新旧ダートマイル王者が南部杯でついに初対決 カフェファラオvs.レモンポップ、勝つのはどっちだ
皐月賞馬ジオグリフのポテンシャルは侮れない
ジオグリフは言わずと知れた2022年のクラシックホースであり、皐月賞ではドウデュース、イクイノックス、ダノンベルーガらを相手に1馬身差の完勝。現役の芝部門を代表するトップホースの1頭だ。父ドレフォンはブリーダーズカップ・スプリントなどダート競馬の本場・アメリカでGIを3勝。母父キングカメハメハも産駒にホッコータルマエ、チュウワウィザードなどダートGI馬を送り出しており、母の父としてもドバイワールドカップ覇者のウシュバテソーロを輩出。この血統に加えて、ジオグリフ自身、時計がかかる洋芝の札幌2歳ステークスで圧勝するなど、どちらかと言えばパワータイプだ。そうした背景もあってのダート挑戦なのだろう。
海外遠征ではすでにダートを2戦走っており、2月のサウジカップが4着、3月のドバイワールドカップが11着。まだ好結果は出ていないものの、サウジカップでは3着カフェファラオとわずかアタマ差の接戦。ドバイWCでは大きく負けた中ではあるが、逆にカフェファラオに先着を果たしている。この内容だけから判断すれば、ジオグリフのダートでの実力はカフェファラオとも遜色はない。だとすれば、日本馬同士の戦いであれば勝ち負けになっても不思議はないだろう。
新旧ダート王対決の構図を真っ向から破壊するポテンシャルを持った、文字通り“第3の勢力”として、その走りには大いに注目したい。
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地方の総大将イグナイター、能力は中央勢に劣らない
メイセイオペラ、トーホウエンペラーはともに地方競馬史に名を刻むスーパーホース。このクラスの馬でなければマイルCS南部杯を勝つことは難しいということを、歴史が語っているかのようだ。では、今年も地方馬は指をくわえて中央馬の勝利を見るしかないのか。いや、中央馬の牙城を崩す実力を持った馬が2頭参戦してきた。
1頭は2022年の地方年度代表馬でもある兵庫のイグナイター。これまで黒船賞、かきつばた記念、さきたま杯でJRA馬をなぎ倒しダートグレード競走を3勝。マイルCS南部杯では昨年、複勝圏内まであと一歩の0秒2差4着と善戦しており、この馬のスピードは中央GI馬に引けを取るものではない。レモンポップと同じ5歳牡馬、経験と実力をさらに積み重ねた今年は昨年以上の成績を期待してもいい。
もう1頭は中央ファンにもおなじみのソリストサンダー。今夏から大井に所属しているが、かつてJRAで武蔵野ステークスの重賞1勝をはじめ通算6勝。交流含むGIでも2021年・22年かしわ記念で連続2着、21年マイルCS南部杯3着、22年フェブラリーS4着など、トップマイラーの一角として活躍してきた。今年8歳になる大ベテランだが、前走の地方移籍初戦をきっちり勝ち上がったあたり、地力はまだまだ健在。JRAの人気馬たちに一泡吹かせる場面を作れる地力を秘めた1頭だ。
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【予想と見解】レモンポップの勢いを取って◎
○カフェファラオ
▲ジオグリフ
△イグナイター
△タガノビューティー
△ノットゥルノ
カフェファラオかレモンポップか、甲乙つけがたいダートマイル王者対決だが、ここは勢いを取って◎レモンポップとしたい。マイルでも完勝した2月のフェブラリーSの競馬が秀逸。この中間も十分に乗り込まれており、栗東坂路で好時計を連発と仕上がりに不安なし。継続騎乗となる坂井瑠星騎手の手綱にも期待したい。
しかしながら、カフェファラオのマイル戦での無類の勝負強さはやはり特筆もの。加えて盛岡への輸送とコース経験というアドバンテージもあり、あっさりと王座防衛を果たすシーンがあっても当然だろう。となると、ポイントは初騎乗の高松騎手がどこまでカフェファラオの力を引き出すことができるかにかかっている。
この2頭を打ち負かすとしたら、皐月賞馬ジオグリフのポテンシャル。実際に中東ではカフェファラオとほぼ互角の競馬をしており、ここで二刀流のチャンピオン誕生を十分に期待していい。また、兵庫のイグナイターもスピードは全く劣っておらず、立ち回り一つで上位進出が可能だろう。
穴なら末脚に一発の威力がある左回り得意のタガノビューティー、マイルで新味を出したい武豊騎手のノットゥルノあたりか。