県準々決勝で敗れセンバツは絶望的に もっと見たかった東邦の“新チーム”

尾関雄一朗

投手王国の芽も? 野手陣は競争激化へ

愛知県大会初戦の栄徳戦で活躍した杉浦成海(写真左)、朝日翔大。ともに新チームからベンチ入りし、レギュラーの背番号を背負う 【写真:尾関雄一朗】

 準々決勝で姿を消した東邦だが、大会前半では良さも出ていた。2回戦(初戦)の栄徳戦は8対1で7回コールド勝ち。3回戦の至学館戦は7対3で押し切った。県内で上位常連の両校に対し、ともに序盤から小刻みに加点。守っては複数の投手がリレーした。戦力は今度の新チームも充実気配。もっと公式戦で見てみたいと思わせる魅力がある。

 投手陣は豊富で、試合で起用できる投手は十指に余らんばかりの勢いだ。準々決勝こそ精彩を欠いたが、背番号1の右腕・杉浦は最速146キロのストレートを投げ、栄徳戦は先発で4回無失点と好投した。本来のデキなら投球内容にまとまりがある。右投手では片山恭、小西正人、花田悠希、左投手では宇佐美敦斗などバラエティに富む。捕手の高柳、左投げの外野手・藤江壮太らもスタンバイする。

 山田監督は初戦の後、「調子に応じて使い分け、投手全員で戦っていく形になります。任されたイニングを抑えてほしい」と話していたが、そのスタイルがはまりそう。敗れた準々決勝でも3回以降を4投手で無失点に抑えた。さらにレベルアップすれば“投手王国”が誕生する。

 打者陣もタイプ多彩だ。1番の朝日翔大、2番の野村櫂は俊足巧打の左打者。今年のセンバツでの遊撃守備が光った大島は、シュアな打撃で3番に入り、一塁手としてグラブさばきの良さを生かす。4番の高柳は身長187センチの強肩捕手で、ドラフト候補に挙がってきそう。5番・三浦天和はパンチ力がある。昨年のエース・三浦心空(現明治大)の弟だ。手島慈元、瀬木玲央の三遊間は守備安定。また1年生の朝倉大空は、かつてプロ野球でプレーした東邦OB・朝倉健太氏を父にもち、スケール感がある。

 初戦で活躍した杉浦や朝日は、夏の大会ではベンチを外れていた選手だ。新チームの始動を意識し「ずっとレギュラーをとってやろうと思い、取り組んできました」と口を揃える。

 競争は今後、激しさを増す。「来年夏の大会で勝てるように、試合で勝負強さを発揮できる選手を起用したいです」と指揮官。新チーム始動時は経験が浅い選手が多く、能力的にも前の上級生の代のインパクトが強かった中、チームとして戦う下地はできつつある。この先の練習試合や冬のトレーニングを経て、春に勝ち進む東邦の姿も十分にイメージできる。

エース宮國凌空らがいた旧チームに比べ、大黒柱が不在で、経験面での懸念もあった新チームだが、メンバー全員で戦う形ができつつある。来年春が楽しみだ 【写真:尾関雄一朗】

2/2ページ

著者プロフィール

1984年生まれ、岐阜県出身。名古屋大を卒業後、新聞社記者を経て現在は東海地区の高校、大学、社会人野球をくまなく取材するスポーツライター。年間170試合ほどを球場で観戦・取材し、各種アマチュア野球雑誌や中日新聞ウェブサイトなどで記事を発表している。「隠し玉」的存在のドラフト候補の発掘も得意で、プロ球団スカウトとも交流が深い。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント