5も20ヤード長くなりました。その影響で数年前まではイーグルがよく出ていた2ホールで、ほとんどイーグルが出なくなりました。特に今年は60台を出す選手が少なかったですね。

――38位タイに終わった松山英樹選手については?

 最終日もティショットやアイアンショットで手を離すシーンが多かったですし、ショットには不満があると思います。でも、本調子ではない状況で、これだけ難しくなったオーガスタで4日間をよく戦い抜いたなという感じです。やはりマスターズは初日に流れに乗って上位に入っていないと、最終日に優勝争いするのは難しいなとあらためて思いました。

――今後のメジャーについては?

 当然、シェフラーが軸になっていくと思います。メジャーはコースセッティングもハードになりますし、「全英オープン」のように気候との戦いもありますが、シェフラーのプレースタイルやクリスチャンとしての信仰心は難しいコースでこそ本当の力を出せると思います。メジャー3勝目、4勝目の可能性も十分にあるでしょう。今シーズン9試合を終えて3勝、9試合すべてトップ10入りという成績は全盛期のタイガー・ウッズを彷彿させる強さです。シェフラー個人の強さはもちろん、チーム・シェフラーは他の選手にとって相当手強い存在だと思います。

解説・佐藤信人

1970年3月12日生まれ。高校卒業後に渡米して、ネバダ州立大学に進学。帰国後に日本のプロテストに一発合格して、ツアープロに。日本ツアーでは通算9勝をマークして、2000年には年間平均ストローク1位に輝いた。現在はPGAツアー、日本ツアーの解説者としても活躍。

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