MLB公式記者の2023年ベスト10

MLB公式記者が選ぶ2023年の大谷翔平ニュース・ベスト10 チェコの野球人気に貢献したエピソードも

丹羽政善

「野球の親善大使」になった大谷

5位:今季メジャー最長の493フィート弾
4位:6月27日、ホワイトソックス戦での活躍
3位:WBC・1次ラウンド 日本vs.チェコ
2位:7月27日のダブルヘッダー 第1試合で初完封、第2試合で2本塁打


 続いて5位から2位。いずれも今季の大谷を象徴するが、27日のホワイトソックス戦では先発すると、6回1/3を投げて、1失点、10奪三振。打っては、3打数3安打、2本塁打。二刀流としての活躍としては、「もっとも印象的だった」と熱く語った。

 大谷はその後、肘を痛め、2度目の手術に踏み切っている。よって一部から、「近い将来、大谷は野手に専念すべき」との声も出たが、「なぜ、あきらめなければいけないんだ?」と、クレア記者は首を傾げる。ホワイトソックス戦やデトロイトでのダブルヘッダーを目の当たりにした人なら、容易に同意できるのではないか。

 3位のチェコ戦に関しては、後日談がある。9月終わりから10月中旬にかけて、チェコ共和国で野球のヨーロッパ選手権が行われた。現地で取材したクレア記者は、「野球人気に驚いた」そうだ。「どの会場もファンで、溢れていた。熱気がすごかった」。

 もちろん、大きなスタジアムがあるわけではないが、「こんなに野球の人気があったのか?」と目を疑ったという。その要因は、「間違いなく、WBCの影響だろう」とのこと。ただ、その影響をさらに掘り下げれば、大谷の名前に行き着く。

 クレア記者がチェコ共和国の選手らに「WBCで印象に残っていることは?」と聞くと、揃って「大谷のチェコ共和国に対する敬意」と口にしたそうだ。「みんな“Respect”というチェコ戦後の投稿(インスタグラム)に感激したと話していた」。

 大谷がWBC決勝の地であるマイアミへ移動した際には、空港到着時にチェコ共和国の帽子を被っていたが、あの帽子はその後、チェコ共和国の国内では売り切れになった。

 クレア記者は、チェコ共和国の選手らに、「大谷に伝えたいことは?」と聞くと、やはりみんな口を揃えたそうだ。
 
「野球を広めてくれてありがとう」

 クレア記者は確信した。

「大谷は、まさに野球の親善大使。世界最高の選手がその役割を率先して担い、野球のグローバル化に貢献。彼は野球界全体の顔になった」

 大谷のインパクトは、ヨーロッパ選手権にまで及んでいた。

歴史が生まれた名シーン

1位:WBC決勝の九回2死、大谷対トラウト

 1位に関しては、予想通り。ただ、2023年の1位というより、クレア記者は歴史的な出来事として位置づけていた。

「例えば、ベーブ・ルースが予告本塁打(1932年のワールドシリーズ第3戦)を放ったり、ウィリー・メイズが1954年のワールドシリーズで頭上を超える打球をキャッチしたシーンと同じぐらいのインパクトをもたらした」

 あの場面は、深くメジャーリーグ史に刻まれたーーそう言いたげ。

「子供や孫を通して、今後長く語り継がれることだろう。まさにそんな歴史が生まれた」

 余談だが、エンゼルスのミッキー・モニアックもこのシーンについてこんな話をしていた。

「ぼくのおじいちゃんは、マイナーリーガー時代、コーチとなっていたテッド・ウィリアムズに指導をしてもらったことがある。その話を何度も聞かせてもらった。いつか自分にも孫が出来たら、『おじいちゃんは、 WBCの決勝で対戦した大谷と(マイク・)トラウトとチームメートだったんだよ』、「大谷はすごかったんだよ」って伝えたい」

 あのシーンは様々な形で、後世に伝えられていきそうだ。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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