2024シーズンJ1戦力ランキング 4チームが“第1グループ”、優勝経験豊富な川崎Fも肉薄

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 お届けするのは、2024シーズンのJ1全20クラブの戦力ランキングだ。「攻撃力」「守備力」「選手層」「監督力」「完成度」という5項目について各20点満点で評価し、その合計ポイントによって導き出した。果たして、どんな順位になったのか。
(監修:河治良幸)

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解説

4チームが“第1グループ”だが川崎Fも侮れない

強力な守備陣をほぼ維持した上で、精力的な補強で攻撃陣を強化した浦和。ヘグモ新監督がチームのポテンシャルを引き出せれば、18年ぶりのリーグ制覇が見えてくるはずだ【(C)J.LEAGUE】

 2月23日の開幕を前に、J1の20クラブを5つの項目ごとに評価した。昨シーズンの成績やデータをベースに、監督交代や選手のイン・アウトを考慮して評価しているが、「選手層」に関してはACL(AFCチャンピオンズリーグ)などを含めた試合数も想定して査定している。

 合計点が最も高くなったのが前年王者のヴィッセル神戸だ。昨シーズンの得点数が横浜F・マリノスに次いで2番目に多く、失点数は浦和レッズ、サンフレッチェ広島に次いで少なかった。そこに補強も加味して「攻撃力」を18、「守備力」を17としている。前年王者としてシーズンを戦う難しさも考慮しての査定ではないため、この数字に見合った結果を残せるかは分からないが、少なくとも戦力的には十分に連覇を狙える。

 川崎フロンターレからFW宮代大聖、セルティックからMF井手口陽介(昨季はレンタル移籍のアビスパ福岡でプレー)を獲得するなど、質量ともに効果的な補強を行っており、ACLエリートへの参戦が予定される秋以降のハードスケジュールにも耐えられるだけの選手層はある。ただ、過密日程で次々と試合が来る状況というのは選手の質量だけで解決できる問題ではない。ほぼ1週間に1試合で、週末に試合がないケースもあった昨年とは違う難しいシーズンに挑むことになる。「完成度」も主力に限った評価なら20でもいいくらいだが、大型補強を行った分、チームに戦術が浸透するには少し時間を要すると見て17にとどめた。

 選手層にしても、大迫勇也や酒井高徳、山口蛍といった主軸選手の絶対性を考えると、仮に彼らが離脱したら穴を埋められるか未知数なところもある。その意味で18にしたが、シーズン中にこの評価は変わる可能性がある。

 いずれにせよ、J1リーグの連覇というのは本当に難しい。まして新しいフォーマットになり、賞金が大きくアップするACLエリートの負担も想定すると、非常にタフな戦いになってくることは間違いない。言い換えれば、それを乗り越えて連覇を成し遂げれば、神戸にとって黄金時代の到来ともなり得る。

 総合2位は浦和だ。マチェイ・スコルジャ前監督が率いた昨年は春にACLファイナルがあり、その後も未曾有の過密日程を強いられ、合計60試合の公式戦を戦った。そこから一転して、今年はリーグ戦と国内カップ戦のみで、試合数が15~20減ると見られる。しかも、ノルウェー代表オラ・ソルバッケンやスウェーデン代表サミュエル・グスタフソン、Jリーグでの実績抜群のブラジル人FWチアゴ・サンタナなどライバルが羨む補強で、戦力はスケールアップした。

 北欧屈指の名将として知られるペア=マティアス・へグモ新監督が4-3-3システムをベースに、シンプルにタレント力を活かすスタイルで、早くもチームをしっかり構築してきている。「攻撃力」に関しては、昨シーズンがリーグ7位タイの42得点だったところにソルバッケンやチアゴ・サンタナ、前田直輝といった新戦力、そして攻撃的なスタイルの構築に定評のあるヘグモ監督が、どこまでアップさせられるか注目したい。現状評価で17にしたが、18、19、20になるポテンシャルは秘めている。

