吉井裕鷹が語る日本代表とA東京 W杯で活躍しても忘れない「這い上がる精神」

大島和人

「過程」を突き詰めた先に訪れる優勝

代々木第一体育館がホームになって大観衆から力をもらっていると吉井は話す 【©ALVARK TOKYO】

――昨シーズンからデイニアス・アドマイティスHCがチームの指揮を執っています。

 ファウルの使い方一つ、バスケットの仕方一つが、本当に勉強になります。むやみやたらにファウルを使えというわけではないですけど、ファウルを使うところはファウルする。24秒も残りの時間を見て、上手いこと時間を過ごすといった部分は、一つひとつ教えてもらっています。

――吉井選手がプロ入りしたときはルカ・パヴィチェヴィッチHCで、基本を徹底する、厳格な指導者でした。ルカさんからはどのようなことを教わりましたか?

 バスケットの……基本の全てです。

――例えばピック&ロールひとつとっても立ち位置、タイミングとものすごく細かく指導するという話を聞いたことがあります。

 はい、めちゃくちゃ細かいです。そういうバスケットの仕方ひとつひとつを身体にたたき込めたことは大きかったです。アドマイティスHCになったら、また違うバスケットになって、臨機応変さが必要になってきています。ただルカに教えてもらったベースがあるからこそ、次に派生できているイメージです。

――今シーズンに向けて、チームとしても吉井選手としても、大事にしているポイントはありますか。

 「優勝に向けての過程」です。今もコーチ陣の方たちも、シュート1つに対してアシストだけを見るのでなく、アシストになるまでの過程も重要だと言っています。そしてそういう過程に対して「身を削ってくれ」と我々に言っています。結果だけでなく試合の勝ち方、負け方もしっかりと見て、突き詰めていくところが優勝に関わってくると思います。

――吉井選手自身が、今季のアルバルクではこういう役割を果たしたいという抱負をお願いします。

 走るべきところは走って、身体を張るべきところは張って、シュートを打つべきところでシュートを打つ……。こんなことばっかり言っていたら仕事っぽくて、夢がないですね(苦笑) でも、そういった部分が大事だし、頑張っていきたいですね。

――アルバルクは昨シーズンから代々木第一体育館がホームになって、Bリーグでも1、2を争う大観衆が集まっています。プレーする選手としてはどんなアリーナですか?

 観客が多ければ多いほど、やはり歓声も大きくなるので、選手も盛り上がれます。もう、素直に嬉しいことです。

――その代々木第一で開催される10月14日(土)・15日(日)のホーム開幕戦は宇都宮ブレックス戦で、25日(水)は秋田ノーザンハピネッツとの試合が組まれています。

 秋田には昨シーズン在籍していた藤永(佳昭)選手がいて、元アルバルクの選手と戦うは感慨深いし、楽しみです。ファンの方にとっても楽しめる部分だと思いますので、ぜひ会場にいらっしゃってください。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

 会場に足を運んでくださったら、映像で見る何倍も楽しませる自信があります。コートの近くで見てくださったら、選手の大きさが分かりますし、ダンク一つ、シュート一つで、本当に盛り上がります。会場に足を運んで、選手たちに歓声を送ってくださったら、僕たちも頑張れます。ぜひ会場で応援していただきたいなと思っています。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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