湘南・阿部浩之×川崎F・登里享平が特別対談 国立開催の神奈川ダービーへ持つべき自信とは?

原田大輔

対戦相手としては登里がいると嫌(阿部)

川崎Fで2017年から3年間チームメイトだった阿部(左)と登里(中央) 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――かつてはチームメートでしたが、今は阿部選手がベルマーレ、登里選手がフロンターレと別々のチームでプレーしています。同じ神奈川県をホームに活動するライバルですが、それぞれ対戦したときの印象を聞かせてください。

登里 僕らフロンターレから見ると、対ベルマーレ戦は決していいイメージは残っていないですね。

阿部 でも、それはここ最近の結果というだけじゃないの?

登里 今季もリーグ戦ではホームで引き分けていますし、昨季は2戦とも負けていますからね。

――しかも、登里選手はケガもあり、その3試合とも出場していなかった。

登里 そうなんですよ。

阿部 対戦する僕らからしてみると、相手の嫌なところを突いてくるノボリがいたほうが間違いなく嫌でしたけどね。ゲームをコントロールされてしまう可能性があるので。ベルマーレとしては、激しく攻守が入れ替わる展開のほうが得意ですから。

登里 それこそ阿部ちゃんがフロンターレに在籍していたころは、ベルマーレのようにチーム全体の走力があって、攻守の切り替えが早いチームに対しても勝ち切ることができていたし、2度目のJ1リーグ連覇のときも、勝っていた印象がある。だから、最近、何で攻略できていたんだろうって考えていたら、(自分の)前に三笘(薫)がおったわってなりました(苦笑)

阿部 でもさ、もちろん薫はえげつないけど、その過程にはノボリがお膳立てして、薫が相手をはがせる状況を作っていたところもあるよね?

登里 ありがたい! そういうこと、もっと言って(笑)

――話を遮るようで申し訳ないですが、昨季ベルマーレのホームで対戦したJ1リーグ第28節は、阿部選手がアディショナルタイムに決勝点を決めて、ベルマーレが2-1でフロンターレに勝利しています。

登里 あの試合、僕はリハビリ中だったのでDAZNで見ていましたけど、阿部ちゃんが途中出場してきたときからすでに嫌な予感がしていた。だから、点を取られたときには、一番やられたくない人にやられてしまったと思いましたから。

阿部 チームに勝利をもたらせたことはうれしかったけど、自分が成長できたのはフロンターレのおかげであり、あの時間があったからだと思っているので、うれしい気持ちと複雑な気持ちが半々というのが正直な心境でしたけどね。

――今季はそれぞれ苦しんでいます。経験のある2人にできることやチームに対して感じていることはありますか?

阿部 僕らは現時点で最下位にいるので、もっともがかなければいけないですけど、フロンターレは自信を取り戻すだけじゃない?

登里 ここ数年、勝つ試合が多かっただけに、少し負けが続くと、ネガティブな思考になったり、プレーの選択が変わったりしてしまうことがある。やり続けることが大切だと思うので、阿部ちゃんが言ってくれたように、自信を持って、開き直って戦うくらいの姿勢も必要。自分も含め、フロンターレがどう勝ってきたのかをもう一度、ピッチで示さなければいけないと思っています。

阿部 それはフロンターレだけでなく、自分たちベルマーレにも言えること。チームとしての幹がブレてしまうと、内容も結果も伴わない。ベルマーレも(山口)智さんのもと、チームとして幹を作ろうと取り組んでいますが、個人的にはまだまだ全然、足りないと感じています。チームとして、失点すると消極的になるし、敗戦が続くと、さらにプレーが消極的になる。どこか自信を持ってプレーできていないように感じられてしまう。

登里 それは今季のフロンターレにも当てはまるかな。自信がないと、みんな、ボールを欲しがらない。パスを寄こせ、ボールをつけろという姿勢が薄れていっているような……。

阿部 それで、いつもだったらパスを出すシーンで、出せなくなって。

登里 ワンタッチのところがツータッチになって。

阿部 それによって判断も遅れるし、チャンスも不意にしてしまう。

登里 だからこそ、やっぱり自信って大切なんです。

ダービーと名の付く試合は燃える(登里)

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――多くを経験してきた2人だからこそ共感している視点かもしれません。

阿部・登里 (同時に)成功体験がありますからね。

――2人が言葉をハモるくらい成功体験からくる自信が大切だということですよね。ともに経験を積んできた今、チームに対してできることも増えているのでは?

阿部 そうだと思っています。フロンターレにいたときに、憲剛さんがやっていたようなことを、今の自分はベルマーレにいる選手たちに還元していかなければいけない。

登里 僕も阿部ちゃんと同じですね。ただ、それぞれにサッカー観はあると思うので、押しつけるのではなく、選択肢を提示していくことができればと思っています。

阿部 そこは自分もノボリの考えにすごく共感する。きっと、こちらが押しつけると、その選手の身体や耳には入っていかないよね。相手が知ろうとする、気づこうとしているタイミングで言うことができるかどうか。

登里 それが憲剛さんはうまかったんだよね。

――2人とも選手でありながら、後輩を育てていく立場でもあると?

阿部 特に俺は今、FWで出場する機会が多いので、2列目、3列目と後ろにいる選手たちがいいプレーをしてくれなければ、自分がゴールを決められないですからね。育ってくれないと、自分が下がってプレーしなければいけなくなるので、自分の仕事が増えてしまう(笑)

登里 自分だけでなく、今、アキくんも後輩たちに、いつ(周りを)見るのか、いつターンするのかをアドバイスしている。その姿を見ると、それぞれ役割が変わってきたということを実感します。阿部ちゃんは今、自分の仕事が増えると言って、笑いを誘いましたけど、アキくんも阿部ちゃんも、それだけ試合に負けるのが嫌だということ。ホンマに負けず嫌いだなって思いますからね。

――そして、今季のリーグ戦で2度目の対戦となる明治安田生命J1リーグ第28節は、9月24日、ベルマーレのホームゲームとして国立競技場で行われます。

阿部 新しい国立競技場で試合をするのは、初めての機会なんです。

登里 そうなんだ。僕自身は、フレンドリーマッチも含めて何度かすでに経験しているので、これは気持ち的には有利ですね(笑)

阿部 実は観客としてフロンターレがパリ・サンジェルマンと対戦したときに見に行っているのですが、選手としてプレーするのは初なので楽しみにしています。

――しかも、国立競技場で行われる神奈川ダービーです。互いにいつも以上に意識するのではないでしょうか?

阿部 ダービーと聞くと、僕はガンバ大阪に長く在籍していたので、大阪ダービーのイメージが強く残っていて、ファン・サポーター同士もやっぱりいつも以上に熱くて、盛り上がっていました。だから、今回もベルマーレのファン・サポーターはもちろん、多くのフロンターレのファン・サポーターにも来てもらって、会場を盛り上げてもらえたらと思います。

登里 多摩川クラシコや神奈川ダービーをはじめ、ダービーと名の付く試合は、選手としても燃えるし、楽しみが増えますよね。

阿部 それに今季のリーグ戦は1−1の引き分けだったけど、YBCルヴァンカップのグループステージで対戦したときは1戦目が1−1の引き分けで、2戦目は2−3で逆転負けしていますからね。リーグ戦は1試合も落とせない状況ですけど、なおさらフロンターレとの試合は勝ちたいですね。

登里 あっ、(2戦目の)その試合は出てる(笑) だから、次の対戦も自分が試合に出てフロンターレが勝ちます!

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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