GPファイナル初優勝の坂本、銅メダル獲得の吉田 メダリスト二人の原動力は、一年前に味わった悔しさ

沢田聡子

ジュニアで出場した昨季からの成長をみせた吉田

フリーでトリプルアクセルを着氷させた吉田 【写真:ロイター/アフロ】

 昨季はジュニアのカテゴリーでグランプリファイナルに出場した吉田は、6位という成績だった。シニアとして出場した今回のファイナルでは、ショートから果敢に武器であるトリプルアクセルに挑むも、転倒。続く3回転ルッツ+3回転トウループでも転倒し、その後はミスなく滑ったものの、4位発進となった。

 しかし翌日のフリー、吉田は力を発揮する。冒頭で跳んだトリプルアクセルは4分の1回転不足と判定されたものの、片足で着氷。その後は、後半に組み込んだ3回転ルッツ+3回転トウループを含むすべての要素でプラス評価を得る。フリーのみの得点(142.51)では坂本に次ぐ2位、合計点は203.16で総合3位に入り、表彰台に上がった。

 吉田は記者会見で、一年前を振り返っている。

「去年はジュニアでファイナルに出てすごく悔しい思いをしたので、『シニアで戻ってきたい』と言っていたのですが、今シーズンまさか戻ってこられると思っていなかったので、ファイナルに出られるだけでもすごく嬉しかったです。今年は、ショートは失敗してしまったのですが、フリーはしっかり練習してきたことを出せて結果にもつながったので、少し成長できているかなと思います」

 真価が問われるフリーでのミスをリカバリーした坂本、ミスが続いたショートからフリーで追い上げた吉田の原動力は、一年前のファイナルで味わった悔しさだったのかもしれない。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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