 一方の「守備力」はGK西川周作にアレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンというリーグベストイレブンのセットは健在だが、攻撃的にシフトするところで攻守のバランスを取る難易度は上がると見て、評価は18にとどめた。合計点が神戸を下回ったのは、監督交代、大量補強に伴う「完成度」の低さが大きな理由だ。シンプルなスタイルであるだけに、相手に対策された場合のプランを含めて、チームの完成度が早期に高まってくれば、試合数が少ないアドバンテージもあり、リーグ優勝の可能性は十分と見ている。

昨年3位の広島は戦力を維持

前線のブラジル人トリオは健在で、横浜FMの攻撃力は今季もリーグ最高レベルと見ていいだろう。実績に乏しいキューウェル新監督がチームをしっかり掌握できるか【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 総合評価で3番目になったのは昨シーズン3位の広島だ。ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督が3年目を迎えて、戦力的にも主力選手を留めた上で、争奪戦になったと見られるFW大橋祐紀の獲得に成功した。広島の強みも浦和と同じく堅守で、昨シーズンの失点数は2番目に少なかった。戦力も大きくは変わらないため「守備力」の評価は18とした。ただ、林卓人が引退したGKは大迫敬介が故障明けとなる。もし大迫が開幕に間に合わない場合、J3の松本山雅から来た新戦力の薄井覇斗を含めて、誰がゴールマウスを守るのか注目される。

 上位を争うライバルに比べると、少し不安なのが選手層だ。新設されたACL2に出場する可能性が非常に高い。スキッベ監督の1年目だった一昨年は天皇杯とルヴァン杯でファイナルに進出というタフなスケジュールをこなしながら、リーグ戦で3位に入った実績があるだけに、何とかやりくりして過密日程を乗り越えるであろうという期待もあるが、主力はもちろん準主力級も含めて、できるだけ故障者が出ずにシーズンを戦えるかが鍵だ。

 一昨季の王者で、昨シーズンは2位の横浜FMが僅差の4番目になったのは、新監督就任による影響が大きい。ハリー・キューウェル監督は選手やコーチとしてはともかく、監督としての手腕が未知数なので「監督力」は現時点では16に。また「完成度」も16と、相対的に上位のライバルより低めになっている。「選手層」に関しても昨年の得点王であるアンデルソン・ロペスを筆頭にエウベル、ヤン・マテウスという強力な外国人トリオをキープできたのは大きいが、ACLと並行でJ1リーグを戦い抜くには、スカッドに攻撃面のカードがもう一枚、二枚欲しいようにも思える。

 自慢の「攻撃力」は20チームで唯一の20点満点にしたが、ディフェンスに関しては主力に怪我人が多いことに加え、成長株だった角田涼太朗が欧州移籍でいなくなった。またGKも昨年の守護神だった一森純がガンバ大阪に戻ったため、新たな体制を作らなければならない。そうしたことから「守備力」を15としたが、優勝のためには長いシーズンの戦いのなかで各選手が成長してもう少しレベルアップしたい。

 ただ、川崎Fから経験豊富な山村和也を引き入れたのは大きい。センターバックとしてもボランチとしても計算が立ち、有事には前線でもプレーできるセンターラインのスーパーマルチだ。

川崎は侮れないが、守備に不安要素あり

昨季は8位に終わった川崎Fだが、楽しみな新戦力が多く、3年ぶりの優勝は射程圏内だろう。伸び盛りの高井(写真)あたりが一気にブレイクし、センターバックの不安が少しでも解消されれば……【(C)J.LEAGUE】

 筆者の評価としては以上の4クラブが優勝争いの“第1グループ”と見るが、やはり軽視できないのは過去7年で4度の優勝を誇る川崎Fだ。総合83ポイントは5番目。「攻撃力」は現在18にしているが、ここから上積みされる可能性もある。ブラジルの名門サンパウロから加入した新外国人のFWエリソンがスーパーブレイクするポテンシャルを秘めており、ヴァンフォーレ甲府から加入した日本代表の三浦颯太も左サイドバックの新たな主力としてかなり期待できそうだ。またオランダのNECから来たファン・ウェルメスケルケン際、G大阪で司令塔的な存在だったMF山本悠樹と、粒の立った新戦力が多い。

