県準々決勝で敗れセンバツは絶望的に もっと見たかった東邦の“新チーム”
投手王国の芽も? 野手陣は競争激化へ
愛知県大会初戦の栄徳戦で活躍した杉浦成海(写真左)、朝日翔大。ともに新チームからベンチ入りし、レギュラーの背番号を背負う 【写真:尾関雄一朗】
投手陣は豊富で、試合で起用できる投手は十指に余らんばかりの勢いだ。準々決勝こそ精彩を欠いたが、背番号1の右腕・杉浦は最速146キロのストレートを投げ、栄徳戦は先発で4回無失点と好投した。本来のデキなら投球内容にまとまりがある。右投手では片山恭、小西正人、花田悠希、左投手では宇佐美敦斗などバラエティに富む。捕手の高柳、左投げの外野手・藤江壮太らもスタンバイする。
山田監督は初戦の後、「調子に応じて使い分け、投手全員で戦っていく形になります。任されたイニングを抑えてほしい」と話していたが、そのスタイルがはまりそう。敗れた準々決勝でも3回以降を4投手で無失点に抑えた。さらにレベルアップすれば“投手王国”が誕生する。
打者陣もタイプ多彩だ。1番の朝日翔大、2番の野村櫂は俊足巧打の左打者。今年のセンバツでの遊撃守備が光った大島は、シュアな打撃で3番に入り、一塁手としてグラブさばきの良さを生かす。4番の高柳は身長187センチの強肩捕手で、ドラフト候補に挙がってきそう。5番・三浦天和はパンチ力がある。昨年のエース・三浦心空(現明治大)の弟だ。手島慈元、瀬木玲央の三遊間は守備安定。また1年生の朝倉大空は、かつてプロ野球でプレーした東邦OB・朝倉健太氏を父にもち、スケール感がある。
初戦で活躍した杉浦や朝日は、夏の大会ではベンチを外れていた選手だ。新チームの始動を意識し「ずっとレギュラーをとってやろうと思い、取り組んできました」と口を揃える。
競争は今後、激しさを増す。「来年夏の大会で勝てるように、試合で勝負強さを発揮できる選手を起用したいです」と指揮官。新チーム始動時は経験が浅い選手が多く、能力的にも前の上級生の代のインパクトが強かった中、チームとして戦う下地はできつつある。この先の練習試合や冬のトレーニングを経て、春に勝ち進む東邦の姿も十分にイメージできる。
エース宮國凌空らがいた旧チームに比べ、大黒柱が不在で、経験面での懸念もあった新チームだが、メンバー全員で戦う形ができつつある。来年春が楽しみだ 【写真:尾関雄一朗】