なぜ大谷から本塁打が出なかったのか? 特有の「春先の課題」を読み解く【週刊MLBレポート2024】
4月3日のジャイアンツ戦で、待望の今季初本塁打を放った大谷 【Allen J. Schaben / Los Angeles Times via Getty Images】
その時点で、前に飛んだ打球は24本。右方向への打球は16本。そのうちゴロは6本。右方向への平均打球角度は7.4度(baseball savant参照)。まだサンプルが少ないので、ここから傾向を導き出すのは早急ではあるものの、大谷の本塁打が出ないときの典型的なパターンだった。
※リンク先は外部サイトの場合があります
大谷のスプレーチャート 【参照:baseball savant】
通常、大谷のスイング軌道は、バットがホームベースを通過したあと、徐々に10時〜11時の方向へ上がっていく。よってホームベースの手前でボールを捉えたときというのは、バットの軌道が上がり始めるタイミングとなる。その場合、もちろん球種にもよるが、多くはボールの上を叩くことになる。ボールの中心を捉えたとしても、そのときはラインドライブがかかる。いずれにしても打球に角度がつきにくい。
つまりは、ややタイミングが速いのではないか。仮に、コンタクトの位置があと20センチ後ろなら、角度のついた打球が反対方向へ上がるはず。そんなタイミングのズレは先日、大谷自身が口にした。
3月30日の開幕3戦目。1点ビハインドの延長十回裏、2死満塁で大谷が打席に入った。ヒットが出ればサヨナラという場面。しかし大谷は、2−1からの4球目、真ん中付近の甘い真っすぐを高々とショート後方に打ち上げてしまった。
試合後、大谷は「フォアボールでもいいですし、シングルでもいいですし、どういう形でもいいので、まずは同点にして繋ぐことが大事でしたけど」と振り返りつつ、こう原因を説明した。「最後、自分の中では捉えたつもりでしたけど、ポップフライになっているので、タイミングと距離の違いかなと思います」。
タイミングと距離の違いーー。このときは内野フライだったが、まだ、自分のイメージとスイングにはタイミングと距離感において、乖離があるようだった。