ドジャースキャンプレポート2024(毎週木曜日更新)

ロバーツ監督が語る「大谷翔平とバリー・ボンズの共通点」とは?【ドジャースキャンプレポート】

丹羽政善

161日ぶりの屋外での打撃練習

 さて、その大谷に大きな動きがあったのは、キャンプ4日目のこと。大谷がバットを手に、通称スコット・カズミアー・フィールドへ向かった。

 そこはファンがアクセスできない場所にあり、かつてスコット・カズミアーが、報道陣、ファンの目を避け、秘密の練習を行ったことからそう呼ばれるようになったそうだが、最近では、ギャビン・ラックスがイップスになったとき、やはり人目を避けて送球練習をしていた場所としても知られる。

 つまりそこは、なにか秘密裏にことを進めたいときに使用されるフィールドだが、大谷の“復帰舞台”が、そうして用意されたのだった。もっともその様子は、すぐに球団のSNSにアップされており、なぜファンに非公開としたか不明だが、必要以上に力が入ることを避けたかったか。

 だとしたら、それはあまり意味がなかったかもしれない。大谷が屋外で打つのは、昨年9月4日以来、161日ぶり。よって本人も、「軽めにいこうかな」と考えていたそうだが、「思ったより、(数字が)出ていた」。自然に力が入っていた。

 あの日、打球初速の最速は109マイル。打撃投手の球を打っての数字としては、異次元である。大谷は、「アリゾナなので飛びますし、打球はちょっと速くはなるので、そこを考慮すると、イーブンぐらいかな」と話したが、「いい傾向。トレーニングの成果も出てるんじゃないかな」と納得の表情だった。

屋外で打撃練習を行う大谷 【写真は共同】

 ところで、ロバーツ監督とヘイワードの話には、続きがある。

 キャンプ2日目、練習前に囲まれたヘイワードは、前日のロバーツ監督の言葉を伝えられた。

「監督がそう言ったことは知らなかった。まず、自分のことをしなきゃいけないけど、その後で時間があれば、もちろん話すよ。翔平が話せないというのは、彼にもやることがたくさんあるからだと思う。それには敬意を払う。でも、翔平について話せるのは(一番良く知っているのは)、翔平かな(笑)」

 その言葉がさらにロバーツ監督に伝言された。ヘイワードが話せない場合、第2、第3の選択肢は? そのやり取りは、以下の映像(ドジャースキャンプレポート②)でも紹介しているが、ロバーツ監督は「そこまで考えてなかったなぁ」と声を上げて笑い、続けた。

「だけどジェイソンならいい仕事をしてくれるだろう。でもムーキー(・ベッツ)やフレディ(・フリーマン)も、喜んで引き受けてくれるんじゃないかな」

 ベッツはそういうタイプではないので、おそらくフリーマンがその役を担うことになるのだろう。13日朝、施設に姿を見せたフリーマン。そのことを伝えられると、苦笑しながら言った。

「準備しておくよ」

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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