男子ゴルフ観客が昨年比約140%増! コース内外での選手の魅力と大会の“お祭り”化

北村収

大会の“お祭り”化と地元との連携もギャラリー増大に大きく寄与

「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で開催された「かさまスポーツ&フードフェス」 【写真:北村収】

 試合ごとのデータを見ると、ギャラリー数が多いトーナメントというのは限られる。そのトーナメントに共通しているのは、ギャラリー向けのサービスの充実だ。

 昨年比1.5倍となるギャラリーを集めた6月の「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」では、「かさまスポーツ&フードフェス」というイベントを大会3日目に開催。夜には花火大会も行った。

「三井住友VISA太平洋マスターズ」で盛り上がっていた御殿場ラーメンフェスタ 【写真:北村収】

 今季、国内男子ツアーで最も多くのギャラリーを集めた11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」では2年連続で御殿場ラーメンフェスタを開催。列に並んでいたカップルに話を聞くと、「初めて来たけどゴルフ観戦以外でもこんなに楽しいとは思いませんでした」と満足気だった。

 この2試合に共通しているのが地元との連携。学校で配られたチラシや地元のweb、SNSを見てきましたという地元ギャラリーが少なくない。地方自治体とも一体となり、大会を地域のイベントとして盛り上げている。

 他にも「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント」、「ダンロップフェニックストーナメント」など、試合以外でも楽しめるイベントを開催したり地元・地域と密に連携しているトーナメントは少なくなく、どの試合もギャラリーは増大傾向にある。

選手も大会も目指すのは世界メジャー

全英オープンで見かけたゴルフに親しむ子供たち 【写真:北村収】

 日本のゴルフファンが期待することの一つは、松山英樹に次ぐメジャーチャンピオンの誕生だ。賞金ランキングトップ3の中島、蝉川、金谷は、目標としてもはっきりとメジャー制覇を掲げる。また、ファンもこの3人が世界の頂点へ上がることに期待する声は多く、この期待感を持った3人が賞金王争いを繰り広げたことも今年の国内男子ツアーを盛り上げた要因の一つだ。

 そしてこの国内男子ツアーがさらに盛り上がるために期待したいこともある。「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」、「三井住友VISA太平洋マスターズ」で好評を博している“お祭り”のさらなる活性化だ。

 4大メジャーの一つである「全英オープン」は、1日に4〜5万人くらいのギャラリーが会場に詰めかけると言われている。現地に行くと試合観戦だけでなく、家族で来て様々なアトラクションに参加したり、巨大なギャラリープラザで食事を楽しんでのんびりしていたりと、全英オープンという“お祭り”を楽しんでいるギャラリーが多い。子供も多く、ゴルフをやったことのない方々がゴルフに触れる施設もある。全英オープンはゴルフファンのためだけでなく、ゴルフに興味がなかった人がゴルフに触れ、ゴルフに親しむ場になっている。

 そんな「全英オープン」のような“お祭り”トーナメントを目指す大会がもっと増えていけば…。来年以降のさらなる国内男子ゴルフツアー活性化へ期待される要素の一つだ。

(ギャラリー数のデータ出典:一般社団法人日本ゴルフトーナメント振興協会)

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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