プロ野球12球団戦力分析(2024)

オリックスは絶対的エースの穴をどう埋める? 4連覇へのキーポイントはやはり「中嶋采配」か

データスタジアム株式会社

タイトルを分け合った捕手陣

オリックス野手:2023年ポジション別得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 攻撃の得点貢献度で25.3を記録したキャッチャー陣では、FAで加入した森友哉が打率.294、18本塁打をマークするなど、中軸として打線をけん引。移籍1年目でパ・リーグ捕手部門のベストナインに選出された一方、ケガの影響などで捕手としての出場は全体の半数にとどまっていた。その森を抑えて、若月健矢が昨季チーム最多のスタメンマスクをかぶった。プロ10年目で初のゴールデングラブ賞を獲得するなど、定評のあるディフェンス面でチームを支えただけでなく、打撃でも捕手として優れた成績をマーク。捕手陣の得点力は12球団トップとなっている。

 今季も捕手は2人の併用が予想され、1人の選手に依存しない編成はチームの大きな強みとなっている。

頓宮裕真を中心に既存戦力がさらなる奮闘を見せるか

 内野では、ファーストで大きくプラスの得点貢献度を記録。そのファーストを主に務めた頓宮は打率.307で首位打者に輝くなど大ブレークを果たし、初のベストナインにも選出された。バットだけでなく守備でも高い貢献を見せ、野手では捕手に次ぐ強みのポジションとなっている。ショートでは今年22歳を迎えた紅林弘太郎がキャリアハイとなる打率.275を記録するなど、自身初のベストナインに輝いた。攻守で年々成長を見せており、今後もチームの中心選手として活躍が期待される。

 一方、チームはセカンドとサードが弱点となっている。そうした中、オープン戦では太田椋が存在感を放っている。近年は故障の影響もあってチャンスをつかめずにいたが、チーム状況としてもブレークが待たれる存在だ。また、サードでは宗佑磨が3年連続のゴールデングラブ賞、ベストナインに選出されたものの、データ上では攻守ともにリーグ平均の成績に届かなかった。宗もレギュラーが安泰という立場ではなく、太田のほか、来日2年目を迎えるゴンザレスや打率.279をマークした宜保翔、外野手としての出場も多い廣岡大志といった選手たちとポジションを争う形となるだろう。

FA戦士の加入で得点力アップに期待

昨季のウィークポイントだったレフトには、FAで加入した西川が収まる見込み。得点力アップにかかる期待は大きい 【写真は共同】

 外野のポジションで唯一プラスの得点貢献度を記録したセンターは、中川圭太がリーグ9位のOPS.751をマークして高い貢献度を見せた。昨季はあらゆる打順での起用に応えながら自己最多の135試合に出場しており、打線の軸としてチームに欠かせない存在だ。また、攻撃、守備を合わせた得点貢献度が-13.5と低迷していたレフトには、西川龍馬がFAで加入した。昨季は広島で攻守に優れた活躍を見せており、レフトは大幅な改善が見込める状況だ。

 残るライトの定位置争いは激しさを増している。杉本裕太郎は昨季、ケガの影響もあり不完全燃焼に終わったが、今季はコンディションに気を配りつつ出場を続けたい。本塁打王に輝いたシーズンのような活躍ができれば、チームの大幅な得点力アップに期待が持てる。そのほか、昨季の開幕スタメン・茶野篤政や、廣岡らが出番をうかがう。さらに、パワフルなバッティングを見せる新助っ人・トーマスも候補の一人であり、DHとしてもセデーニョらとの争いが予想される。ただし、トーマスはここまでのオープン戦では空振りが目立っており、NPBに適応できるまで時間を要するかもしれない。

黄金期の維持へ、投手陣にはさらなる活性化が不可欠

 昨季は吉田正尚の抜けた穴を、新戦力の森や頓宮のブレークなどでカバー。若手からベテランまでが首脳陣の起用に応える働きを見せ、球団3度目となるリーグ3連覇を成し遂げた。そして迎える今季も絶対的エースとして君臨した山本がメジャーへ移籍。黄金期を維持するには、有望株の多い投手陣から新たな戦力の台頭が求められる。野手陣では西川が新たに加わり、チーム内の競争がより活性化。激しいレギュラー争いが繰り広げられ、選手それぞれのレベルアップにも期待がかかる。1975~78年に達成して以来となるリーグ4連覇へ、今季も中嶋監督の采配に注目したい。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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