 ネックはセンターバックで、完全復活が期待されたジェジエウがキャンプ中に負傷し、出遅れる見込み。昨年の前半戦は怪我人多発で苦しんだポジションだが、上位を争うライバルに比べると見劣りするため「守備力」を14にしている。もちろんジェジエウの状態が万全になれば、また評価も変わってくるが、実戦感覚を含めてどうなのか。期待としては19歳の高井幸大あたりにぐいっと伸びてきてもらいたい。

 ここまでの5チームが総合80点以上だ。

 総合79点の名古屋グランパスはポテンシャルを考えると、優勝争いに加わってきてもおかしくない。エースのキャスパー・ユンカーを浦和から完全移籍で獲得でき、福岡から山岸祐也が加わるなど、オフの話題を集めた。ただ、やはり藤井陽也(→コルトレイク)、中谷進之介(→G大阪)、丸山祐市(→川崎F)とディフェンスラインの3人がいなくなり、左ウイングバックの主力だった日本代表の森下龍矢もポーランドの名門レギア・ワルシャワに移籍。ディフェンスは再構築が必要になる。

 そうしたことも踏まえて「守備力」は現在の評価で14としたが、新戦力がうまくフィットしないと、さらに下がるリスクもある。そうは言っても3年目となる長谷川健太監督のリーダーシップと戦力のポテンシャルを考えれば、シーズンが終わる頃には最終評価が85ぐらいになっていてもおかしくない。残留争いまでは考えにくいが、優勝から二桁順位でのフィニッシュまであり得る、非常に読みにくいチームだ。

昇格組の最高評価は町田

昇格チームでは、昨季J2を制した町田が最高評価。初挑戦となるJ1での戦いに備えて、かつてFC東京でプレーしたナ・サンホらを補強した。就任2年目の黒田監督がチームをどう導くか【(C)J.LEAGUE】

 総合評価78のセレッソ大阪は「完成度」の高さが強みだが、チーム力アップのためには、中盤での起用も予想される田中駿汰など新戦力の活躍が鍵を握る。77ポイントの鹿島アントラーズは昨季途中にスペインから復帰したMF柴崎岳が10番、キャプテン、選手会長の“三役”で話題を集めるが、熱血漢ランコ・ポポヴィッチ監督の指導で、チームがどこまで変わるか。痛いのは、FW鈴木優磨がキャンプ中に負傷して開幕に間に合わなさそうなこと。このピンチを逆にチャンスに変えていくような若手の奮起も待たれるところだ。

 昨年のルヴァン杯王者で、リーグ戦7位の福岡はさらに上位を狙うが、エース格だった山岸が名古屋に、ルキアンが湘南ベルマーレに移籍するなど、長谷部茂利監督はオフェンスの再構築を迫られそうだ。広島から加入のナッシム・ベン・カリファ、サガン鳥栖から加入の岩崎悠人らが、内容だけでなくゴールやアシストという数字もしっかり残して貢献できるか。そこがしっかりハマってくれば、昨シーズン以上の躍進も期待できるが。東京ヴェルディのJ1昇格に寄与して、福岡に帰ってきた北島祐二などにも期待だ。

 昇格組ではJ2王者のFC町田ゼルビアが総合評価73。残留争いにとどまらず、上位に顔を出すぐらいになってくれば面白い。注目の新戦力は、気鋭のサイドアタッカーである元韓国代表のFWナ・サンホだ。昨年は昇格のために割り切った戦いに徹したという黒田剛監督のゲームプランも気になるところ。

 横内昭展監督が率いるジュビロ磐田は、補強解禁ということで新しく15人の選手が加わって、チームが活性化された。そのなかでもJ2ロアッソ熊本から加入のMF平川怜は違いを生み出す司令塔として期待がかかる。東京Vは総合点68と最も低い数値となったが、城服浩監督の手腕は確かなものがある。組織力も高いので、ロケットスタートに成功すれば、J1を掻き回す存在になり得る。

(企画・編集:YOJI-GEN)

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