3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会には全国から32校が出場します。多彩な個性を持つチームに大会前、主催者はアンケートを実施しました。回答内容には、チームの魅力や今どきの球児事情が詰まっています。

　昨夏の甲子園は4強に進出し、そのメンバーも多く残る。今大会の有力校だが、8日の組み合わせ抽選会の結果、組み込まれたのは、8校のうち甲子園優勝校が5校を占める「激戦ブロック」だった。ただ、選手たちにとっては願ったり叶ったりの結果だったかもしれない。

　抽選会の前に集めた選手へのアンケートで特徴的だったのは、対戦したい相手の項目で半数近い9人が「大阪桐蔭」と答えた点だ。互いに勝ち上がれば2回戦でぶつかる。「強くていい選手ばかりだから」「最強だから」と憧れに近い理由を記した選手が多く、昨夏の甲子園で打率5割をマークした上川床勇希選手が「南陽人（はると）投手から打ちたい」と記すなど、特にレギュラー野手陣が対戦を熱望している。 

　他の出場校は、中学時代の知人などがいるチームや秋に敗れたチームを挙げるケースが多いが、神村学園はシンプルに強敵との対戦を望む選手の割合が多かった。ブロックは違うが有力との呼び声が高い広陵や星稜、今大会は出場しないものの近年の活躍が著しい仙台育英などの名前も挙がった。

　エースの今村拓未投手は、1回戦の相手となる関東王者・作新学院との試合を希望していた。「全国トップクラスのバッティングなので、対戦したい」。相手が強ければ強いほど闘志をたぎらせる選手たちは、開幕を心待ちにしている。

　選手にとって、思い出深い夏だった。選手21人に質問したアンケートで「今までで一番思い出に残っていること」を聞くと、甲子園ベスト4に進出した昨夏の思い出を挙げた選手は16人に上った。

　甲子園での戦いぶりだけでなく、延長タイブレークまでもつれた鹿児島大会決勝を挙げた選手も多い。鹿屋中央に延長十回に1点を勝ち越されたが、最後は岩下吏玖（りく）選手のサヨナラ3ランを挙げた選手も複数いた。好きな言葉として昨年のチームスローガン「気愛」を挙げる選手も複数おり、昨夏を超える思い出を目指す春となる。

　将来の夢の質問では、プロ野球選手が約半数を占めた。上川床選手はチームで唯一、メジャーリーガーと答え、今村投手は野球関連の仕事と回答。岩下選手の夢は「公務員」。珠算1級、暗算3級の資格を持つ。

　趣味は半数超の選手が音楽鑑賞と回答した。過去の習い事では3人が書道と答え、左横手の変則左腕・釜昊暉（こうき）投手は毛筆、硬筆ともに八段の腕前を誇る。