これは復帰でも復活でもない。FC東京・荒木遼太郎、自分を信じ続けた末の現在地

青山知雄

“アンチ”を黙らせてやるという覚悟

自分自身にプレッシャーを与えることで成長してきた荒木。今はピッチで躍動できることが楽しくて仕方がないという 【写真=FC東京】

──「環境を変えたい」という想いで鹿島からの移籍を決断しました。この決断を改めてどう捉えていますか?

 いろいろな状況があって難しい決断でしたけど、自分が決めたことなので。その決断が良かったと思えるような結果にしたいと思って東京に来ましたし、自分にも東京にもプラスできるように結果を残していきたいですね。

──東京に来てからのコメントを聞いていると、自信があるけど、決して過信ではないという印象を受けます。その自信はどこから来るんでしょう。

 自分のことを大きく見すぎているのかもしれないですけど、そのくらい自分にプレッシャーを与えたほうが力を出せると思っているところはありますね。自分では分からないですけど、めちゃくちゃ自信はありました(笑)。それに周りから「口だけ」とか言われることもあって、だからこそ「やってやろう」という気持ちが湧いてきて、それもすべて逆にプラスになりました。結構“アンチ”がいたので、そういう批判を「絶対に黙らせてやる」くらいの気持ちでやれたのが、自分的には大きかったですね。

──今年はパリ五輪があります。

 そこは本当に「選ばれたらいいな」というくらいの感覚ですね。正直、全然意識していないし、今は2年間溜まっていたものをピッチの上で出せていることが楽しくて仕方がないんで。でも、呼んでもらえたら自分のプレーは出せると思うし、代表でプレーしたいと思うところはちょっとありますし、楽しみだなとは思っています。

──ここから何を追求していきたいですか?

 やっぱりチームとしても自分個人も結果にこだわりたいですね。自分がゴールを決めるのもそうですけど、しっかり守らなければ勝てない。やっぱりまずはチームが勝つことが大事だと思うんで。その中で自分も結果を残しながらチームを勝たせたい。いま、本当にサッカーが最高に楽しいんですよ。なので、もっともっといろいろなプレーを出して見せていけたらと思っています。

──4月には浦和レッズ、鹿島アントラーズとの国立2連戦があります。まず浦和レッズの印象はいかがですか?

 試合も見ましたし、開幕直前にも練習試合をして、結構いいチームだなと思いました。完成したら怖いなという印象ですね。浦和がここからどんな変化とか対策を練ってくるかという部分もあるので、実際に試合が始まって相手がどう出てくるかを見ながら臨機応変に対応することが必要になるかなと思います。

──鹿島戦には期限付き移籍契約の関係で出場できませんが、鹿島に勝つためのポイントは?

 まずは90分通しての集中力ですよね。それにキーマンが一人じゃないところ。FWは優磨くんだけじゃなくて、新しく入った外国籍選手もいい選手だと思いますし。

──鈴木選手は味方にしたら心強い一方、相手にしたら非常に嫌な選手だと思います。彼を抑えることが勝利につながると思いますが、チームメートに伝えられることもあるんじゃないですか?

 そうですね。厄介ですね(笑)。近かったからこそ知っていることもたくさんあるので、試合が近づいたらうまくチームに伝えたいと思います。ただ、鹿島も監督が代わって状況が大きく変化していると思うので、そんなに伝えられることはないかもしれないですけど。

──国立でのプレーは?

 大観衆の中でプレーするのは好きなので、気持ちは上がりますね。ピッチで素晴らしいゲームを見せて、その上で勝ちたい。チームとしてもここで勝てれば勢いも自信もつくと思うし、大事な2試合になると思う。個人的には多くの人に見てもらえる機会にもなると思うので、とにかく結果にこだわって戦いたいと思います。

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著者プロフィール

2001年からJリーグやJクラブの各種オフィシャル案件で編集やライターを歴任。月刊誌『Jリーグサッカーキング』で編集長も務めた。関係各所に太いパイプを持ち、2017年から2023年までDAZNで各種コンテンツ制作に従事。現在はフリーランスとしてJリーグ、日本代表を継続取材している。

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