初出場のホープも加わった日本代表、世界選手権に臨む 3連覇がかかる宇野・坂本、“りくりゅう”は連覇なるか

沢田聡子

「どうしても達成したい」3連覇を目指す坂本花織

今季国際大会負けなしの坂本、3連覇なるか 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 女子シングルでは、ここまでのシーズンを通し、世界選手権2連覇中の坂本の強さが際立っている。初優勝を果たしたグランプリファイナルを含め、今季の国際大会は全勝。今季、合計で220点を超えるスコアを出しているのは、坂本(226.13)とルナ・ヘンドリックス(ベルギー、221.28)の2人だけだ。「どうしても達成したい目標」と世界選手権3連覇を狙う坂本は、「パーフェクトな演技で自分らしく滑れたら」と、自らの強さを磨いて臨む。

 拠点を仙台から京都に移してシニアデビューシーズンとなる今季を迎えた千葉百音は、シーズン序盤は思うような演技ができずに苦しんだ。しかし、運動誘発性ぜんそくとの診断を受けて開始した治療の効果もあったのか、全日本選手権では本来の力を発揮して銀メダルを獲得。代表に選ばれた四大陸選手権では214.98という高得点を獲得し、優勝した。シーズン後半に向けて確実に調子を上げてきた千葉が、初出場となる世界選手権のリンクに立つ。

 今季が本格的なシニアデビューシーズンとなる吉田陽菜は、トリプルアクセルをプログラムに組み込む。初出場したグランプリファイナルでは、銅メダルを獲得。2月に行われたISUスケーティングアワードでも、最優秀新人賞に選ばれた。大舞台で表彰台に立った自信を胸に、初出場となる世界選手権でも伸び伸びと滑ってほしい。

 日本勢に加え、グランプリファイナル銀メダリストのヘンドリックス、グランプリファイナル5位のイザボー・レヴィト(アメリカ)がメダルをめぐって競う展開か。

 ペアでは、昨季は年間グランドスラムを達成した三浦璃来/木原龍一が、ディフェンディングチャンピオンとして臨む。今季は木原の腰椎分離症が完治せず、グランプリシリーズと全日本選手権を欠場。復帰戦となった四大陸選手権では銀メダルを獲得し、地力の高さを示した。ペアの技を練習できるようになったのは1月の第2週目だと明かした木原は、「世界選手権に向けてはまだまだ足りない部分が多いので、修正ポイント・伸びしろしかない」と語った。調子を上げて世界選手権に臨むと思われる三浦/木原のライバルとなるのは、四大陸選手権で優勝したディアナ・ステラート=デュデク/マキシム・デシャン(カナダ)か。

 若手の成長が著しいアイスダンスの代表選考は四大陸選手権までもつれたが、日本代表の中で最上位に入った小松原美里/尊が世界選手権出場を勝ち取った。重圧がかかるチャンピオンシップで見事に結果を出したベテランならではの強さを、3大会ぶりの世界選手権でも発揮してほしい。グランプリファイナルチャンピオンのマディソン・チョック/エバン・ベーツ(アメリカ)と、四大陸選手権チャンピオンのパイパー・ギレス/ポール・ポワリエ(カナダ)が金メダルを争う展開が予想される。

 来季の世界選手権の結果には、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の出場枠がかかる。2シーズン後の五輪に向け、来年の世界選手権出場枠を確保するという意味でも、今大会は重要だ。26年五輪につながる世界選手権、モントリオールで日本代表が起こす喝采を楽しみにしたい。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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